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握り寿司と上司の思い出

握り寿司を食べると、一軒のお寿司屋さんと昔の上司のことを思い出します。

(画像はイメージです)
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盛豚が若造サラリーマンだった頃、Yさんというお気に入りのお寿司屋さんがありました。 そのお寿司屋さんは、当時の盛豚が仕事で担当させて頂いていたM社さんという取引先の近所の路地裏で、老夫婦が慎ましく営業されていました。
お昼時の営業は握りだけのワンメイクでしたが、さすがはお寿司屋さん! 700円で本物の握りが食べられるとあって、毎日行列が出来ていました。

(画像はイメージです)
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ある天気のいい日に、当時の上司に「親父さん、今からM社さんに行くんスけど、近所に安くてイイ寿司屋があるんで、行ってみません?」と言って誘ってみたところ、人工透析をしているにも拘らず美食家だったその上司は、子供の様にはしゃいで上着を取って来られたのでした。
そして11:45になると狙い通りの展開で商談成立。 M社さんからのお昼のお誘いを辞退して、商談帰りに二人してYさんに吸い込まれていったのでした。
この日を境に盛豚がM社さんを訪れるのは8割方が上司同伴となり、その時は決まって昼一番の訪問か午前中の訪問で11:45になると計った様に商談が終了し、どんなに食事に誘われても辞退してそさくさと退散するのが恒例となったのでした。

(画像はイメージです)
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その上司はYさんをとても気に入られた様で、

上司 : 「盛豚、今日は外出あるんか?」
盛豚 : 「午後からM社さんっス」
上司 : 「時間は?」
盛豚 : 「3時頃のつもりですけど」
上司 : 「ワシも行く。 時間を午前中か昼一に変えて貰ってくれ」(目で合図をしながら…)

とか、

上司 : 「盛豚、急用や。 M社に行くぞ。 お前も来い」
盛豚 : 「D社さんへの発注の締め切り抱えてるンスけど…」(D社さんは盛豚が勤務する会社の筆頭株主でもあります。 注文が少なかったり遅れたりすると叱られます…)
上司 : 「D社には緊急の用事が発生したから締め切りを一日待ってくれとワシから電話を入れておく。 とにかく時間を空けてくれ」(ホントにD社さんへ電話をかけ始めてるけど、実は上司も盛豚もこの日はM社さんに用事はナイ…)
盛豚 : 「アポは?」
上司 : 「取ってない。 急用や」
盛豚 : 「分かりました。 社用車を押さえますね。 アポは走りながら取ります」
上司 : 「頼む」

などといった会話が交わされるのも日常茶飯事となりました。

(画像はイメージです)
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そんな日々が何年も続いた師走のある日、たまたま一人でYさんの握りを食べていると出入りの業者さんとお店の奥さんの会話が聞こえました。 その内容はご夫婦ももうお歳なので閉店されるというものでした。

「寂しくなりますね。 今までお疲れ様でした」と声をかけてお勘定を済ませるや、すぐさま会社に戻った盛豚は真っ直ぐに上司の下へ行きました。

 

盛豚 : 「親父さん、大変です!」(社内の何人かが声に驚いてこちらを振り向いている…)
上司 : 「なっ何や、血相を変えて…」
盛豚 : 「Yさんが店を畳みます」 (上司に顔を寄せて押し殺した声で…)
上司 : 「Yって何や?」
盛豚 : 「ほら、M社さんの裏の…」(更に押し殺した声で…)
上司 : 「何ィ!ホンマか!?」(声に驚いた社内の人達が驚いてこちらを見ている…)
盛豚 : 「間違いありません。 確認しました」(押し殺した声で…)
上司 : 「いつや?」
盛豚 : 「年末28日です。 一応、晩も営業されます。 先週決めたと言われてました」(押し殺した声で…)
上司 : 「抜かりは無いな。 よく知らせてくれた、ご苦労。 しかしあと3日しかないな…。 よし、課員に緊急連絡だ。 28日の昼前後は社用車を押さえておけ。 運転は盛豚や。 11:45にガレージに集合だ。 それと営業部へは45分以降の手配や注文は昼以降の返事になると言え。 そうや、女性課員にも通達しておけよ。 言うまでもあらへんけど二課だけで秘密裏に事を運ぶから、一課も含めて社内的に気付かれん様に気をつける旨、女性課員にもよく説明しておいてくれ。 支払いはワシに任せろ。 それにしてもさすがは盛豚やな。 この急な展開を事前にキャッチするとは。 お蔭で手遅れになる前に手を打てた。 それでこそワシの片腕や!」(上司はかなり仕事の出来る方だったので、決断や指示が早いこと早いこと…)
盛豚 : 「たまたまですよ(笑)」
上司 : 「謙遜せんでええ。 運も実力の内や。 それに日ごろ盛豚が張ってるアンテナが機運の流れを引き寄せてるっちゅうこっちゃ。 それも大事な仕事なんやでぇ。(笑)  ご苦労やった、通常業務に戻ってくれ。 何かあったら何でも言ってくれ」
盛豚 : 「ありがとうございます。 大丈夫っスよ、親父さんこそ病院に遅れないように上がって下さいね」

 

商社における典型的な『緊急事態発生の時に交わされる緊張感あふれる会話』としか思えない雰囲気に満ちた会話が終了しました。 
心配した営業部の先輩達が「トラブルか? クレーム検品だったら協力するぞ」とか「どこかが畳むとか言ってなかったか? 取引先の倒産か?」と声をかけてくれましたが、まさかお寿司を食べに行く打ち合わせだったなどと言えるハズもありません。 「大丈夫です、直接取引があるトコじゃないんですが、前から気にかけていた個人経営のトコなんで残念だなってハナシですよ」などと濁したのでした。(苦笑)

(画像はイメージです)
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そうしてYさんの最終営業日に、上司とその一味は秘かに最後の握りを食べに行ったのでした。

 
Yさんのおいちゃんとおかあちゃん、元気にしてるかなぁ…。

 

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コメント

こんにちは。
以前何度かブログにも登場した上司の方ですね。
なるほど、下から慕われる御方だったというのがよく分かります。
こういう方って現代の社会ではなかなかおられないでしょうからね。

>kimotoshiさん
 
はい、例の上司です。(笑)
厳しい事で有名な方でしたが、懐に入り込んでしまえばこの様にお茶目で可愛い一面もありました。 とにかく仕事が出来て弁が立ち、オフィス口調で寿司の話も出来る(↑)というスゴイ一面もあり、若造の部下ばかりのしんどいポジションでも背を向けず、鉄壁のガードで私達を守ってくれたものです。 その背中には様々な事を教えられました…。
     
良い上司に恵まれたと思っています。
 

この記事へのコメントは終了しました。

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