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リカンベント・ローレーサーについて考える(私見) その2

リカンベント・ローレーサーに乗る様になって半年が経ちました。

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この半年は乗り方などに課題が出て来るたびに先人達の言葉に耳を傾けて、対策や試行錯誤を繰り返しました。 とは言えロードレーサーみたいに専門誌やお店が乱立している訳でもなく(と言うか専門誌は皆無! 誰か書いて下さい!)、その情報源も限られています。 「だからこそ自分自身が試行錯誤して探求する楽しみがある」とも言えますが、盛豚は日本におけるリカンベント情報の発信源たる関西地方(特に大阪・京都・兵庫地区)に住んでいるから、「いざとなれば○○さんに聞けばいいや」みたいな余裕を持っていられるのかもしれません。
とは言え始めの内は頭と体を半分ずつ使いながら走らせる日々でした。

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漠然と乗るだけなら無造作に乗り慣れたら良いのでしょうが、少しでも高い次元でのスポーツ走行を味わいたくて手に入れたので、車体面で断片的にバランスの悪い箇所などの課題が出て来ると、どうにも我慢ができません。
車体側に課題が出て来るたびに、諸先輩やプロショップや工業界の人達の言葉に耳を傾けては、対策をしたり方向性を模索し続けました。 また、ローレーサーのみならずミッドレーサーやハイレーサーについても、許可を得ては試乗させて頂いたりしました。
そうしていく内にローレーサーという車種について、色々と見えてきた事があります。

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リカンベント・ローレーサーというと、「背が低くて見落とされ易く、危ないんじゃないか」とか、「目線が低くてスピード感が凄いだろうな」という指摘を受けます。 確かにそういう要素もありますし、最初の内はそうした部分に目を奪われがちだったのですが、走り込んでいく内に、もっと他に気になる要素が見えて来ました。
その中には自動車やオートバイ業界では厳しい批評の対象となるコーナリング性能も含まれており、つまるところ車体の挙動と性格というか乗り味みたいな部分です。

色々な車種の自転車やオートバイなどと比較すると、ほとんどのローレーサーは直進安定性を重視したセッティングに仕上げられており、コーナリングに関してはアンダーステアセッティング(旋回性が低い事)を軸としたマイルドなセッティングに仕上げられている事が分かります。
マイルドな特性は万人向けの基本ですので、これは当然の事と言えます。 ローレーサーの優等生とも言える『OPTIMA BARON』などはその代表例と言ってもいいのではないでしょうか。

(『OPTIMA BARON』)
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盛豚のLOW-RACERについても入手した当初はアンダーステアが強かったので、シート高を純正に近い位置まで下げたりして多少の改善を見る事ができました。 しかしながら高速域でのコーナリングについては前輪の接地感不足が顕著で、外に向かって吹っ飛んで行きそうになります…。
「そんなものなのかもな…」と諦めかけていた矢先に転機が訪れました。 日本国内では当代一のリカンベントライダーとして名高いやまおかさんの愛車に、つい先日試乗させて頂ける機会を得る事ができたのです。

リカンベント・ローレーサーの世界にはオランダのM5という自転車メーカーがあります。 ローレーサーの代表格であり一つの指針でもある『M5ローレーサー』を送り出すメーカーです。

(『M5ローレーサー』)
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その中の一つ『ライトニングM5ローレーサー』をやまおかさんは所有されています。

(やまおかさんの『ライトニングM5ローレーサー』… 美しい!)
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この個体はフロントフォークやポジションを始め多岐に亘る仕様変更・チューンナップが加えられており、乗り手の圧倒的なパフォーマンスもさる事ながら、マシンもかなりの物とお見受けしていました。 NET上の画像で観察するだけでも、ホイールベース・キャスター角・BB高・シートポジションなどの全体的なジオメトリーが他のローレーサーよりもずっとスパルタンで、独特のパフォーマンスを持つピーキーかつパワータイプの車輌ではないかという印象を持っていたのです。

パワーの面では自分が相応しいとは思えませんが、オートバイ時代・自動車時代の経験から、この手のマシンは乗り手を選ぶ代わりに乗り方さえ克服すれば、独特のパフォーマンスを発揮するタイプなのではないかと直感していました。 オートバイでは初期型のヤマハRZ、自動車ではチューンアップしたマツダロ-タリーのRX-7などがそれに該当しますが、これらはまさしく盛豚が熱中して来たパフォーマンサー達です。

全速試走はしていませんが低速だけでも十分に分かりました。 このマシンには盛豚が求めていた物が秘められているのだと…。
抜群の直進安定性。 コーナリングワークに入った途端にハッキリする、抜群のフロント加重が生む路面に吸い付いていく様なハンドリングとコーナリング特性。 特にハンドリングは素晴らしく、盛豚の予想を遥かに上回るものでした。 かつてAMAスーパーバイクチャンピオンシップでシリーズチャンピオンに輝いた、カワサキZ1000Rというオートバイに乗らせて貰った事があるのですが(市販車の方ね…)、このオートバイの卓越するハンドリングに良く似た特性で、ヤマハRZの比ではありませんでした。 そしてその両極端な性格が切り替わるハンドリングのピンポイント的な境界線…。

注目していたもう一つのポイントはBB(クランクの軸の部分ね…)の高さでした。 リカンベントはBBの位置が高いほど力のかかりが良いと言われており、盛豚のLOW-RACERでもシート前部を下げた時や全体的なシート高を下げた時に相対的にBB高が上がった事によって体感できていました。 

リカンベントのシートとBBの位置・角度関係については、ロードレーサーの乗車姿勢をそのまま90度~120度後ろに倒して、BBを手前に近付けた形が一つの基準だと聞いた事があります。 こうすると上半身と太股とヒザ下の位置・角度のバランス・パワー効率が良くなり、パワーロスが減るのだそうです。
盛豚がLOW-RACERのポジション調整をした時に最初にシート前部を下げたのは、体が本能的にこの位置・角度関係を求めたせいなのかもしれません。

更にシートを下げる場合はBBの高さが変わらないので、BBを軸にシートを後ろへ傾けながら下げる事になります。 つまりシートは下げるほどに角度が水平に近付き、上げるほどに角度が起き上がるのが妥当なセッティングであるという事になります。

(『OPTIMA BARON』に比べて…)
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(『OPTIMA X-LOWⅡ』ではBBが高くなってシートが下がった分、シートの角度は水平に近い角度でセットされているのが分かります。)12112910_2 

ただし乗り手によって体のサイズや体格は異なりますし、各自の好みによってセッティングは更に異なって来ますので、最終的なセッティングは人それぞれとなるのでしょう。

盛豚のLOW-RACERのシートはこれ以上下げる余地が少ない所まで下げていますが、相対的なBBの高さは『ライトニングM5ローレーサー』の方が圧倒的に高いのです。
ペダルを踏んでみると…、全くロスなく力がかかっていくのが分かります。 素晴らしい感触でした。 『ライトニングM5ローレーサー』みたいな超ハイBB車に長時間乗ると脚がしびれて来ると聞いた事がありますが、やまおかさんにお聞きしたら「慣れの問題」だと仰られていました。 
とにかくハイBBだと驚くほど力の掛りが良かったのが印象的でした。

実は盛豚の従来の個人的な考えとしては、「ローレーサーのジオメトリーとポジションの一つの基準として、片方のペダルを下死点(体から一番遠い位置)まで踏み込んだ時に、上死点(体に一番近い位置)側の脚以外は心臓よりも低い位置になるのが好ましい」というモノがありました。

(画像は左足が下死点に来るよりもクランク角で45度ほど手前ですが、下死点に来た時にヒザもつま先も心臓より下の高さになる様にセットしています。)
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これはサンデーライダーである盛豚のショボい身体能力と筋肉疲労との兼ね合いを重視した考えです。 その根拠はローレーサーで長距離を走ると、太股~ふくらはぎの中でもペダリング中に心臓より高い位置になる事のある部分に乳酸(疲労物質)が溜まり易い傾向があるからです。 両脚が四六時中心臓よりも高い位置にあったら、血行面が苦しくて力が入り難そうですし乳酸も抜け難いのではないかと考えていたのです。
ところが『ライトニングM5ローレーサー』の超ハイBBは素晴らしい感触を体に伝えて来てくれます。 中・高速で一時間以上走ってみないと最終的な結論は出せませんが、これほど完成度が高くて素晴らしい感触を体に伝えて来た自転車は初めてでした。
これは『ライトニングM5ローレーサー』のジオメトリーの良さもさる事ながら、それにも増してやまおかさんによるシート・ハンドル・他の総合的なセッティングのセンスの良さによる処が非常に大きいと思われます。

  
それにしても『ライトニングM5ローレーサー』…、ソリッドでスパルタンなマシンとはこの事です。 もしどこかのお店の店頭にこのマシンがあれば、今すぐに買ってこのマシンのレプリカを製作します。 しかし残念ながらそれは叶いそうにありません…。

でも年式に違いはあるかもしれませんが、盛豚の『China Mascot Products LOW-RACER』は元々M5ローレーサーをモデルにしたコピーモデルなんですよね。 まぁハンドリング特性は似ても似つかないのですが…。

(盛豚の『China Mascot Products LOW-RACER』)
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これがこんなカンジになってくれたらなぁ…。

(下手クソな加工画像ですみません…)
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何とかならないかな…。

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コメント

Performerのローレーサーからジオメトリーを見直して作られた、
HC-WORKS Super-Lowはどうでしょうねえ。
http://d.hatena.ne.jp/kuyu/20120429/1335870366
低速でしか乗車したことがありませんが、前輪への荷重はしっかりしていた記憶があります。
後、私のFFWD、前輪周辺に殆ど全てのメカが集中しているので、前輪荷重がしっかりしていて意外とコーナリングが得意です(番外編ってとこでしょうか)

China Mascot Products LOW-RACERは、けん。さん所有時に乗らせてもらいましたが、なんかが乗りにくかった記憶・・・ハンドルだったか?重かったような記憶です。
ビームだけ作ってBB中心位置を高くしてみるとか、買い換えるよりは安いかも。
Super-Lowは見ただけで乗ってないんですが、シートと前輪の位置の近さが尋常じゃないんでコーナーリングの感じとか違いそうですね~ 
誰か人柱に!

忘れてましたが、ホイールは重要なファクターですよ。
昨今完成車より高いホイールは当たり前ですが、値段なりの効果はあります。

チョイ乗りの試乗でこんだけ深く感じるものを得られていたとは驚きです!
バイクや車の経験って大きいですね。
お恥ずかしい話私なんてこの文面を拝見して初めてM5の実力に気付いた次第で・・・
確かに下りのワインディングは所有マシンではM5が一番安心感があります。
良かったら今度峠やハイペースランでの試乗もしてみて下さい。

あくまでも見てくれ重視でセッティングしたまでで、そんな褒めちぎられる様なベントライダーではありませんよ(笑)。
加工画像みたいなカッコいいマシンに仕上がるといいですね。

>El Gatoさん
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実はHC-WORKS Super-Lowについては春頃に検討していました。 リアアームとチェーンの干渉を懸念していたので、ジオメトリーをオーダーメイドしようと具体的に計算していたのですが、今のLOW-RACERが手に入ったので…。
残念ながらHC-WORKS Super-Lowの生産は中断している様ですので、今のLOW-RACERを見直そうかなと思案中です。

>kazさん
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最初はひたすら圧倒されていたChina Mascot Products LOW-RACERですが、乗り慣れて来ると課題が気になって来ました。 特に前輪加重不足は考え物で、ハンドルを「イヨッ」とこじってもアンダーを出しながらじんわりと曲がっていくと言ったカンジです(しかもステムの重量が重いので、切れも重い…)。
まぁ、高価なパーツを奢っている訳でもないので、やまおかさんのサラブレッドと比較する方が間違っているのでしょうね…。
Super-Lowは生産が中断されてしまってますので、残念ながら人柱のご期待に沿える事はできそうにありません…。 そもそも買い換える予算も無いですし…、ここは例の外注先の出番かなと…。
 
ホイール、そんなに劇的な効果があるのですか。 次の仕様変更でエンド幅を130cmにしますので、お下がりお待ちしております!pigheart04
   

>やまおかさん
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低速で数十m走っただけでもハッキリと分かるほど、やまおかさんのM5のハンドリングは非常に分かり易かったです。 その代わりリカンベント乗りでもローレーサーの経験が無い人が走らせるのは難しいハンドリングでしょうねェ。
ハイスピードのコーナリング…それも下りともなれば、まるで比較にならないシャープでソリッドなハンドリングを見せてくれるのは間違いないでしょうね。
あぁ、走らせてみたい…。heart04
   
>そんな褒めちぎられる様なベントライダーではありませんよ(笑)。
   
少なくとも当代一の食いしん坊ベントライダーなのは間違いないです!(笑)
    

シクロジャンブルでは試乗させて頂き、有難うさんでした。
ハンドリングの安定性ですが、トレール量変更が根本的解決法だとは思うんですが、
ステムの角度でも結構違いが出ますよ。
俺が以前バロンを試乗させてもらった時、安定性を調整するのにステムの角度を変えると如実に安定性が変わった記憶があるので。

>ツカモトさん
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こちらこそチェックして頂いてありがとうございました。
実はステムがハンドリングに影響しているみたいだというのは、シクロジャンブル当日の道中で感じ始めました。 直進性を追求する余りステムを寝かせすぎてしまい、コーナリングでバンクしても旋回せずに吹っ飛びかけましたよ。(苦笑)
帰り道で少しずつステムを起こして行き、今は我慢の限度といったところですが、再び前方視界が狭くなりました…。(汗)

昔々観た映画に“翼よ! あれが巴里の灯だ”って映画がありまして。
これに登場するSpirit of St. Louisって飛行機が、限界まで性能追求したために前方視界が無いんですよね。
リンドバーグは、前方視界を贄に性能が買えるならばいくら払っても良いと思ったみたいですわ。
リカンベントでも、飛行機と同じで前方視界を贄に購入できるものは結構多いですから。
低い空気抵抗、べダルにかけられる脚力、適正な重心…
無くならない限り、限界まで贄を払ってもええんじゃないですかね。

>ツカモトさん
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そう言えばSpirit of St. Louisのハナシは聞いた事があります。 あれと似たようなものでしょうか、LOW-RACERで総合的な走行バランスが良くなるステム角にすると、顔の正面に両手が来ます…。 まぁシートポジションがまだ固まっていないので暫定ですが、仕様変更したら妥協の無い最終的なセッティングを出す予定です。

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