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リカンベントのクランクについて考える(私見) その3

リカンベントのクランク長に関する考察の検証の為に、クランク長を172.5mmから175mmに変更して実走テストをするべく、180kmのロングライドを含めて750kmほど走ってみました。
最終段階とも言える175mmクランクでの走行回数・距離もそれなりに積みましたし、街乗り~ロングライドまで多岐に亘る乗り方を試しましたので、そろそろ自身のリカンベント・ローレーサーにおけるロングクランクの検証を整理してみたいと思います。

[参考]
・ロングクランクに関する考察はこちら
・172.5mmクランクの検証結果はこちら
・175mmクランクの中間インプレッションはこちら

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リカンベント・ローレーサーに組み合わせるクランク長について自分なりの考察・検証を続けて来ました。
その結論から言うと、「体重を脚力に上乗せできないリカンベント・ローレーサーに組み込むクランクの長さは、アップライト自転車で使用しているクランクよりもやや長めの物を使用して、レバー比を向上させる事で慣性と軸トルクを増幅させて補う方が良いのではないかという『ロングクランクの仮説』」は、やはり正解である事が確認できました。

但しこれはタイムトライアルや心拍数など厳密な数値を計測するなどの数値データーを伴っておらず、多分に肉体的な感覚や疲労感とサイコンで見る速度などの実感に基づいた判断である事をお断りしておきます。
また、チェーンライン・フリクションロスなどの構造的条件が若干異なるミッドレーサ-・ハイレーサーには必ずしも直結引用できる物かどうかは分かりません。 それから短いクランクとの比較走行テストをしていませんので、厳密に言うとショートクランクを否定するものではありません(自身の考察とえむきゅうさんの検証から察するに、試すまでもありませんけど…)。

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まず検証における寸法的なデーターをおさらいしておくと、以下の通りになります。

・盛豚の身長 : 173cm
・盛豚の股下 : 79cm
・盛豚のXシーム : 110cm
・クランク長 : 従来は170mm、テストしたロングクランクは172.5mmと175mm

また最終的なクランク長の選択・確定については、172.5mmと175mmのそれぞれに盛豚との相性・特性の違いを感じましたので、盛豚と同じ体格であっても乗り方によって選択肢が違って来ると思いますし、言い方を変えれば両方とも選択肢に入るという事が確認できました。

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[172.5mmクランクについて](テスト走行距離は合計400km)

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クランク長が2.5mm伸びてペダリングサークルと脚の伸展域・稼動角度が若干大きくなった事で、始めの内は微かな違和感(回し難いというカンジね…)を感じました。 そこで違和感がなくなるまで6割程度の走行ペースで慣らし運転をしたところ、60kmを超えたあたりで違和感が解消されたので、比較的早めに全力走行へ移行しています。

全力走行に移る頃には170mmクランクとほぼ同等のケイデンスで走行できました。
クランク長が僅か2.5mm伸びただけにも拘らず、てこの原理で言うレバー比が向上した事により、発進・加速・巡航・登り・向かい風の全条件下で足に掛かる負荷が軽くなりました。 結果的に170mmクランクの頃よりも少ない脚力で走れるようになり、少々手抜きをしても従来通りの速度を出せてしまいます。
特に登り勾配や向かい風の中などの負荷が大きい状態の時ほど、クランクの慣性と軸トルクの増幅による恩恵を実感できました。

※…(詳細は『その2』を参照)

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[175mmクランクについて](テスト走行距離は合計750km)

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クランク長が175mmになるとペダリングサークルが明らかに大きくなるので、脚の伸展域・稼動角度が大きくなった事がすぐ分かるほどに違和感(回し難いというカンジね…)があり、「さすがに練習もせずには回せないかな?」と感じたので、まずは脚の慣らし運転が必要になりました。 いきなり全力で走ると脚の各関節が炎症を起こしそうな予感がしたので、5割程度の走行ペースを上限に数回に分けて合計150kmほど慣らしをしてから、6割程度の走行ペースを上限にロングライドで速度と距離を上乗せして、500kmを越えたあたりからペースを上げ始めています。
クランクテストをしている間にも「175mmクランクは回し難い」とか、「175mmクランクは必要なケイデンスまで絶対に回らない。 試すだけ無駄だ」などと言われた事もありましたが、盛豚が実走テストをした限りでは必ずしもこれらの否定的な意見とは一致しませんでした。

175mmクランクに脚が慣れるのには長い時間と距離を要しましたが、172.5mmを大きく上回るクランク慣性と軸トルクの増幅により、筋肉疲労が激減してとても楽に走れるようになりました。 とにかく脚力を使わなくて済むので拍子抜けするほど楽に走れます。 40km/h以下での走行なら175mmクランクがベストマッチでした。

しかしながら慣れて来るほどにケイデンスも上げられるようになったとは言え、170mmや172.5mmと同じレブリミットの高ケイデンスを維持するのは困難でした。
盛豚はLOW-RACERで走る時に、上り坂や40km/hを超える高速域では脚力だけで加速しようとしても推進力が不足するので、脚力よりもクランクの慣性に頼って加速する乗り方が必要になるケースがあります。
(シフトアップしてから脚力頼みで加速するのではなく、先に加速して状況に応じて最高100~120rpmのケイデンスによる高い慣性を確保してからシフトアップして、シフアップ直後のドロップでケイデンスが低下しても90~100rpm辺りのパワーバンドにはまるようにする事で、そこからの速度維持や加速が可能になります。 ちなみにシフトアップしたら失速してしまうというのは、ドロップしてケイデンスが低下した結果パワーバンドから外れてしまった事の表れです。 これは自動車やオートバイによる高速域での加速方法の応用で、レシプロエンジンでは最高出力発生回転数よりもレブリミットの方が数千rpm高い回転数である理由は、オーバーレブ対策の他にこうした理由があります。)
175mmクランクでこのケイデンスと同じ回転数を維持しようと思ったら、今の調子の習熟度では先の長い話になりそうです。 しかし増幅したクランクの慣性と軸トルクによって、全く同じ回転数に拘らなくても楽に速く走れるようになりました。

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-----(総括)---------------

体育理論的な視点の考察については、既にえむきゅうさんが某サイトで記述されていますので、盛豚の考察・検証は工学的な視点から進めてきましたが、それぞれ視点は違えど「ローレーサーには、アップライト自転車で使用しているクランクよりもやや長めの物が適している」という結論は同じでした。

170mm・172.5mm・175mmの三通りのクランクをテストした結果、クランク長が伸びるほどに慣性と軸トルクが向上する一方で、ケイデンスのレブリミットが下がって来る事は否めませんでした。 巷で言う「ショートクランクの方が回しやすく、ロングクランクの方が回し難い」という定説は確かです。
しかしながらこれは相対的な比較論に過ぎず、175mmクランクだからと言って走行性能が落ちてしまうほど回せないという事はありませんでした。 若干ケイデンスのレブリミットが下がってもクランクの慣性と軸トルクの増幅で十分に補えるので、走行性能はむしろ上がったほどです。 ただどうしても170mmクランクとほぼ同じ高ケイデンスまで回す事や40km/hから上の高速域の伸びを重視するのであれば、175mmクランクよりも172.5mmクランクを選ぶべきかもしれません。

それから172.5mmクランクとは違って、175mmクランクは慣れるのに長い時間・距離の慣らし運転だけでなく、長い慣熟走行を要しました。 172.5mmクランクは70kmにも達しない内から全力走行が可能でしたが、175mmクランクでは全力走行が可能になるまでに500kmほどの走行を要しています。 これだけ走ってケイデンスも上げられてきたとは言え、それでもまだ170mmクランクの頃に比べて90%程度のケイデンスにしか達していません。
2~300km程度の走行や2~3回程度のテストでは十分な結論は出し難く、「175mmは回せないからダメだ」という結論を出された方の中には、もしかしたら慣らし運転と慣熟走行の量が不足していた事が原因だった方もいらっしゃるかもしれないなぁというのが、個人的な感想です。

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結局175mmクランクはローレーサーでは使えないのかと言うと、決してそのようなことはありません。 最初は「ダメだこりゃ…」と感じた175mmも長い慣らし運転・慣熟走行をする事によって、先にも述べたように40km/h以内ではその圧倒的な威力を如何なく発揮できましたし、バリバリのローディーとは違って高ケイデンスを嫌い、やや抑え目なケイデンスで高めのギヤを選んでトルク重視の走り方を好むパワーライダーであれば、175mmクランクの方が相性が良い可能性は高くなります。

もちろん体格などにもよりますし、脚の伸展域・稼動角度にどこまで対応できるかは個人差がありますので一概ではありませんが、えむきゅうさんのように高い身体能力を維持されて、身長165cmの肉体で172.5mmクランク(身長対比10.45%!)を立派に使いこなしていらっしゃる高速型ベントライダーもいらっしゃいます。
身長対比10.45%という数字はさすがに身体能力がかなり高い方に限定されるかもしれませんが、やはり盛豚の肉体でも175mmクランク(身長対比10.11%)は十分に選択肢に入っている事が再認識できます。

このように、少なくとも盛豚と体格が近いかそれ以上のライダーであれば、175mmクランクが適合する可能性は十分に考えられると思います。
クランク交換に限定せずトータルでのセットアップを考えて良いのなら、175mmコンパクトクランクにロード用の中~高速向けカセットスプロケット(11-28T~11-21Tあたり)を組み合わせれば、劇的に走りが変わるでしょう。

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これは余談になりますが…、

実は一連のクランクテストの過程において、172.5mmクランクを組んで一回目のロングライドを終えた時に、LOW-RACERのカセットスプロケットをMTB用の9速ギヤ(11-34T)からロード用の10速ギヤ(12-27T)に交換しています。

ビギナーの頃は上り坂用の保険の意味で、低いギヤ比まで確保されているワイドレシオなMTB用カセットスプロケットには安心感がありましたが、フロントギヤをアウターだけに拘らずにインナーも活用すれば、必ずしもMTB用カセットスプロケットである必要はありませんでした。
むしろ平地専門の盛豚にとっては、ちょっと慣れてくるとギヤレシオが離れ過ぎていて乗りにくさを感じていましたし、ましてコンパクトクランクを組み込んだ日にはインナーが34Tになるので、ヒルクライムやダウンヒルの専門でもない限りMTB用ワイドレシオは無用の長物になってしまいました。

ノーマルクランク(53-39T)をコンパクトクランク(50-34T)に変更した事でファイナルのギヤ比が落ちた為、登坂に備えた低速ギヤは十分に確保できますので、カセットスプロケットは中速から高速への繋がりの良さを重視した物を選んでいます。

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今回のログをもって一連のクランク考察と検証のシリーズはひとまず完了という事にしたいと思います(175mmでも苦戦したので、これ以上長いクランクはキツそうです…)。
これら一連の考察と検証に踏み切るにあたり、えむきゅうクランク研究所さん(笑)より各種のクランクを供給して頂いた他に、某サイトでえむきゅうさんの考察と検証をまとめた論文を参考にさせて頂きました(何回読み返したか分かりません。 おそらく某サイトの論文には盛豚の電子手垢が付いて黒くなっているでしょう…)。

えむきゅうさんの論文は体育理論的視点から・盛豚の作文は工学的視点から、それぞれの視点から考察・検証を行っていますので、手前味噌ではありますが両方併せて読み返してみると興味深いと感じます。

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コメント

さすが盛豚さん! 素晴らしい論文ですね。
えむきゅうさんの文面と合わせてベントライダー達に大いに参考になることでしょう。

11年間、何の論理も考えずフィーリングだけで乗って来た自分が恥ずかしくさえ思えます(笑)
遅いのは単にトレーニング不足のせいやとずっと思い続けてました(汗)
ただ私が試したところで2.5mmの差は判らん、いや5mmですら判らんでしょうがね。
それから私の場合はスタイル的に前輪との干渉等、マシン側での制約が大きい為、165mmがメインなのが哀しい・・・(笑)

おはようございます。
クランク考察、お疲れ様でした。
いやいや大変参考になる記事でしたよ。
リカ以外の自転車では自他共に認めるトルク派ですがLYNXXに乗るとどうもクルクル回すケイデンス系の乗り方になり多少違和感みたいなものも感じてました。
まあこれはMTBみたいな感覚で乗ればいいのかもしれませんね。
あとロード用のコンパクトクランクと一般的なロード用10速カセットの組み合わせでも登坂対応が可能とのこと、これは心強く感じました。
やはりロードと違いリカンベント=登坂が苦手という印象が強かったものですから(LYNXXでも感じてましたし)
最近色々な意味でローレーサー(いやリカンベント全体かも)に対する敷居の高さを少し感じていましたが幾分和らいだ気がします。
今回の記事を拝見しもし自分がローレーサーを購入するならこんな仕様というのがおぼろげに見えてきた感があります。
近いうちにLYNXXで試したいことがあります。
ボチボチと『リカで修行』モードに入りますよ(笑)

>やまおかさん
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長々と稚拙な作文にお付き合い頂いてありがとうございました。 えむきゅうさんみたく上手に要点をまとめたシンプルで読み易い文章を書く文章力がありませんので、延々と長い文章になってしまいお恥ずかしい限りです。(笑)
  
私の肉体ではケイデンスの172.5mm、トルクの175mmというのが検証結果でした。 まぁ人によって好みは違いますので、答えは人ぞれぞれの好みで選んで頂ければ良いと思います。 もし私がやまおかさんやfoxさんみたいに、脚力に恵まれた高速型ベントライダーだったら172.5mmを選ぶと思うのですが、今しばらくは175mmを見届けるつもりです。
  
時間をかけて考えずとも、体のフィーリングですぐに答えを出せるやまおかさんが羨ましいです。 こんなに時間を掛けている私の方こそ恥ずかしいですよ…。(汗)
2.5mmの差・5mmですら判らないという事は、逆の言い方をすると5mm差があっても体が調整して克服できるという事なのでしょうからね。
それにしてもレバー比が小さくて脚の負担が大きい165mmで走れるところが凄いですね!
  

>kimotoshiさん
  
今晩は。
シリーズ連載の長文にお付き合い頂いてありがとうございました。(苦笑)
  
結論はやっぱロングクランクでしたね。 172.5mmか175mmなのかは人によりけりですが、実は175mmを組んで走り出した瞬間に「ダメだこりゃ。買うんじゃなかった…」と後悔したほど違和感がありました。 それが今では175mmをフツーに回せて恩恵を感じています。 特にロングライドの帰り道で向かい風の中を走ったり、アップダウンを越える度に「コイツはスゲェ!」と感動しています。 これでもうちょっと回せれば…。
  
kimotoshiさんは元々がトルク型でローケイデンスを好まれるパワーライダーですから、どちらに該当するかはテストで判断される方がいいでしょうね。 身長対比では175mmは大きい印象もありますが、これまでご一緒して見て来た限りでは、えむきゅうさんと同様に脚の伸展域・稼動角度が大きい(身体能力が高い)とお見受けしていますので、念の為に175mmのロングテストをする価値はあるかもしれませんね。 宜しければ私のクランクをお貸ししますよ。(笑)
  

こんばんは。
お久し振りです。

この度は、えらく高評価を頂きまして、いやはや恐縮でございます。

私の場合盛豚さんのような工学的な理論は持ち合わせておりませんので自分の体に起こった相違点。特に筋肉への負荷と疲労感で比較するしか検証の術がなかったもので…

しかし、「クランク研究所」「高速ベントライダー」「高い身体能力」は過大評価ですよ(^_^ゞ

まぁ何はともあれお役にたてたようで光栄でございます。

確かに実際165だと全く走れなくなったし、170から172.5はそれほど違和感は無く、簡単に適応できましたが、175になると途端に大きな変化に戸惑いました。
『たかが2.5㎜されど2.5㎜』ですね。

この検証結果を読んで、再度175を試してみよっかな?って気になってしまいそうです(^^)

>えむきゅうさん
  
今晩は、博士!(笑)
つまるところ考察・検証の方法について、お互いに得意分野の物差しを持ち込んだという訳ですね。(笑) それにしても…
 
「クランク研究所」 … 最大所有本数7本
「高速ベントライダー」 … 西明石往復でAv:30.4km/h
「高い身体能力」 … 身長比10.45%のクランク長は、私に当てはめると180mmクランク

適正評価かと!scissors
ともあれ色々とありがとうございました。 

私も170mmから172.5mmはほとんど違和感なく適応できましたが、そこからの2.5mm・175mmは一つの壁でさえありましたよ。 この壁を克服する要因となったのが、「慣れるまでに少々時間が掛かった」というfoxさんのお言葉でした。 これをヒントに「時間を掛けて緩やかに長い距離を費やせば、オイラの脚も175mmに慣れるかもしれない」と考えた結果、ここまで来れました。
賛同できないという人もいるかもしれませんが、私自身はえむきゅうさん・foxさんのお二人と同じ方向性の答えに辿り着いたというだけで十分ですし、恩恵は自身の巡航性・登坂力・耐久性が如実に物語っていますので満足しています。 お蔭さまで「今後は状況に応じて172.5mmと175mmを使い分けるのもいいかな?」などと贅沢な悩みに浸る今日この頃です。
えむきゅうさんもまた禁断の果実175mm(身長比10.90%!)を試してみます?(笑)
  

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