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『岳』傑作集 ベストクライミング

昨年の夏に完結した『岳』の傑作集が出ていました。

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今回の傑作集は、10年間に亘る連載作品の中から抜粋した傑作8話と、単行本には未収録だった1話が収録されています。 この未収録だった1話が目当てで買ってしまったのですが、なぜか恒例の後書きやおまけ話などの作者の声は掲載されていませんでした。

二十年近く山に登って来た者として、『岳』は山の素晴らしさを読者に伝える一方で、多くの人々や報道が目を向けようとしない〝不都合な真実″にもキチンと向き合って触れているなと一目を置いてきた作品です。

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雨の山で遭難しかけたり、雪山でホワイトアウトに包まれてコースを見失いかけたり、深刻な水不足に陥ったり、七人の後輩を連れて北アルプスに上った時に後輩の一人が高度障害を起こしたり、etc…、自分自身も色々な経験をしました。

富士山が世界遺産(文化遺産だけど…)に登録された今、登山人口の爆発的な増加が予想されます。 それは即ちビギナーやブランク明けや低経験で3000m級の山に登ろうとする素人の増加という事であり、つまるところ山岳事故の急増の可能性を意味します。

これからの時代にこそ山に関心を持つ多くの人々に『岳』を読んで欲しいのですが…。

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『岳』の登場人物である〝牧さん″に関して、故篠原秋彦氏へのオマージュとして容姿のイメージを一部取り入れた事について、かつて「遺族に許可を得ていなかった」と作者が後書きで謝罪している一文がありましたが、この前後から作者が色々と苦悩している様子が本編でも感じられ、ストーリーの方向性やムードが変わって行き、程なく連載は終了してしまいました。
○ラゴンボールみたいに人気があるからと無理に連載を続けさせ過ぎて、作者もストーリーもボロボロになってしまっては元も子もありませんが、個人的には今こそこうした山の厳しい現実に目を背けないで向き合った作品が現れて欲しいと思わずにはいられません…。

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連載終了後、NET上では「『岳』の結末は読者の心を傷つけた」と批判する自分勝手な読者の声が散見されましたが、編集・読者・他が作者の心を傷つけた事については、あまり触れられていませんでした。
未収録作品に釣られて買ってしまったこの傑作集も読み終えましたが、書き下ろしも加筆も恒例の作者の後書きもおまけも振り返っての一言も掲載されておらず、収録された8話を選んだ根拠も解説されていませんでした。 作者へのケアはその後もされていないのかな…。

久し振りに『岳』を読めたという喜びの一方で、少し寂しい気持ちが滲んで来ました…。

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