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リカンベントのペダリングについて考える(私見)

本屋さんで見かけるロード系の自転車雑誌を眺めていると、新規参入のビギナーさんへの配慮なのか毎年一回は「ロードバイクでのペダリングに関する解説」みたいな特集記事が掲載されているようです(読んだ事はありませんが…)。
ではリカンベントでのペダリングとはどのようなモノなのでしょうか? 盛豚なりに経験を振り返りながら考えてみたところ、色々な事が見えて来ました。

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-始めに-

先に書きますが今回は長文です。 お読み下さる方はお時間がある時に読んでやって下さい。

それからこのテーマは関係して来る要素が多いので、一つ一つを事細かに突き詰めてまで全てを咀嚼して書ききれず、大雑把な例で済ませてしまうケースが出て来ます。
また、画像や図の表記に関する寸法や角度などの数値に若干の誤差が生じて見えるケースもあるかとは思いますが、画像の細かい精度やデジカメの画角にまで拘って厳密に測定しながら完璧な内容のログに仕上げようと思ったら書き終わらないので、話を進め易くする為にその辺はある程度大目に見て「ちょっぴりファジーで大まかな話」として読んでやって下さい。

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尚、これは例によって盛豚の車歴+試乗経験(ハイレーサーは試乗経験のみで所有した事がありません)とヨーロピアンシートやビンディングペダルを使用しての走行経験に基づいた「私見」に過ぎないモノであり、盛豚とは体格・身体能力・ライダーとしての車歴や経験とそのレベル・他の条件が異なる方には必ずしも当てはまるとは限りませんので、その旨については予めお断りしておきます。

参考までに盛豚の身体スペック・車歴・試乗経験について以下に記します。

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[盛豚の身体スペック]
・身長:173cm
・体重:70kg
・股下:79cm
・Xシーム:110cm

[所有車歴]
・OPTIMA LYNXX(シート角:リクライニング角を段階的に最起角→最寝角へ変更)
・ChinaMascotProducts LOW-RACER(シート高:8cm嵩上げ→限界までダウン)
・Lightning M5ローレーサー(シート角:リクライニング角を延長起角→最寝角へ変更)

[試乗経験]
・Bike-E
・OPTIMA BARON系
・Performerハイレーサー&ローレーサー系&スーパーローレーサー
・HPV Speedmachine
・RANS F5系
・Velokraft vkhi
・TROYTECレボリューションLR
・その他色々

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【第一章】(ペダリングの基本メカニズム)

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一般的にビンディングペダルを付けた自転車でのスポーツ走行におけるペダリングは、踏み込み運動ではなく回転運動が望ましいとされています。 ところが意外とこれが難しくて、ロードレーサーに乗っている人でも「回すペダリング」をマスターできずに、いつまでも「踏み込むペダリング」で走っている人も多いと聞きます。 これはロード乗りのレベルがどうこうという問題ではなく、それだけ「回すペダリング」が難しいという事を意味しています。

盛豚も最初に手に入れたリカンベントのOPTIMA LYNXXを納車した頃は、踏み込み運動のペダリングで乗り始めました。 そして車体に慣れてきて更にChinaMascotProducts LOW-RACERでのスポーツ走行を通じて習熟度が上がった今では、以下のような①~③の段階的複合ペダリングをしています(②と③の境界線を約30rpmとしていますが、その数値は速度・ギヤ・クランク長・風向き・走行負荷などの条件によって変動します)。

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①ゼロ発進の時
左右の脚を交互に踏み込みます(エンジンに例えると2ストロークパラレルツインエンジンの動作みたいなモノです)。
具体的に言うと… 静止状態では左足を地面について右足をビンディングでペダルに固定した状態で待機します。 ここから発進する時にまず最初に右脚を思いっきり踏み込みながら素早く左足を上げてペダルに乗せます。 そして左脚でペダルを踏み込みながらビンディングを固定します。

(赤い矢印の方向に踏む)
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②低回転域(左足のビンディングがはまった瞬間~ケイデンス約30rpm)
左脚を踏み込むと同時に右脚は引き足動作をします。 右脚を踏み込む時は同時に左脚で引き足動作をします(エンジンに例えると2ストローク位相同爆V4エンジンの動作みたいなモノです)。

(片脚を赤い矢印の方向に踏むと同時に反対の脚は青い矢印の方向に引く、これを左右交互に繰り返す)
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③中・高回転域(ケイデンス約30rpm~トップエンド)
両脚で位相の回転運動をします(エンジンに例えると2ローターのロータリーエンジンの動作みたいなモノです)。

(左右の足が180°逆の位置で同時に回転運動をしている)
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これはケイデンスが高くなってクランクの軸トルクや回転慣性がある程度強くなって来ないと、回転運動だけで推進力を確保する事が困難だからであり、軸トルクが不足する30rpm以下の回転数では①や②のペダリングで補っているのです。
昨年テストした+2.5mmと+5mmのロングクランクではこの軸トルクを増幅する効果を得られたので、その恩恵で②→③の切り替わりポイントとなるケイデンス値も下がりました。

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そもそも何故ペダリングが踏み込み運動になってしまうのでしょうか? なぜ回転運動が難しいのでしょうか? 盛豚なりに仮説を立てて考えてみました。

まず「回すペダリング」の要素を分解していきます。 ペダリングの回転運動を「四つの方向の脚運動(ベクトル)の複合体で構成されていて、その複合比率が常に変動する事で円運動になっている」と仮定して、そのベクトルを方向別に以下の通り四分割してみました。

下に踏み込む力
前に蹴り出す力
後ろに蹴り下げる力
上に引き上げる力 

(脚運動の方向の四分割)
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そして少々強引ですが、上死点をスタート地点としてペダルを一回転360°漕ぐ時の回転運動を、上死点を基軸として90°毎に下の図の①~④に四分割してみると、①~④のそれぞれが二方向の脚運動を混合してその混合比を変化させながら移行する事で成り立っていると考える事ができます。

①最初の90°で足を下に踏み込みつつ前に蹴り出します(の複合運動)
②次の90°では足を下に踏み込みつつ後ろに蹴り下げます(の複合運動)
③続く90°では足を上に引き上げつつ後ろに蹴り下げます(の複合運動)
④最後の90度では足を上に引き上げつつ前に蹴り出します(の複合運動)

(回転運動の四分割)
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おそらく趣味の自転車乗り以外の方は、「下に踏み込む力」だけを動力源として左右交互の踏み込みペダリングを行っているでしょう(引き足を使っていないので、単純計算で両脚によるクランク一回転あたりの入力は、回転運動の1/2の力しか入力できていません)。 そこへビンディングペダルを導入すると引き足が使えるようになります。 更に回転運動を心掛ける事で理想的なペダリングに近付いていく筈なのですが、「そうは問屋が卸しません」とばかりにそこから先が険しい道のりとなります。

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その主な要因として先程四分割した力(下に踏み込む力、前に蹴り出す力、後ろに蹴り下げる力、上に引き上げる力)の強さにバラつきがあるせいでは無いかと考えています。
冷静に観察してみると良く分かるのですが、人間は両脚で立っているので日常的に体重を支えて筋トレをしているようなモノですから、下に踏み込む力が最も発達している事になります。 その次に強いのは上に引き上げる力で、その次に強いのは前に蹴り出す力、そして最も弱いのが後ろに蹴り下げる力だと思います。

この事を踏まえて上の『回転運動の四分割』の画像を見ると、多少練習しても①~④の力の大きさは等しい強さになり難く、

①>②>④>③ 

に近いモノになりがちであると推察されます。

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【第二章】(リカンベントにおけるペダリングの基本メカニズム)

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ここまでの事を踏まえてリカンベントに視点を移すにあたって、一つ大事な事があります。
それはリカンベントの車体構造と乗車姿勢の関係から、ペダリングにおける上死点や下死点などの各ポイントがアップライト自転車のそれを約90°位(モノによってこの角度には多少の前後幅があります)後ろに傾けた位置になるという事です。

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※…(この「前後幅」というのはハイレーサー・ミッドレーサー・ローレーサーの違いや機種によるジオメトリーの差などによって角度が少々異なるという事なのですが、最近では「この事にBB位置やシートポジションとの相対的な位置関係という要素が加わると、場合によってはペダリングの効率と走行性能に影響を与えるほどの大きな意味を持つ」と感じるようになって来ました。 その事については後述します)。

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これをベーシックなミッドリカンベントで見てみるとこんなカンジになります。

(右クランク上死点)
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(右クランク上死点でライダーが乗った状態)←右クランクが若干下にズレちゃってますが気にしないで下さい…
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(右クランク角90°)
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(右クランク角90°でライダーが乗った状態)←右クランクが垂直上まで上がりきっていませんが気にしないで下さい…
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(右クランク下死点)
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(右クランク下死点でライダーが乗った状態)
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(右クランク角270°でライダーが乗った状態)←右クランクが垂直下まで下がりきっていませんが気にしないで下さい…
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つまりリカンベントの場合は回転運動の四分割がこんなカンジになるのですが…

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実はここに一つの要素が影響を与えてきます。 それは重力と脚の質量です。
これは元々アップライト自転車の回転運動にも含まれているのですが、リカンベントの「クランク上死点を基軸とした十字線」がアップライトの「クランク上死点を基軸とした十字線」から後ろに向かって約90°回転する形で変わるのに対して、重力の向きは地面に向かって垂直方向から変わりません。
つまりペダルに対して重力と脚の質量による力が掛かる方向が、リカンベントではライダーの下方向ではなく後ろ方向へと相対的に90°変わる事になります。

その事がペダリング自体に影響を与える事になるので、今からこれを加味してみたいと思います。

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成人男性の四肢(肉体を構成するパーツの内の両腕と両脚の計四本)の平均重量は人にもよりますが約5kg前後だと聞いた事があります。 これを目安に腕と脚の重量差を鑑みて脚の重さをここでは約7kgと仮定しましょう。

これを上の図に反映させると…

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②と④では元々加わっている「重力と脚の質量による約7kgの力」がかかる方向が変わるだけですので±は0kgです。
①ではアップライト自転車の時に推進力に加算されていた「重力と脚の質量による約7kgの力」が加算されなくなるので、上の画像では-7kgと表示しました。
③ではアップライト自転車の時には無かった「重力と脚の質量による約7kgの力」が推進力に加算されるので、上の画像では+7kgと表示しました。

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四つの方向の脚運動の中で最も弱い「後ろに蹴り下げる力(リカンベントなので矢印の向きが90°変わっています)」に約7kgの力が加算され、最も強い「下に踏み込む力」から約7kgの力が差し引かれる計算になります。

これにより①~④の力の大きさの差はだいたい…、

・アップライト自転車:①>②>④>③
   ↓ ↓ ↓
・リカンベント:①≒②>④≒③

と言うカンジで、それぞれの差が少なくなって来ると考えられます。 装置を用意してキチッと測定した訳ではありませんが、少なくとも盛豚自身は走行感覚からもこの理屈と同じ事を感じています。

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ここで大事なのは「①~④の差が小さくなった事」と「最も弱かった③が増幅された」という事です。
何故なら盛豚は第一章で述べた通り「ペダリングの回転運動を困難にしている主要因は、四つの方向の脚運動の強さにバラつきがあるせい」だと考えており、リカンベントではこのバラつきが緩和されて①~④の力の差が少なくなる事により、「回すペダリングがし易い」という仮説が成り立つからです。

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この仮説については装置を使ったデータ測定などといった検証を行っていませんが、既に盛豚は何年もアップライト自転車とリカンベントの両方に乗ってきて実感できていますし、多少なりとも回転運動を心掛けて意識しながら走ってられるリカンベント乗りの方でしたら、この仮説の正否についてはご自身の走行感覚と照らし合わせればすぐに答えがお分かりになると思います…。

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【第三章】(「クランク上死点を基軸とした十字線」の角度の変化によるペダリングへの影響)

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さて、ここからは同じリカンベントの中でも車種による「クランク上死点を基軸とした十字線」の角度の違いと、ペダリングへの影響について考えてみたいと思います。

ミッドリカンベントのLYNXXでは、BB軸とライダーの大腿骨の付け根がほぼ水平になっているのが分かります。

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これがローレーサーになるとBB軸やシートの高さが低くなり、そのBB軸を中心にシート角が後方へ傾きながら更に下がっていき、クランクの「クランク上死点を基軸とした十字線」も少しずつ後方に傾いてきます。

(ChinaMascotProducts LOW-RACERでの右クランク下死点でライダーが乗った状態)
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(Lightning M5での右クランク下死点でライダーが乗った状態)
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改めて三台を右クランク下死点でライダーが乗った状態で並べてみます。

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三脚にセットしたカメラのセルフタイマーを押して、バタバタと車体に駆け寄って慌しく乗っての撮影だったせいもあり、着座位置やライディングフォーム等に若干の乱れがあるものの、車輌によるフォームの違いは概ね表れています。

これに「クランク上死点を基軸とした十字線」を書き込むとこうなります。

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LYNXX→ChinaMascotProducts LOW-RACER→Lightning M5と、下に行くほど「クランク上死点を基軸とした十字線」が後ろに向かって傾いているのが分かります。 上の画像ではM5の画像だけ若干後ろ下がりですが、それを補正しても「クランク上死点を基軸とした十字線」はChinaMascotProducts LOW-RACERより後ろに傾いています。

(ついでと言っちゃナンですが、この三台の今回の内容に関係して来るスペックを書き出しておきます)
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クランク角90°の状態のM5の画像を車体を水平に補正して出してみました(ゴメンなさい、上の画像を遡って補正するのは勘弁して下さい…)。

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ここに「クランク上死点を基軸とした十字線(下の画像の赤い十字線)」と、「地面に対する水平線と垂直線(下の画像の青い十字線)」を入れてみます。

(クランク角が5°不足して85°になっちゃってますけど気にしないで下さい…)
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盛豚のLightning M5ローレーサーでは「クランク上死点を基軸とした十字線」が15°後方へ傾きました。
これにより上死点がミッドリカンベントよりも15°早くなりますので、最も強い「下に踏み込む力」をミッドリカンベントよりも15°早く始める事ができます(ピンク色の15°)。
下死点~クランク垂直下…つまり「重力と脚の質量による約7kgの力」の恩恵を享受できる率が高い「後ろに蹴り下げる力」の角度が15°増えた105°となります(緑色の105°)。
前に蹴り出す力」を主力に持ち上げざるを得ない角度が15°減った75°と少なくて済みます(オレンジ色の75°)。

つまり「クランク上死点を基軸とした十字線」が15°後ろに傾いたお蔭でミッドリカンベントに比べて…

・強い力を15°早くから発揮できる。
・下死点から「重力と脚の質量による約7kgの力」の恩恵を15°多く受けられる。
・上死点に戻る最後のしんどい部分が15°も少なくなる。

という三つのメリットを得られるという理屈です(実際に乗り比べると楽に「回すペダリング」ができます)。 二台のローレーサーのポジションを何度も変更しながら乗って来た結果として、BB位置に対して相対的なシート位置が下がりシートのリクライム角が寝るほどに、「回すペダリング」をし易くなりました。

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もちろんシートを下げて寝かす事によるメリットには限度というモノがあるとは思いますが、これ以上シートを下げる事ができないので、BB高とシート高の相対的な位置関係の限界… すなわち「クランク上死点を基軸とした十字線」をどこまで後ろに傾けて良いのかという限界がどの辺なのかは分かりませんでした…。

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【第四章】(BBとシートの相対的な位置・角度関係が生む仰角による影響)

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実はペダリングに影響を与えるもう一つの要素として、「BBとシートの相対的な位置関係」というモノがあると考えています。

今回比較した三台のリカンベントを比較している内に、ある共通の方向性とでも呼ぶべきモノがある事が明らかになりました。 それは大腿骨の付け根すなわち脚の付け根の位置を中心点としてBB軸に向かって伸びる線(下の図の赤い線)と、脚の付け根の位置を中心点としてシート背面(大腿骨付け根から脇までを結ぶ直線)に向かって伸びる直線(下の図の青い線)の二線の角度(以後これを『BB⇔シート仰角』と呼びます)で、この角度が三台とも約140°以上だったのです。

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リカンベントに乗り始めの頃は下手な「踏み込みペダリング」だったせいか『BB⇔シート仰角』がやや狭い方が脚を踏み込み易かったのですが、ペダリングのスキルが上がって「回すペダリング」ができる様になると『BB⇔シート仰角』が広い方が回し易い事に気がつきました。

(LYNXXでは緑の角度が約140°です)
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ChinaMascotProducts LOW-RACERでもM5でも測ってみると、前者が約140°で後者が約150°でした。
この三台のBB⇔シート仰角は特に統一しようとした訳ではなく、三台ともそれぞれに走行感覚で最も感触の良い角度にセッティングしてみました。 実はこの三台にはシート形状に違いがあり、LYNXXとM5は脇から上のカーブが緩やかなミッドリカンベント用の形状をしたシートを使用しており、ChinaMascotProducts LOW-RACERだけは脇から上のカーブがややタイトなローレーサー用のシートを使用しています。 それにも拘らず結果的にBB⇔シート仰角は約140°~150°になっていました。

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結果論とは言えこれは嬉しい収穫でした。 何故ならこのBB⇔シート仰角が三台とも近似値であるという事は、以前試乗させて頂いたやまおかさんのM5とX-LOWの体感的なBB⇔シート仰角がほぼ一致していたのと同様に、盛豚がパワー効率で最も優れていると感じたポジションは大きくブレていないという事を意味するからです。

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もう一つの理由は、RECUMBENT・JOURNALやRECUMBENTS.COMなどのリカンベントに関する海外のサイトで紹介されている記事では、スポーツ用や競技用のリカンベントではBB⇔シート仰角の目安が120°~140°と紹介されているケースがよくあり、更にトラックレーサーなどの効率最優先な競技専用車輌では140°を超えるセッティングの車輌が多いからです。
実績が出ているという事もありますが自分自身の走行感覚から得る手応えにおいても、程度によっては仰角140°以上のセッティングというのも効率面では有効だなと感じました。

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盛豚のLightning M5のBB⇔シート仰角が140°を超えて150°に達した理由は、もちろんメインフレームの形状と角度がそれを許したという事もあるのですが、それに加えてローレーサーとしては極めて高いBB位置がもたらしたと考えています。

(自分の感覚を信じてセッティングしたM5は、BB⇔シート仰角が150°になっていました…)
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(Nocomは約155°もしくはそれ以上ありそうですね)
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(このローレーサーも155°を超えていそうです)
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この『M5カーボン・ハイ』は現在のボルドー・アワーレコード(1時間平均速度記録)のレコードホールダーです。 BB⇔シート仰角は限りなく180°に近いポジションになっています。

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(シートには専用設計のショルダーホールドが付いています…)
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これらの例を見ても『BB⇔シート仰角』が広くなる事は効率的に良い傾向だとは思いますが、BB位置を下げてまで開くべきでは無いと考えています。 何故ならハイBBはローBBよりも空力的にはやや不利ですが(空力抵抗は地面に近い位置ほど小さくなるからです)、前述の通り高いBB位置は「クランク上死点を基軸とした十字線」を後方に傾けて「回すペダリング」に良い影響をもたらすと考えているからです。

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「クランク上死点を基軸とした十字線」の角度以外にも理由があります。

以前読んだえむきゅうさんのロングクランクに関する論文で、「パワーポイントが高い方が力の掛かりが良くてペダリングし易い」と書かれていました。 盛豚もシートを下げたりクランクを長い物に交換する事で相対的なパワーポイント(特にクランク90°角の時の高さ)が高くなるほどに、力の掛かりが良くなってペダリングし易くなったのを憶えています。
これはテニスのスマッシュやトップ打ち(錦織選手の『エア・ケイ』と呼ばれるショットを含む)の時に打点を高くした方が力が入り易くてより強力なショットを打てるのと似たようなモノだと思います。

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いずれにせよ「踏み込みペダリング」を卒業して「回すペダリング」ができる様になったら、シートはできるだけ下げて『BB⇔シート仰角』で130°~140°を目指してシートを寝かせる方向性でセッティングすると良いでしょう。

もちろん「クランク上死点を基軸とした十字線」を少しでも後方に傾ける事で良い効果を引き出す狙いもありますが、シート位置がBB位置よりも大幅に高い位置にあったり、シート角が起き過ぎて上半身がBB位置よりも明らかに高くなってしまうと、えむきゅうさんの論文で言うパワーポイントが下がって力の掛かりの良さが落ちてしまいますし、「クランク上死点を基軸とした十字線」も前に向かって傾くので「回すペダリング」をし難くなるからです。

それからもう一つの理由として「脚が痺れて来る」という事が挙げられます。

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盛豚がローレーサーに乗り始める前に聞き込みをしていた頃に、「BB位置が高くなるほど踏み脚の力を発揮し易くなる一方で、脚を回し難いし痺れて来るから効率が悪い筈だ」という仮説的意見を聞いた事があります。

でも実際にハイBBのローレーサーも所有されているやまおかさんと面識ができたので直に尋ねてみたところ、返って来た答えは「久し振りに乗っていきなり長距離(200km以上)を走ったらちょっとは爪先が痺れる事もあるけれど、基本的には慣れの問題で普段から乗ってたら全然問題は無いよ」というモノでした。
実際に盛豚も今ではハイBBのローレーサーに乗っていますがやまおかさんと同じ意見ですし、爪先が痺れても5分ほど立って休憩していれば治ります。

ところがBB位置が低いベーシックなミッドリカンベントであるOPTIMA LYNXXに久し振りに乗ると、すぐに足の爪先が痺れて来る事があります。
この事から言えるのは「シート角が起き上がっているほど大臀筋に体重が掛かって血流を圧迫して脚が痺れ易くなってしまい、シート角が寝ているほど体重が背中全体に分散されて血流が良くなり脚が痺れ難い」という事だと考えています。

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【後書き】

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いやぁ~書いた、書いた。

文章力が低いからどうしても簡潔にまとめる事が苦手ですし、自分が半分程度しか頭で理解できていない事を考えながら整理して書いてまとめ上げようと思うと、どうしても長文になってしまいますねぇ。
しかも今回はいつも以上にこじ付けと言うか屁理屈と言うか…。

こんなに長くて理屈臭い文章を書いたら、Yおかさんからお叱りを受けるでしょうしEむきゅうさんに喜ばれちゃうんだろうなぁ…。 あっ、でも今週末はソチ・オリンピックの開会式と時期が重なるから、裏番組的なカンジになって週末は誰も気付かないかな…。

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実はYおかさんがよく「最近の盛豚さんの長文は難しい」とか「考えても分からんから愛車のポジションは体の感覚と外見の好みで何となくセッティングした」と仰られる事があります。
ところが盛豚が効率を求めて試行錯誤や考察と検証を重ねに重ね、最後にこうした文章に書き出して矛盾点や見落としを整理し直す事で見出したセッティングの答えと結果が、ことごとくYおかさんのセッティングとほぼ同じモノに行き着いています。

こうしてまた一つの検証結果が出る度に、まるで「砂漠で遭難して死にそうな思いをしてオアシスに辿り着くと、池の縁でパラソルを差してその日陰に置いてあるベッドの上で、サングラスを掛けた水着姿のYおかさんが寝そべって寛いでいた」みたいな錯覚に陥ります…。

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今回のログは車体というメカの話ではなく、ペダリングという運動の話だった上に(Eむきゅうさんの縄張りを荒らしてしまった!?)、一時は夜中にバーボンを煽ってNHKスペシャルの再放送でオリンピック選手の特集番組『アスリートの魂』を視ながら書いていたせいか、まるで自分がスポーツ選手のコーチになって体育理論・人体工学のウンチクを垂れているかのような気分になって書いてしまいました…。

長過ぎて読んで下さっている方からヒンシュクを買ってる気もするし、長文は暫くお預けにするかな…。

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コメント

あぁ~疲れた(´д`|||)

長文を読むのが・・ではなくて、実は理論の矛盾やスキをツイて揚げ足を取ってやろうとアラ探しみたいな読み方をしたからです(^_^ゞ

う~ん、自ら論文と明言されるだけに見事な理論展開と構成です!

つけ入るスキがない。

私のレポートなど稚拙で恥ずかしい限り。

とはいえ、私が前回レポートした『シート角並びにBB高とクランクの関係について』の続編として現在『楕円ギアとペダリング』について考察しているのですが、その内容と表現の仕方こそ違えど(私には盛豚さんのように理論的には論述できませんので、あくまで感覚の世界ですが・・)基本的な概念や方向性は一致していたので安心しました。

重力がペダリングに影響することから『楕円ギアがリカンベントにこそ・・』と考えていたため、自信を持って考察を深め検証していきたいと思います。

>長文は暫くお預け・・・
・・すぐに書きたくなりますよ。

回遊魚ですから・・
・・止まったら窒息します(^^)

何はともあれ大作お疲れさまでした。

「ペダルを回すように漕げ」とはよく言われますが、難しいですよねぇ。
難しい理由は、盛豚さんも書いておられる通り、踏み込む力/引き上げる力/蹴り出す力/蹴り下げる力をバランスよく発揮して、どの回転角でもトルク変動のない滑らかな回転運動を行う、なんていう事がそうそう簡単ではないからですね。

(以下は、ロードバイクでの話ですが…)

どうせ難しいなら、そんな難しい事を考えず、もっと単純化してみてはどうか。というのが「太腿部の上下運動だけを意識してペダリングする」でした。
極端なことを言えば、ヒザ関節から下は脱力してしまって、太腿の上下運動だけでペダリングするようなものです。
滑らかに/高回転にを目指すと、これすらもウルトラ難しいのですけど、ヒザ関節下を意識して「蹴りだす→踏む→蹴り下げる→引き上げる」なんて事を考えるより簡単なような気がします。

とは言え、これをちゃんと行うには腹筋/背筋をきちんと使って上半身を安定させなければなりませんし、より高回転/より長時間の運動には呼吸器系/循環器系の能力が欠かせませんので、「ローマは一日にして成らず」という感じです。(なんやそれ…)

そうそう、踵を尻に引き落とす、なんてのもありました。

「引き脚」ならぬ「落とし脚」とか、下から斜め上に漕ぎあげるとか、膝を上げておいて斜め下に漕ぎ下げるとか、踵を尻に引き落とす、とか漠然と考えてたことはありましたが、、、いや
ここまで詰めるとは素晴らしいですね。

盛豚さんには一度逆回転クランクを試していただいて、そこからまた新しい道を見つけて欲しいです^^

なるほど
トライクに乗りなれてしまって
久しぶりにcobraにまたがったら
妙に右足の親指がしびれてきたので

おっかしいなーと思ってた次第

cobraの方がトライクよりシートが起きています

追伸

私の脚の画像を大層ご活用頂きまして・・・ってもしやあのポタの日には既にこのネタの構想があって、わざわざ私の脚のアップを撮影されてたとか?

もしそうならビックリ×2ですわ( ̄▽ ̄;)

私の『縄張り』なんてめっそうもない!

盛豚さんのマニアックにはもはや太刀打ちはできませぬ(^^)

>えむきゅうさん
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いやはや、ソチ・オリンピックの裏番組的ログなのにUPした途端に目ざとく見つけてくれちゃってもう…。(苦笑)
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>理論の矛盾やスキをツイて揚げ足を取ってやろうとアラ探しみたいな読み方をしたから
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コワいですねェ…、お手柔らかにお願いしますよ。(笑)
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>俺様の脚線美画像を使ったね? まぁ美しいから無理も無いか、フッ…。(←若干ちょっぴりデフォルメが入ってる!?)
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やはりお見通しでしたか…、恐れ入りましてございます。(笑) 全身を撮ろうとしたのに脚のアップになってしまった失敗画像を見ている内に、「ついでだから例のネタでも書くか…」と閃いた次第にございまする…。m(_ _)m
ロード系の雑誌は読んだ事が無いのでその筋ではペダリングをどう解説されているのかサッパリ知りませんが、エンジン工学を応用して一から自分で考えてみました。 「上死点を基軸とした十字線」やハイBBではそれが後ろに傾いてペダリングに影響が… などと言った事は、考えながら書いている内に気付いて形に表してみた物です。 結果論ですが本国製M5ではなく、パワーポイントが高くて「上死点を基軸とした十字線」が後ろに傾いているLightning M5が手に入ってラッキーでした(ハイBBは空理気的に不利な上に走行バランスを取るのが難しいですが、もう慣れてますので…)。
.
長文になる時は気付いた事を書き出して約五割、残りの五割は考えを纏めながら書いたケースなので、書き始めからUPするまでに多い時では数十回は読み返す破目になります。 その過程である程度の矛盾や見落としは自分で気付いてしまうので、考え直しながら書く内に九割方ボロが消えるんですよね。 それでも後で読み返すと一つ二つはボロが見つかりますけど…。
実は今回もUPした後で一つボロに気付いたのですが、足は爪先側(ビンディングペダル)と体側(大腿骨付け根)の二箇所で支持されているので、ペダル側に掛かる理論上の「重力と足の質量による力」は約7kgではなく半分の約3.5kgになるんですよね…。(汗)
.
楕円ギヤについては色々と想像を巡らせてみたら、クランク長にも見直しの余地が出て来そうな予感がするのですが、コスト面等の問題から全面的にえむきゅうさんにお任せします。 独占市場で書き放題な分、責任重大ですよ!
楽しみにしてます(アラ探ししたんねん… ( `・ω・´ )/)。(笑)

>ゆっきょさん
.
やっぱ踏み・引き・出し・下げの四要素で合ってますか…?
「太腿部の上下運動だけを意識してペダリング」はBSMの頃にやっていました。 途中までは結構いいセン行ったんですけど、どうしても90rpm位が一つの壁になってしまい高速域に対応できなかったので諦めました。
アップライトは難しいっす…。

>Satoさん
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仰る通り引き・落としを重視し始めた辺りから、ガラッとペダリングが変わって来ますよね。 ハンマー投げの室伏浩二選手が仰られていた「回し始めの三回転の回し方」に近いモノがあると思います。
リカンベントでは下死点-30°あたりから引き下ろしで慣性に乗せて、そのまま一気に遠心力を掛ける様に上死点+30°まで振り回した合計240°のUの字の動きを重視したペダリングにしてみたら、面白い様にクルクル回る様になりました。 ハイBBになるほどに空力では不利になりますし走行バランスを取るのが難しくなりますが、その分力の掛かりの良さに加えてこうしたペダリングをし易くなるメリットを感じます。
やっぱ考える事というか見つかる答えは皆似た様なモンなのでしょうね。

>foxhounderさん
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実はLOW-RACERを全バラして仕様変更した時に、上がって来たフレームを持ち帰り一気に組み上げた車体をニヤニヤしながら眺めて、最後にクランキングしようとペダルを手で摘んで振り上げる為に逆回ししたら、後輪が盛大に回った事が…。

>闘神さん
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セミリカンベントみたいに脚の付け根と臀部の両方で体重を支えている内はいいのですが、シート角が30度以上寝て来た辺りから体重が臀部のみに掛かるようになると、臀部の血行不良が発生すると感じます。
Zoxに乗った経験のある人やオーナーさんから、「BBが高いから足が痺れて来る」という意見を聞いた事がありますが、私はBBが高過ぎて血行が行き届かないのではなく、シート角が中途半端に立ち気味だから臀部の血行不良による痺れが起きているのだと考えています。
これについてはLYNXXでシート角を寝かせるほどに痺れが少なくなった経験と、Zoxに試乗させて頂いた経験からほぼ間違いないと確信しています。

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