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天衣無縫

5月4日はtakeさんの呼びかけで別格のチタン・ハイレーサーに試乗させて頂きました(おまけでラーメンポタ&ついでに足湯にも行った気が…)。

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※…(実は長文です…)

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この日は集合場所が近所だった事から、朝はフツーに起きて集合場所へと向かいました。

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そしてtakeさんのハイレーサーを始めとした参加者が揃ったところで、4台のハイレーサー・ローレーサー・ミッドレーサーがR2を西に向かって出発します。

(信号待ちで止まっていてもカッコイイやまおかさんの図…)14050602  

とある信号待ちでのワンシーン。 ハイレーサーとローレーサーがこうして並ぶと、ハイレーサーの高さが際立ちますね。

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R2から武庫川CRへと移り北上して神戸ちぇりー亭宝塚店さんへと向かいます。

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いつも思うのですが、M5に乗る時のやまおかさんがこうして走ってられる姿を前から見ると、車体も然る事ながらライダーもレーシングライクなフォームですね。
肘を絞り前方投影面積を最小限度に収めて、空力的に優れたフォームなのが良く分かります。

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この画像ではちょっと遠くて見え難いのですが、最後尾のきせるさんもシート・BB高低差のわりに縦方向の前方投影面積が小さくて、空力の良いフォームで乗ってられるのが印象的です。
盛豚もロングライドで巡航区間に入り車速が乗って来ると、より空力の良いフォームへ移行する為に走りながら少し座り直して、縦の面積を絞り込んだフォームを取る事があるのですが、イメージとしてはこの画像のきせるさんのフォームに近いモノを意識しています。

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このCRの北部は道幅が広くて路面も良いので、盛豚が知るCRの中でも最も心地良く安心して走れる区間です。 その区間に差し掛かったところで先導のtakeさんが左に寄って停止されました。 そして「良かったら乗ってみて下さい」との一言が…。

試乗タイムの始まりです!

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今回の目玉商品(売る訳ではナイ…)はこのハイレーサー、takeさんの愛車BACCHETTA Ti Aeroです。

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実は盛豚、今回のGWが全晴天だった場合の計画として、①琵琶イチ ②輪行キャンプツーリング ③200kmロングライド の三つを計画していたのですが、5月5日は雨模様との天気予報が出た段階でその前に3~4日の日程でキャンプツーリングに行こうと考えていました。
ところがtakeさんから「4日にやまおかさんとラーメン食べに行くよ~note」との呼び掛けが入り、後日追い討ちを掛けるかのように「4日はBACCHETTA Ti Aeroで行く」とのつぶやきが…。

この一言に揺さぶられて考え抜いた挙句、「GWはキャンプ場も混雑して騒がしいだろうから、行ってもきっと後悔したりウンザリしたりするだろう。 キャンプは一・二週間日程をずらして空いている時に行こう!」と強引に言い訳を捏造して、takeさん達のラーメンポタにご一緒させて頂く事にしました(←一緒に行けば目の前にあるリカンベントは誰の物でも試乗させて貰えると勘違いしている…)。

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別格のハイレーサーとあって移動しながら交代の試乗ではなく、その場に待機して一人ひとり順番に一定区間を往復する程の入れ込んだ試乗会になりました。

(やまおかさんはこのまま見えなくなるまで走って行き、戻って来られたのは暫く後の事でした…(笑))
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ちなみに何故そうまでして入れ込んだ試乗をしたがるのかと言いますと、この車輌がチタンフレームであるという事と本格的なハイレーサーだという事の二点において、いずれの条件についても該当する車輌は非常に少なく、その両方を満たす車輌ともなると国内に存在するのは一台だけかもしれない希少な車輌だからです。

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リカンベントはシート高の違いによって、大まかにローライダーとミッドライダーとハイライダーの三つに分類されていて、レーサーも同じようにローレーサー・ミッドレーサー・ハイレーサーに分類されています。

この分類はシート高何cmという具体的な数値的定義がある訳ではありませんが、概ねの傾向としてシートの座面(お尻のトコね…)の高さがどのあたりにあるかで、どれに属するかが見分けられると考えています。
具体的に述べてみると、ハイレーサーは後輪の上端に近い位置で、ミッドレーサーは後輪のハブ軸と後輪の上端の中間の位置で、ローレーサーは後輪のハブ軸の高さに近い位置である傾向があります。

(上から順にハイレーサー、ミッドレーサー、ローレーサー)14050612_2  

そしてこのシート高の影響によりホイールベースの間にライダーの体が入り込む度合いが変わって来る関係から、ホイールベースの長さも変わって来る傾向があります(ローレーサーは間に人間が入る分後輪を後ろに追い出してるので、ホイールベースが長くなっています…)。

ローレーサーはホイールベースに入り込んだライダーの体を避ける為に、チェーンラインが屈折する事で駆動ロスが生じる代わりに、重心が低く安定している上にホイールベースが長くて直進安定性が高く、全高が低く抑えられる事でリカンベントの中で最も空力的に優れていると言われています。
ハイレーサーはホイールベースがロードレーサー並みに短くて、前後輪とも走行性能に優れたフルサイズの車輪を導入する事と引き換えに、ライダーがより高い位置へと乗車する為に空力的には不利ですが、その代わりにチェーンラインが直線的で駆動効率が良いので、リカンベントの中で最も上りに強いと言われています。
そしてミッドレーサーは両者の中間的な特性で取り回しが良く、それぞれに特有の乗り味と特性があると言われています。

そして大抵のベントライダーは同時に複数の車種を所有している人でさえ、その中のどれか一つに「リカンベントにおける自分が見出した最適解」とも呼ぶべき好みがあるようです。

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盛豚は前後の重心バランスの良さと圧倒的な空力性能によるローレーサーの走行感を気に入っていて(実は高さには拘っていません…)、身の回りにもローレーサーのオーナーが多い一方でハイレーサーのオーナーは少なく、こうした環境の良いコースでの極めて条件の良い試乗の機会に恵まれたのは今回が初めてです。

タチさん、やまおかさんが試乗を終えられて、いよいよ盛豚の順番が回って来ました。

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逸る気持ちを抑えてまず乗る前に改めてBACCHETTA Ti Aeroを観察します。 と言っても実は気持ちが逸り過ぎていて解説用の画像の撮影を忘れていた為、ここからはtakeさんのご了承の下で画像をお借りしつつも文字が多くなりがちですが…。

※…(オーナーのtakeさんにとっては、釈迦に説法な話やカサブタを剝がすような話が延々と続く事になるとは思いますが、個人的な感想文に過ぎないので平にご容赦下さい…)

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この車輌は本物のレーサー(世の中にはメーカーが「レーサー」と名打っていても、実質的には「ツアラー以上レーサー未満」というスポルティーフ的な車輌もあるのですが、このレーサーは本格的な競技用車輌です)の中でもチタンフレームとカーボンエアロブレードフォークで構成されたいわゆるチタンレーサーで、まぁ一言で言い表すのなら「別格」というヤツです。
唯でさえフレーム材質が希少素材な上に昨今の需要過多と価格高騰の影響で入手困難になってしまい、現在では生産されていません。

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この個体は過去に後方から追突された事故でフレームに少々歪みが生じてしまった為、あるビルダーさんの手で修理されたと聞き及んでいます。

実は既にここまでの道中で後ろから眺めながら一人で勝手に感動していたのですが…、

そのビルダーさんは余程腕前が良いらしく、フレームとホイールのアライメント(全ての車輪の整列具合の精度だと思って下さい)は完璧になっていました。
「安易に完璧なんて言うなよ」とか「そんなの当たり前だろう」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、この評価については少々自信があります。

(車輪に注目! 前後輪のキャンバー角が0°かつ一直線上を整列した状態で走っていて、完璧なアライメントが出ているのが見て取れます)
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実は盛豚、日頃からローレーサーで走る時は前を走る車輌のアライメントを観察しながら走る習慣があります。 ローレーサーの視点はアップライト自転車のそれと比べてかなり低い為、前を走る自転車の車輪周りの走行状態をほぼ真後ろの一直線上から観察できるので、アップライト自転車や自動車などの通常の視点からでは分かり得ないアライメントの狂いが手に取るように分かります。
それはこうして仲間のリカンベントと一緒に走る時だけに限った事では無く、たまたま前を走っている他人のロードレーサーについても例外ではありません。

こうした習慣と経験から言える事なのですが、正確なフレームアライメントとホイールアライメントが出ていて、前輪と後輪のキャンバー角がキチンと0°になっていて、なおかつその両輪が一直線上を走っている完璧な自転車という物は、あまり見掛けた事がありません(ロードレーサーは大量生産のマシンメイド品が多い上にホイールベースが短いので簡単には見分けられませんが、それでも若干のズレは見て取れる事があります)。 言い方を変えると前輪と後輪のそれぞれが通る軌道のズレが、アップライト自転車で3cm以内、ホイールベースの長いリカンベントで5cm以内であればライダーには体感できないケースが多いようですし、そうした自転車でも真っ直ぐ走る事は走ります(大抵は後輪が前輪よりも左に数cmオフセットしたラインを走っています)。
ですがこうした事に気付いて一度気になり始めたりすると、走行中に違和感となって感じられるケースも無くはありませんし(盛豚のM5も例外ではないので対策をしています…)、左右のコーナリング時の挙動が異なるので感覚の鋭い人なら挙動不良として感じ取れます。

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これらを踏まえた上で繰り返しますが、この個体はアライメントが完璧に出ています。 おそらくフレームの歪み修正をした事によって、製造時の「それなりにちゃんと作ればいい」という感覚で製造された物とは違い、「歪んだ物を修正して芯を出さなければならない」という次のレベル(高い基準意識)の仕事が、新車以上に正確なアライメントを出したのではないかと考えています。

「新車以上」という言葉の意味がピンと来ない方もいらっしゃるかもしれませんが、自動車でも何でも新車というのはとりあえずざっとマニュアル通りに組み立てた程度に過ぎない物です。 新車そのまま状態よりも、腕の良いエンジニアがその個体差に応じて更に微調整しながら入念に整備した方が、車輌の性能は良くなります(近年の自動車の新車はかなり良くなっていますが…)。
全く別のジャンルである音楽で例えるならば、楽器屋さんで買って来たギターをそのまま弾くよりも、弦の張り具合などを調律し直した方が(いわゆるチューニングですね…)的確かつ良い音が出せるのと同じ事だと考えれば分かり易いのではないでしょうか。

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それからこの個体には、フレームの修正ついでにフレームエンド部分(クイックシュー周り)に、「推進力の入力ロス対策加工」が施されています。 この加工はオーナーであるtakeさんの要望に応えてビルダーさんが施工されたそうですが、これは自転車のみならず自動車業界の視点をもってしても、かなり高度な着眼点だと言えます。

(画像はハブシャフト右側から見ています)
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いきなり「高度な着眼点」などと大袈裟な言葉が出て来て驚かれた方もいらっしゃると思いますので、何がどう高度なのか順を追って述べてみたいと思います。

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これはリカンベントの中でもハイレーサーに特有の課題ではないかと思うのですが、アップライト自転車や他のリカンベントとは違って、ハイレーサーのチェーンラインは水平方向ではなく前上がりの角度(車種にも寄りますが約20°くらいの物が多いみたいです)になりがちです。
ハブシャフトとディレーラーの相対的な位置・角度関係には適切な位置というものがありますので、チェーンラインの角度に沿ってそれらも丸ごと前上がりになって行きます。 するとフレームエンド部に開けられている「ハブシャフトを差し込む為の切り欠き(何ていう名前なのか知らないので、以後も切り欠きと呼びます…)」もまた前上がりになってしまう事になります。

画像で見るとこんなカンジになります。 完成車はBBの位置が後輪のハブ軸よりも50cm位高い位置にあるので、チェーンラインは水平方向ではなく前上がりに約20°傾いています。

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これを分かり易いようにフレームだけの状態で見てみましょう。 まずフレーム単体の状態にして、アップライト自転車みたいにチェーンラインを水平にした状態にすると、フレームも水平になります。 この状態で青い丸の中のエンド部分に注目します。

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ハブシャフトが納まる切り欠きが見えます。 角度は緑色の線のように50°位に見えますね。

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これを完成車と同じ角度にすると、切り欠きの角度は30°位になりました。

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この切り欠きの角度を他の車種と比べてみましょう。 盛豚のChinaMascotProducts LOW-RACERではちょっと極端ですが、こんなカンジで結構縦になっています。 何もここまで縦にする必要は無いのですが、切り欠きによる空洞はハブシャフトの前側ではなく下側にある方が好ましいのは確かです。

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その理由について考えてみましょう。

ペダルを漕ぐとチェーンが前に引っ張られてチェーンに引かれる形で後輪が回り始めます。 後輪が回るとタイヤがスリップしない限り後輪は前に向かって転がって前に進み始めます。
この時に後輪が前に進む力が車体の何処にどう伝わるのかというと、下の画像の青い矢印のようにハブシャフトが切り欠きの前側の壁(黄色い斜線部分)を前に向かって押し出す事で、車輪の駆動が車体の推進力となって入力されて、この壁に入力された推進力が赤い矢印のようにリヤアームを伝って車体を前に押し進めて行く訳です。

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つまりハブシャフトの前側には、少なからず駆動を受け止めて推進力に伝える為の壁が必要だという事になります。 壁と言っても必ずしも垂直である必要はありませんし、量的にどの位必要なのかという数字がある訳でもありません。 しかしながら少なからず必要ではあります。

ところがハイレーサーの場合は先にも述べた通りチェーンラインが前上がりになるので、ディレーラーもその分移動してハブの真下に来る事から、切り欠きの角度もその分の「逃げ」対策の為に傾いて浅くなります。 その結果としてローレーサーほど深い壁を設け難いという宿命を持つ事になります。

でもそこはそれ、現在もストレートフレームのハイレーサーをリリースしているRANS社やBacchetta社のハイレーサーは、そこまで織り込み済みで設計されています。

ところが設計が古い過去のモデルの中には、このエンド部の切り欠きの設計が甘い物があったらしく、この個体もまたその中の一台でした。
ノーマルの状態では切り欠きがハブ軸の前に来てしまい、走り終わってみるとクイックシューごとハブ軸が前にズレている事もあったそうです。

一般的なサイクリストであれば無闇やたらとクイックを締め上げるだけでいつまでも解決できなかったでしょうけど、takeさんは具体策を講じる方向でビルダーさんに加工依頼をされたそうです。

(ノーマルではハブ軸の前が切り欠きになっていて推進力の入力を受け止める壁が無い…!)
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出来上がった状態が下の画像です。
ディレーラーハンガーを移設する事はできない為、クイックのエンドをぐるっと囲い込むリング状のリブを設置する事で、クイックごとハブシャフトの位置をエンドに固定して、推進力をリヤアーム→フレームへとダイレクトに入力する手法ですね。

(クイックのエンドがリング状のリブにピッタリと囲まれて収まり、ズレる事が無くなる構造です)
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「外れる訳でも無いのに細かい事を気にし過ぎだ」と思われた方は甘いです。
そもそも脚力などの出力がいくらあっても車体や駆動側でパワーロスがあっては話になりませんし、同じ出力なら推進力への入力性が低いと遅いわ疲れるわで最悪です。 よくロードレ-サーの性能を推し量る要素として「反応性」という言葉を耳にしますが、これもまた推進力の入力性と密接に関わっています。

走行性能を追及している車体に手を加えるのであれば、こうした部分にも気を配ると車体の走行性能は確実に向上します。

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このように出力をダイレクトに推進力へと変換する為に対策を講じる事は、自動車レースのF1にも共通するモノがあります。
F1を始めとする純粋な競技車輌の頂点とも言えるフォーミュラーカーでは、車体に対する考え方が市販乗用車とは違っていて、エンジンと駆動系をダイレクトに繋げるシャーシワークによって推進力への入力性を極限まで高めていますが、この発想は一般的な市販乗用車のスポーツカーには取り入れられていません。 直接ではなく応用したという意味で断片的に発想を取り入れられた例として挙げられるのは、国産車ではNISSAN GT-RやFD3S型RX-7など一部の特殊スポーツカーのみです。

ちなみに自動車の市販車ベースのレースカーでは、このフォーミュラーカーの発想を応用してボディー底部の縦方向に走るフレームを増設した事で、推進力の入力性が飛躍的に高まってパワー伝達効率が向上した結果、同じ車体で300馬力のエンジンを搭載した車輌が500馬力のエンジンを搭載した車輌に直線勝負で勝った例もあります。

これらを鑑みれば盛豚が「高度な着眼点」とまで評した理由がお分かり頂けるのではないでしょうか。

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もっと分かり易く噛み砕いて他のスポーツの例を挙げて述べるとするならば、この推進力の入力性の高さとは、陸上男子100m走の選手が専用のシューズの靴紐を必ずキチンと締めて走るようなものです。
靴紐を外しているウサイン・ボルト選手が相手なら高校生の陸上選手でも勝てるでしょう。

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前置きが長くなってしまいましたがもうこの位にしておいて、そろそろ走ってみましょう。sweat02

同じチタンレーサーとしてはPerformerチタン・ローレーサーに乗らせて頂いた事があるのですが、同じ車輌に試乗されたtakeさんが「あのチタン・ローレーサーはしなやかで乗り心地が良かった」と仰られていたので、「このハイレーサーは硬いのかな?」と想像していました。
乗り慣れない本物のハイレーサーですので少々緊張しながらスタートしました。 その時の印象について語弊を恐れず率直に言い表すと、予想に反して最初からフツーに走り出しました。

心のどこかで劇的な何かを期待していたせいか、最初の50mは「えっ、あれ…? フツーの走りだよな? ちょっと拍子抜け…?」といったカンジの第一印象でした。 しかしながらすぐに「自分がフツーと感じているという事は、やっぱりこのハイレーサーは尋常じゃない!」と気が付きました。

そして走り出してからは折角のコースを有効に活かして約500mの往路を走り、そのままUターンして復路では色々と試したり確かめたりしながら戻って来ました。

(「シルクのような乗り味!」 ポジションのセッティングが完璧なので、ライディングフォームが悪くなりがちな盛豚が乗ってもそれなりにサマになっているの図…。 ← やまおかさん、画像お借りしました)
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直線コースなのでコーナリング特性や上りの駆動効率については確認できませんでしたが、乗ってみた感想について一言で言うならば「やはり只者では無い!」でした。

(物凄く嬉しかったらしいの図…。 ← やまおかさん、画像お借りしました)
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まず最初に確認しておきたい事は、ライダーである盛豚はローレーサーに馴染んでいて、重心が腰高なハイレーサーはどちらかと言うとリカンベントの中では苦手な方だという事です。

そしてこれまでに試乗した事があるハイレーサーは、RANS Force5 700C、RANS Force5 PRO 700C、Performerハイレーサー700Cの三車種なのですが、このBACCHETTA Ti Aeroは650Cなので若干重心が低い事は分かっているつもりです。 ですがその分を差し引いても安定感が高く、これまでに乗ったどのハイレーサーよりも走行安定性が良かったです。
あえて言えば走り出して少し速度が出てきたらRANS Force5 PRO 700Cも同じくらいに安定して走れましたが、これ程までに違和感無くすんなり乗れて低速Uターンでも恐くなかったハイレーサーは初めてでした。

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「フツー」とか「違和感が無い」という文字だけ見ていると、これがどれ程凄い事なのか伝わらないと思いますので、既にここまでの段階でウンザリするほどの長文が更に伸びて大長文化するのを恐れずに、図解を交えて述べてみたいと思います…。sweat02

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先にも述べましたが盛豚が乗り馴染んでいるローレーサーは、ライダーをホイールベースに押し込む為に後輪が後方に追いやられて、ホイールベースが長くなっているリカンベントです。
賢明な方ならこれだけでピンと来られていると思いますが、これはつまり「他のリカンベントよりも重心位置が前後方向で中央にあり、前後輪の加重バランスに偏りが少なく、重心の高さが低く、ホイールベースが長くなるので、他のリカンベント・レーサーに比べて小回りが利かない代わりに、走行性能では大幅に上回る事を意味します。

車種やサイズによって多少の前後はありますが、フルサイズの車輌でホイールベースを対比すると…、

ロードレーサー 約1050mm前後
ローレーサー  約1300mm前後
ミッドレーサー  約1200mm前後
ハイレーサー  約1200mm前後

となり、盛豚のM5に至ってはホイールベースが1400mmとハイレーサーより200mmも長いのです。

(下のM5は盛豚の車輌ではありませんが同型の物で、ハイレーサーと比べるとホイールベースが200mmも違います)
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そして正確な数値は測っていませんが、後輪加重の偏り具合を比較する意味で後輪のハブ軸位置を揃えた画像でシートの着座位置を見てみましょう。

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後輪から着座位置までの距離が近いほどに後輪荷重が大きく前輪荷重が少ないので、前後輪の加重バランスに偏りがあって理論上は走行性能面では不利だという事になります。

後輪から着座位置までの距離である①と②の長さの差が、単純にホイールベース違いによるモノでは無い事については、④(ホイールベースの差)よりも③(ハイレーサーとローレーサーの後輪に対する着座位置の距離の差)の方が長い事で確認できます。 また、前輪加重の目安となる前輪から着座位置までの距離⑤と⑥を比較しても、ハイレーサーの方が遠くて前輪加重が不足する事を予想させます。

これらを総合すると如何にハイレーサーの方が後輪荷重が大きく、前輪荷重が少ないかが見て取れる事になります。

そしてローレーサーばかり乗り馴染んでいる盛豚がLYNXXやハイレーサーに乗ると、ハッキリ言って「安定感が低くて怖い…!」と感じるのが常です。
ところがこのBACCHETTA Ti Aero 650Cは、出足からいきなりフツーに走ったのです!

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ハンドリングについてはホイールベースを反映してかローレーサーよりも入力に対しては軽快というか敏感で、これなら前輪加重の少なさにも頷けるモノがあります。 そして肩の力が抜けて来るとまるで違和感無く乗れました。 特に車速が乗るほどにミッドツアラーのLYNXXよりもむしろローレーサーに近い走行安定性を感じました。

惜しむらくは事故の後遺症でライザー(ハンドルポストに該当する部分です)が二箇所で微かに曲がっていて、折角の新品ハンドルが右に傾きながら左上を見上げる方向に捩れた向きになってしまい、ハンドル操作がし難くて高速域まで加速できなかった事ですね(←ちょっと心残り…)。
それと低速からのフル加速で踏み込みペダリングをすると、右ペダルが下死点から微かに奥に向かって撓んで行く感触がありましたが上死点では特に異常は無く(事故の後遺症で右クランクか右側のBB周りに微細なヒビでも入ってるんじゃないかな…?)、回しペダリングに移行すると撓み感は無くなりました。

そして40km/h近くまで車速が乗ると「スイーーーッ…」とチタンフレーム特有の静粛さで走ってくれました(クセになりそうなこの感触がたまらないんだなっ!)。
ただその辺は良くも悪くもハイレーサーで、流石にローレーサーの空力性能の高さがもたらす追い風のような滑走感とまではいきませんでしたが…。(苦笑)

それでもロードレーサーに比べれば遥かに優れた空力特性である事は、こうした画像を見ていればその前方投影面積の少なさから良く分かります。

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その乗り心地たるやチタンフレーム特有の静粛性に満たされていて、カーボンフレームみたいな煩わしい内反響音が無いので極めてスムーズでした。
ちなみに試乗が済んだ後に同じ道をM5で走ったのですが、一部路面の凹凸がある区間を通った時に、試乗の時にはそれらに全く気付かなかった事を思い出して、チタンという材質の機能を改めて思い知らされた次第です。

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これはチタンレーサーに乗る度に思う事なのですが…、

「これぞ天衣無縫の存在と言わずして他に何であろうか」

というのが最も相応しい表現なのではないかというのが個人的な見解です。

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実はtakeさんには既に打ち明けてお詫びしてある事なのですが、このBACCHETTA Ti Aero 650Cの事故後に修理の請負先を模索されていたtakeさんに、「自転車業界でダメならこういう業界もありますよ」的なアドバイスをさせて頂いていましたが、もし最終的にアテが付かずにtakeさんが修理を断念されるような事があったら、不謹慎ながらその時は事故車一式現状渡しで譲って頂けるように交渉して、自分の伝手で修理して復活させるつもりでした…。

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幸いにもtakeさんの情熱とご努力が実って復活を果たされ、新車以上のアライメントに仕上がったこのBACCHETTA Ti Aero 650Cにこうして試乗させて頂ける日が来た事を、心から喜ばしく思いますという言葉をもちましてtakeさんへの復活のお祝いと代えさせて頂きますと共に、末永く愛されて願わくばライザーも交換されて完全復活を遂げてディープリムホイールを組み込まれた暁にはもう一度乗らせて欲しいなぁ~と思いつつ、「もし手放される時は是非私めに!」という邪念をひたすら腹の底で暖め続けながら、この試乗記を締め括らせて頂きたいと思います。

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……

………!?

いかん、いかん! 危うく忘れるところだった!sweat01

その後は無事お店に着きましたよ~。

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ラーメン食べましたよ~。

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takeさん元気に男盛り食べてましたよ~。

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食後はねぇ~、

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記念撮影してぇ~、

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R2走ってぇ~、

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タチさんに押し切られて足湯に入ってぇ~、(←でもやっぱり入ってる…)

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HC-WORKSさんに向かう途中でtakeさんパンクで時間切れ~。

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以上!!

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P.S. 皆さん、お疲れ様でした。(笑)

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コメント

長文レポ、お疲れ様です。
俺もハイレーサーに乗る身としては、このBACCHETTA Ti Aeroはものすご~く気になる車両なので…所用がなかったなら、この試乗する機会に是非とも参加したかったです。
このハイレーサーの重心の低さと安定性は、ホイルサイズと共にシートの取付部分のコンパクトさと頑丈さもあるでしょうね。
Runsはシートの取付部分が大仰なので、シートとフレームの隙間が開いちゃっているのと、取り付け部分の撓みがあるので。

あと、以前から気になっているんですが、タイヤの転がり抵抗と空気抵抗を総合した走行抵抗は、ローレーサーとハイレーサーはどちらが優れていると感じました?
もちろん速度が上がるほど空気抵抗の低減が効くので、ローレーサーが有利だとは思うのですが、
平均速度を勘案すると、空気抵抗より転がり抵抗が低い事が効く領域も多い様にも思うので。

あなたは一体何者!?(笑)
今回も素晴らしい長文ですね!

試乗させてもらって私の率直な感想は、とてもマイルドな踏み心地に驚きました。
私のガチガチのF5はペダルを通してチェーンのゴリゴリ感がビシビシ伝わって来る程、非常にダイレクトな踏み心地なのです。(たぶんそうやった気が・・・もう2年も乗って無いので)
フレームの硬さのせいか、案外アイドラーなのかよく判りませんが、駆動効率はF5の方が勝ってる様に思いました。
ただ低さから来る安定感は別物でしたね。
ロングでも疲れ知らずって感じでホンマええマシンですね。

試乗から自転車の評価が始まるんだろうな。なんて思ってましたが、まさかのアライメントから始まるとはっ
しかも観察が行道から始まってたなんてもうびっくり。
そしてフレーム修理してくれたビルダーさんが確かな腕を持っていたことを改めて思い知らされました。
いやはやありがたいことです。

天衣無縫とは過分な評価ありがとうございます。
けちょんけちょんに酷評されたらどうしようかとちょっと不安でしたが、気に入っていただいたようでうれしいです。

しかし私では「なんか良く走るな~気持ちいいなぁ。なんでかわからんけど。」などとしか書けないことをきっちりと分かりやすく文章化できる盛豚さんは素晴らしいです。
ライザー交換したらまた乗ってやってください^^

>ツカモトさん
そうなんですよ、Ransはシート取り付け部が撓むんですよね。それがペダリングのダイレクト感を損ねてるような気がします。
BacchettaでもCorsaやStradaも似たような樹脂ブロックだからそこが難点。
CarbonAeroやTiAeroなどの上位機種だけに施されたマウント方式っ
うーん良いですねぇ、少年心をくすぐります。

長文にひるみましたが興味深く読ませていただきました。

あまり2輪に感心の無い私は試乗を見合わせましたが、盛豚さんがここまで絶賛されるのならとりあえず乗っておくべきだったかと少々後悔。でもまぁ、多分また機会が有るでしょうし…

>ツカモトさん
.
TVニュースみたいに断片的な話だと誤解や矛盾が生じ易いので、整合性を持たせた認識を整理しようとしたら、結局長文になってしまいました。(苦笑)
ハイレーサーに関しては特に造詣が深いツカモトさんにも、ぜひこのBACCHETTA Ti Aeroを試乗の上ご意見を伺いたいものです。
なるほどシートのマウント周りのクリアランスと強度がもたらす安定感ですか…、それは気付きませんでした。 よくよくおさらいすると確かにこのTi Aeroのマウント方式の方が安定感が増す構造・材質ですね。
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エンド周りの構造はRANS社の現行品の方に一日の長がありますので、個人的には「このレーサーにRANSのエンドプレートを導入して、更に前方向にデルタ形状のガセットを設置してアイドラーのアライメントを出し直して、175mmクランクを組み込んで、ディープリムのカーボンホイールを組み込めば、平地でもローレーサーに迫る至高かつ恐るべきハイレーサーが出来上がると思います。
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タイヤの転がり抵抗と空気抵抗を総合した走行抵抗ですか…。 この着眼点も流石はツカモトさんですね。 私も同じ事に注目していたのですが、これについては同ランクのローレーサーとの比較であれば25km/hを越えるとローレーサーの方が有利だと感じました。
しかしながら少しでも追い風があれば空力の差は相殺されてしまいますし、チェーンの長さに比例する駆動ロスには大きな差は無く、ハイレーサーは前輪にも強いジャイロ効果が得られる事や車輪口径の絶対的な差がもたらす転がり抵抗の低さとその走破性の高さのお蔭で、ローレーサーには無い要素の走行性能を持っています。
これらを勘案するとトラックみたいに水平なコースで限定的な環境ではローレーサーに、ブルベみたいに総合的な要素が要求される環境ではハイレーサーに分があると考えます。
逆を言えばそれほどまでに空力の差は大きいという事になりますが…。

>Yおかさん
.
結局長文になっちゃいました。(笑)
Ti Aeroの乗り味、マイルドかつ高い静粛性と安定性が気持ち良かったですよね。
予想通りチタンはソフトな仕上がりでしたけど、チョイ乗りながら試乗経験でF5は対照的に「カチッ」とした印象があったのを思い出します。
Ti Aeroは「踏んだら瞬時にスパッと前に出る」感は激しくありませんでしたが、でも「実感以上にさり気なく出ている」という意味ではパフォーマ・チタンローレーサーに似ていて、やはり侮れないなぁと感じました。
F5は踏み心地にもガチガチのダイレクト感がありますか? これはフレームの材質がもたらす硬さとアイドラーのアライメントやエンド周りの作りの違いに起因する駆動効率の差かもしれませんね。
それにしても何度も乗りたくなる乗り味でしたね。 NAKAGAWAと同様に複合的走行条件下でじっくりタップリ乗ってみたい一台だっただけに、今回はキャンプツーリングを先送りしてまで参加して良かったです。

>たけ3さん
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元々普段から先行車のアライメントを見る習慣があるのですが、フレーム修正の事もあったので走り出してすぐから頻繁に観察していました。(笑)
良いビルダーさんに出会えてよかったですね。
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ローレーサーに乗り馴染んでいる身としては、過去に乗ったストレートフレームのハイレーサーは「ミニベロと同じ欠点を有している」とさえ言える程に加重が後輪に偏っていましたが、このTi Aeroは加重が後輪に寄りつつも素晴らしいバランスを感じました。
そして650Cが持つ重心の低さと瞬発力や持久性や滑走性などの総合的なバランスの良さとその重要性を教えてくれたという意味においても、今回の試乗は私にとって非常に実りある物となりました。
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出来の悪い車輌が「良く走って気持ちいい」と感じる筈はありませんので、五体に感覚で訴えて来るからには余程の質的な根拠に裏打ちされているに違いありません。 そうした車輌はじっくりと注意しながら走ると素晴らしい発見があり、後でその感覚を思い出しながらその理由を考えて文字に変えつつ記事を書いていると、だんだん自分でも整理が付いてきて頭で理解できますので、二度楽しめます。
これだから試乗会は止められません!(笑)
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天衣無縫のTi Aero、大事にして下さい(そして手放す時には私めに…)。

>きせるさん
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長文にお付き合い頂いてありがとうございました。(笑)
自動車雑誌みたいに試乗して評価を書き表してくれる人がいませんし、なにより自分の体で確かめる事に至上の喜びを感じています。 今回はハイレーサー自体が新鮮だったという事も助けとなって、良い経験をさせて頂きました。
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私の感想は主観的な一私見に過ぎませんが、次の機会には一つの参考・予備知識として頭の隅に置いて頂きつつ試乗されると、感じる事・発見できる事もまた多いかと愚考する次第です。

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