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未来への遺産 (前編)

夏に行ったならぐるポタ第3弾の帰り際に、NAKAGAWA NL-3に試乗させて頂く機会を得る事ができました。

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リカンベント試乗魔の盛豚は、これまでに試乗させて頂いたリカンベントの二台に一台は何らかの感想を書き綴ってきました。 今回もこうしてわざわざ記事に起こすほどに感じる事があったのですが、常日頃から「盛豚の文章は長いっ!」と読者の皆様からの声が寄せられていますので、今回は手短にまとめてみたいと思います。

NAKAGAWA NL-3は素晴らしいリカンベントです。 以上!

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.          - 完 -

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えーっと、ここから先は本文とは別の講釈というか単なる独り言です。
一般のお客様の入場はご遠慮頂いておりますので、苦痛にM的喜びを見出すヒルクライマーのように拷問みたいな文字数の文章を読みたい方かマニアの方のみ、自己責任でお進み下さい。(笑)

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今回試乗させて頂いたNAKAGAWA NL-3については以前からリクエストしており、いよいよそれが実現する日を迎えました。
実は余りの興奮で前夜はなかなか寝付けず寝不足(三時間位しか眠れませんでした…)のまま当日の朝を迎えたのですが、ポタ会で何度も真後ろのポジションを確保してその走る姿をつぶさに観察しながら走り、解散前にちょっと上り坂もあるコースで試乗させて頂きました。

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※…(オーナーのYおかさんにとっては、釈迦に説法な話やカサブタを剝がすような話になるかもしれませんが、個人的な感想文に過ぎないので平にご容赦下さい…)

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NAKAGAWA NLシリーズは盛豚が知る限りでは商業ベースに乗った初の国産リカンベント・レーサーです。 単純にナカガワサイクルワークス社に注文すれば買えるという物ではなく、版権みたいな大人の事情の関係で現在は入手困難な状況になっているようです。

今回試乗させて頂いた個体はリカンベントマスターことYおかさん所有のNL-3というシリーズ第三作目の車輌で、駆動方式を除けばHPV Speedmachineなどの一般的なミッドレーサーに近いジオメトリーを有しているNL-1やNL-2とは一線を画し、よりタイトに絞り込まれたサイズとパワータイプのローレーサーに近いシート⇔BB高低差を含む独自のジオメトリーを有する車輌に仕上がっています。

(比較的ベーシックなジオメトリーを持つミッドレーサー、HPV Speedmachine)
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(駆動方式以外はベーシックなジオメトリーを持つNAKAGAWA NL-2)
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(ローレーサーに近いポジションを含めて、独特のジオメトリーを持つNAKAGAWA NL-3)
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今回試乗させて頂いた個体は、シートに特殊な加工をする事でシート高をフレームトップチューブよりも低い位置まで下げるなど、ローレーサーに近いパワータイプのポジションにセッティングされています。

シート高を下げる事は低重心化による走行安定性の向上や外観上の嗜好などの効果の他にも、シート高に対するBB高の相対的な位置をより高くする事ができるので、どんぐり兄弟Aが提唱されている「パワーポイントを高くする事によるパフォーマンスの向上」を推し進める事ができます(パワーポイントを高くする事にも限度があるとは思いますが、シートの座面よりも30cmほど高いBB高を持つライトニングM5ローレーサーでもこの恩恵を受ける事ができています)。

この高いパワーポイントの効果について他のスポーツで分かり易い例を挙げると、テニスのトップ打ちやスマッシュがこれに該当しており(錦織選手のエア・ケイなどがまさしくそれです)、打点をより高くするほど強くて速いショットが打てると言われています。
盛豚もその昔テニスをやっていた頃には打点をより高くする指導を受けていましたし、打点が高くなるほどにフォームが安定し難くて技術的には難易度が高くなる代わりに、より強いショットを打つ事ができました。

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今回NAKAGAWA NL-3に乗ってその特性を理解する上では、これまでに自身の愛車の他にも様々なリカンベントに試乗してきた経験…、その中でもPerformerローレーサーとHPV SpeedmachineとBACCHETTAやRANSのハイレーサーの乗車経験があったお蔭で、感じ取れる物に大きな差が生じたのではないかという印象を受けました。

特にPerformerローレーサーはフレーム材質こそ違え、市販車のローレーサーとしては懐に入り込むようにやや短めの1200mmというホイールベースと剛性が高くて挙動がややピーキーなフレームなど、NAKAGAWA NL-3に共通するモノがいくつかありました。

(フレーム材質が違ってもジオメトリーに共通点があると挙動にも共通点がある!?)
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また、シート高が近いという意味ではHPV Speedmachineの雰囲気や走行感覚にも少し似ている気がします。

(元Yおかスペシャルのこの個体はシート高が低い事もあって、二枚目の画像と比べるとポジションが似ているのが分かります)
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NAKAGAWA NL-3の平地での走りはこの二台を足して二で割ったイメージに近く、これにクロモリフレーム特有の剛性と衝撃吸収性と路面追随性のバランスをもっと硬くしたような感触が加わっているのが印象的でした。

同じ材質・構造であればホイールベースが短いほどフレーム剛性は上がるのですが(同じ鉛筆でも長い物ほど折り易く、短い物ほど折り難いのと同じ理屈です。)、そのホイールベースを絞り込みつつアップライト用のダイヤモンドフレームを叩き台とした格子状クレードルフレーム構造の影響で、乗り味はしなやかさとは程遠く非常に高い剛性感に満ちた車体に仕上がっています(棒状や筒状の構造体は単管部分の長さが短いほど剛性が高くなります)。
オーナーのYおかさん曰く「NAKAGAWA NL-3は本当に硬い! これはホンマにレース用の車体やな」との事ですが、実際に乗り比べてみると明らかにM5よりも剛性が高く仕上がっているのが感じられました。

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また平地での走りで特筆に値すると感じたのはいわゆる反応性が非常に良かった事で、空力的にはローレーサーよりも不利な筈のミッドレーサーがここまで走った例は過去に見た事がありませんでした。

※…(ライダーの乗車姿勢に極端な差が無い場合であれば、ライダーの頭頂高が10cmも違えば空力の差がハッキリと感じられ、同じ運動量で得られる巡航速度には具体的な差が生じます。 これまでの経験では盛豚が平地を走る場合だと、ミッドレーサーよりもローレーサーの方が5km/h前後速い走行速度をより少ない疲労感でマークできています。 それにも拘らずNL-3は速度も疲労感もローレーサー並みでした。)

ブーム機構を持たず剛性の高いトラス状リジット構造のフロントビームが貢献しているせいか、ペダリングについても〝力のかかり″が良いと感じますし、中~高速域の伸びも非常に良いのが印象的です。
ポタ会の後半でR25を走行中に前を走るYおかさんのNAKAGAWA NL-3がハイペースで走るのを追いかけた際に、盛豚はM5に乗っているにも拘らず本気で走らなければならなかったのには少なからず驚きました。

※…(盛豚のM5は操縦性を多少犠牲にしてまで空力と呼吸効率を追求したポジションにセッティングしてあるので、全高が20cmも高いミッドレーサーが相手であれば本来は少々ライダーの実力に差があっても何とかなります。 ましてこちらは後ろを走っている訳ですからスリップストリームが効いているので、短時間であればこのM5を本気で走らせても追いつけないのはサイボーグの黒い隼だけだと思っていたのですが、途中で間に自動車が入った事もあって後半はジワジワと車間が開いていきました…)

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その一方でYおかさんが「上り専用」と仰られるだけあって、コーナリング特性や乗り心地・他あらゆる挙動でややピーキーな特性を見せるので、どんなベントライダーでもこの一台だけを所有して日常的に全ての走行シーンをこなすのは無理だと思います。

足回りを良く観察してみると、短めのホイールベースとフレーム剛性の高さによるピーキーな挙動を抑え込む為か、フロントフォークのトレールオフセット量は大きめに確保されていました。
その為ハンドリング・コーナリング特性についてはライダーが積極的に入力するライディングスタイルが要求され、車体をバンクさせるだけでは一向に旋廻しようとしませんでした。

しかしながら多くのリカンベントの泣き所とも言える前後輪の加重バランスの悪さ(その殆どが前輪加重不足によりアンダーステアが強い傾向があります)は全く感じられず、むしろ加重バランスについては非常に高いレベルになっていました(これはおそらくビルダーさんの仕事とYおかさんのセッティングによる物ではないかと推察されます)。

つまるところこれについてはステアリングが積極的に入って行く特性か否かという個性と味付けの問題であり、入って行く特性には長いホイールベースによる安定性との組み合わせが求められ、NL-3の(ミッドレーサーとしては)やや短いホイールベースが繰り出す俊敏性にはビシッとした直進安定性の高さを組み合わせる必要があったのではないかと感じました。

実際にライダーがハンドルに入力をすれば入力に応じて鋭く旋廻しますので、こうした事からもNL-3でワインディングをハイペースで走ろうと思ったら、乗り手に高度な技量が要求されるであろう事が窺えます(つまり「乗り手を選ぶマシン」というヤツです)。

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ここまでは「このミッドレーサーは平地でもローレーサー並みに良く走る」という評価の域の話なのですが、コースが終盤の上りに差しかかった所で未知の体験が待っていました。
そしてそれこそがまさしくNAKAGAWA NL-3の真骨頂とも呼ぶべき物だったのですが、その詳細については後編で述べてみたいと思います。

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コメント

とうとう来ましたね!
自分が試乗した当時はPerformerローレーサーに乗り始めた頃で、比較するととても乗りやすい印象でしたねぇ。
今だから新たに比較できる事ですが、反応性の良さはレボと同等に感じます。
これが日本で作られたというのですから、本当に衝撃的でした。

フレームの剛性感は高いというのは意外だなぁという印象で、まぁ良く考えればトラス形状だからたしかに縦剛性は非常に高いだろうなぁと気づきました。基本一本棒フレームの多いし・・・ ちなみに横剛性はどうなんでしようか。
 
シートハイトとBBハイトに関する話はそうだよなぁと。そのあたりの設計は、設計者の思想と意図が一番詰め込まれている部分だと思っています。逆に言うとそれが読み取れる部分でして。NL-2とNL-3で全然違う点は指摘されて気づきましたが、まさにそれだなと。
 
自分の自作リカンベントの場合、高速巡航時にシート角度を極力寝かせたいがためにBBハイトを限界まで持ち上げようと苦労してます。
このへんは 空力・ペダリング効率・乗り味・フレーム構成上の制約のどのあたりで落とし所をつけるかって話になってきますね。
 
最後に一点、このNL-3のハンドル、ハンドルポストが少し短いように感じました。乗車時のひじの角度がほかのリカンベントに比べて大きく開いているように見えます。現物を見ていないので写真を見ての憶測です。
このへんもハンドリングの違いに何か寄与しているのかなと…

>foxhounderさん
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foxさんも乗られた事があるんですね。
Performerローレーサーはアルミフレームですから、同じ剛性感の高いフレームといってもクロモリフレームとは異なる感触がありますし、同じクロモリフレームの中でもNAKAGAWA NL-3の剛性感はまた独特の感触がありますよね。
反応性の良さはレボと同等に感じられますか…。 確かにレボが同じ重量になったらと想像してみると、かなり近いモノになる予感がしますね。
何とか手に入らんものですかねぇ…。

>しろいねこさん
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格子状に近いフレームの中でも、後ろ側のトップチューブが下側のダウンチューブまで届いて接続している事が、上下・前後の剛性の高さに繋がっているのかもしれませんね。 私が乗って感じた限りでは横方向の捩れ剛性を含めてフレーム剛性には全く隙が感じられませんでした。
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BBに対するシート高を下げるには後ろ側のトップチューブの高さが限度値になりますが、シートの横方向でいう中央部分をパフォーマ製みたいにくり貫く事で、もう2~3cmは下げられる様です(この個体はそう加工されていました)。
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シート角の寝かせ具合についてですが、この個体は私のM5と同じLOROオリジナルのミッドレーサー用シート(原型はHPV Speedmachine用)が付いています。 このシートはローレーサー用シートに比べて肩甲骨のあたりがややフラットですからホールド性は少々甘いのですが、背中が伸び気味の乗車姿勢になるので肩周りに受ける風の抵抗が少なく、高速域の巡航では車速の伸びが良くなります。
どのメーカーの物でもミッドレーサー用シートには似たような傾向があるのですが、同時にローレーサー用シートよりも全長が8cm位短い傾向がありますので、寝かせ過ぎると首周りが疲れるというデメリットがあります。
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ハンドル・ハンドルポストの長さについてですが…、
まずリカンベントの肘周りのポジションについては、肘の角度が約90°になるのが一つの目安であると言われていると聞き及びます。 その上でM5社のHPや各方面の動画を観察していると、バンクでのレース等でより高速域の走行の場合ほど肘が90°よりも伸び気味になるセットアップをしているケースが多くなっていると見受けます。
自分も色々と試行錯誤してみましたが、より高速域になるほど肘は90°よりも伸び気味な方が良好な操縦性を得られると感じたので、動画に出ていたレースのライダーを真似て極力90°よりも伸び気味にセッティングしています(対照的に中・低速がメインのLYNXXは100°近く肘が曲がるポジションにしています)。 おそらくこのオーナーさんも同じ事を感じられていると見えて、所有のレーサー(どれも高速型)は肘が90°よりも少しだけ伸び気味になるセッティングをされています。
なお、車体自体のハンドリング(直進性の強さ)についてはトレールオフセット量が大きめのフロントフォークによる物であり、ベロクラフトの各種カーボンレーサーや私のM5みたいにトレールオフセット量が0mmの車輌は中・低速で恐ろしく直進性が悪い代わりに、高速域ではシャープなハンドリングになります。
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まっ、参考までに…。

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