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リカンベントのアイドラープーリーと シートのマウントボルトについて(私見)

個人的にはリカンベントのアイドラープーリーって結構重要な部品だと思うんですけど、意外と話題に上らないんですよね…。

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先日LYNXXの駆動系を見直した時にアイドラープーリーのOリングを交換したのですが、実はこれが二回目の交換でした。
言い方を変えれば標準装備のアイドラーをやせ我慢しながら7,000km以上使い続けている訳なのですが、さすがに本体にもガタが来つつあるのでこの次は丸ごと交換しようと思っており、既に純正の対策品(後から作られた耐久性重視のダブルベアリング品ですが既に絶版品です…)を入手してあります。

他にもこの時期に買い集めた物や以前ChinaMascotProducts LOW-RACER で使っていた物も含めて、盛豚はこれまでにいくつかのアイドラープーリを試してきました。 そして現在所有する三台のリカンベントに対して、それぞれの適解となるアイドラープーリーを見出して補修部品を確保しています(裏を返せば「これが万能の最適解」と呼べる物は見出せていません)。

その中でForce5の純正品については特殊な構造の物が使われているので割愛するとして、今回は一般的な外径60Φ~65Φの駆動側用アイドラープーリーについて述べてみたいと思います(ローレーサーなどのハンガープーリーに使われる50Φの物についても割愛します)。

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盛豚がこれまでに試した一般的な60Φ~65Φの駆動側用アイドラープーリーは以下の通りです。

(ボディ材質/構造/外径/製造元・備考)
①ポリウレタン/サイレントプーリー/65Φ(LOW-RACERに付いてたメーカー不明品)
②アルミ/コグギヤ内蔵プーリー/65Φ(テラサイクル社製のチタン14T)
③ポリウレタン/サイレントプーリー/65Φ(OPTIMA社純正品)
④ポリウレタン/サイレントプーリー/65Φ(ライトニング社純正品)
⑤強化プラスチック/ハードプーリー/60Φ(M5社純正品の内のPOMの方)

【画像A】(左から順に①・②です)
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【画像B】(左から順に③・④・⑤です)
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先ほどは細かい事まで一通り書き並べましたが、これらは大きく二つに分類できます。 それはサイレントプーリーか否かという事です。

アイドラープーリーは正面から見ると谷底の中央部にチェーンを直接受けるガイドレールがあるのですが、そのガイドレールに駆動音や振動を吸収する為のゴム製Oリングが使われている物がサイレントプーリーと呼ばれる物です。 これは多くのリカンベントメーカーで純正採用されている言わば主流品で、①・③・④がこれに該当します。

これに対してゴム製Oリングを導入せずダイレクト感と製造コストを追求していると思われる一体成型の物がハードプーリーで、⑤がこれに該当します。
またゴム製Oリングの弾力感とパワーロスを嫌い、堅牢性とパワー効率やダイレクト感を追求していると思われるのがコグギヤ内蔵プーリーで、②がこれに該当します。

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大抵のベントライダーはノーマルのアイドラープーリーが傷んできたら新品に更新するか、丈夫な金属製のテラサイクル社製コグギヤ内蔵プーリーに交換するというパターンではないでしょうか?
確かにそれも一つの方法なのですが前回の記事でもご紹介している通り、Oリングの傷みだけならO.H.感覚で修理対応する事が可能なケースもあります。

(単にケチなだけ!?sweat01
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ゴム製Oリングについては走り方や人にもよりますが、5,000km前後でヘタってゴムが擦れる異音が出たりプーリーの底にチェーンが底突きして跡がつき始めるケースがあったりしますので、これが交換の目安になるのではないかと考えています。

※…(【画像A】の下段左側を参照。 【画像B】の下段の三つと比較するとOリングがヘタってプーリーの底にチェーンの跡がクッキリと残っています)。

また軸部にあるシールドベアリングが傷んでしまった場合でも、ベアリングを固定しているスナップリングを一旦外してシールドベアリング単体を交換できるケースもあります。 これはシングルベアリングの物によく見られる構造で、ダブルベアリングの物はベアリングが圧入されていて交換できないケースが多いようです。

(スナップリング)
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(左のシングルベアリングの物はスナップリングで固定されているだけですが、右のダブルベアリングの物は圧入されています)
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ところでこれは経験的に思う事なのですが…

アイドラープーリーについては人によって感じ方や考え方に大きな差があるのではないかと感じています。 重要な部品として気にするか否か、駆動音や振動を気にするか否か、そして良いパーツを追求するか否か…。
一台の車体を複数の人が試乗しても、アイドラープーリーについて感じる事やその評価は分かれがちのようです。 敢えて共通する傾向を挙げるとしたら、「関心を持つ人は少ない」という事くらいではないでしょうか。(笑)

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盛豚はこれまでにOPTIMA LYNXX・ChinaMascotProducts LOW-RACER ・LM5ローレーサーの三台で色々と試した結果、自分にはサイレントプーリーが合うと判断しました。

一般的には純正品で更新する人よりも、フリクションロスが少ないと謳う金属製の見るからに丈夫そうなコグギヤ内蔵プーリーを選ぶ人が多いみたいです(パワーライダーほどテラサイクル社製の後者を選ぶ傾向があるようです)。
盛豚自身は個人的にダイレクト感やフリクションロスの差をそれほど感じ取る事ができず、むしろ他の人が余り気にしない駆動音と振動が気になりますし、その大きさによっては半日も走ると結構な疲労感を感じる事もあるので、サイレントプーリーによってライダーへの負担軽減を優先する事を選びました。

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この駆動音と振動というのはペダリングしている時に、「コロコロコロ…」とか「コトコトコト…」といったカンジでアイドラーのガイドレールやコグギヤがチェーンを噛むときに発生する微かな音と振動なのですが、大抵のベントライダーは「聞こえない」もしくは「言われてみればそんな音がしていないでもないけれど、別に気にはならない」と言います。

ライダーへの駆動音や振動の伝わり方は条件によって大きく異なり、シートのマウントやストレスメンバーに衝撃吸収効果があるラバーを介しているのかそれともダイレクトマウントなのか、ライダーの頭部がローレーサーみたいにフレームに近い位置にあるのかそれともミッドツアラーみたいに遠い位置にあるのか、アイドラー以外にも駆動系にフリクションロスを伴う音と振動を発する物があるのか否か、ヘッドレストの有無とその材質や構造の違いなどによって大きな差が出るのは確かです。

盛豚は二台目のリカンベントであるChinaMascotProducts LOW-RACER に手を加えて、新車時には無かったのに後付されていたハンガープーリを再び排除した直引きのチェーンラインに引き直し、サイレントプーリー・パフォーマ社純正チェーンチューブへの交換とテーパー加工・etcなどのフリクションロス対策を徹底した結果、一時期は駆動音と振動が皆無に近い状態を経験してしまったせいか、どのリカンベントに乗っても駆動音と振動が気になるようになってしまいました。

(駆動系については全部やり直した結果歴代愛車で最も高い完成度に仕上がりました)
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その影響もあって「ペダルを逆回転させた時の回りの軽さを気にするのもいいけれど、アイドラープーリーの駆動音と振動による疲労感もバカにはならないので、こちらの対策も同じくらい気にしたい」と考えるようになったのですがこうした志向は少数派らしく、今のところ同じ志向でサイレントプーリーを買い漁ったり試したりしている人を見た事がありません…sweat02

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さて、アイドラープーリーにまつわる悩み事といえばもう一つ、「固定ボルトが緩む」というモノもあるようです。 これは症例が非常に少なくて、むしろシートのマウントボルトが緩む事の方が多いかもしれませんね。
思いつく対策といえばシッカリと締める事ぐらいだと言いたいところですが、その前にもう一つやるべき事が残っています。

盛豚の経験の限りだとリカンベント用シートのマウントボルトが緩む時は、決まって前側つまりお尻の下のマウントボルトが先に緩んできます。 後ろ側つまり背中側が先に緩んだケースは一度もありませんでした。 

(赤○印のボルトと青○印のボルトでは、決まって赤○印のボルトが先に緩んできます)
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これは荷重バランス的に前側の方がより多くの体重を受けるせいだと考えているのですが、何度締めても緩んでくるのである日ボルト周りをじっくり観察してみたところ、驚きの事実を発見しました。

何と、スプリングワッシャーが付いていなかったのです…。

(左がスプリングワッシャー、右がリングワッシャーです)
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(こうセットして締め付けます)
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工業界の知識に長けている人には説明の必要もない事だとは思いますが、振動にさらされる箇所やある程度の重量がかかる箇所のボルトやナットには、緩み防止の為の対策が施されているのが普通です。

ポピュラーな手法として挙げられるのは鍔付きボルト&ナットを採用する手法や、ボルトやナットにスプリングワッシャーとリングワッシャーを挟んで締め付けたりする手法です。 ボルト径が細いなど十分な締め付けトルクをかけられない事情がある場合は、止むを得ずナイロンナットを使うケースも無くはないのですがこれは不確定要素を内包していますので、信頼性の関係上極めて少数派です。

※…(例えば自動車の場合ですと宿命的にエンジンという振動源を抱えていますし、車重の関係からサスペンションも含めて各部のボルト一本一本にそれなりの荷重が掛かります。 その為、大抵のボルトにはスプリングワッシャーとリングワッシャーが、応力がかからない外鈑などの箇所には鍔付きボルト&ナットが用いられています)

(右から順に鍔付きナット・標準のナット・ナイロンナットです)
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ちなみにシートのマウントボルトにロックタイト(いわゆるネジロックというヤツです)を塗るという方法も無くはないのですが、そもそもロックタイトはレシプロエンジンの内部のごく限られた箇所やフライホイール固定ボルトのように、一度メーカーの工場から出荷されたらオーナーが代わろうがどれだけ年月が経って使い倒されようがスクラップになるまで基本的には分解する事が無い前提の箇所にのみ使われるべき物であり、それ以外の箇所でスプリングワッシャーや鍔付きワッシャーが使われているにも拘らずロックタイトを必要とするほど頻繁に緩むボルトやナットがあるとしたら、相応の締め付けトルクに相応しい適切な口径&長さのボルトを選定できていない証拠であり、つまるところ設計のミスだと言わざるを得ません。

リカンベントのシートはグラスファイバーやカーボンファイバーを含有した樹脂製のヨーロピアンシートやメッシュシートなどが多く、ひび割れや破れなどの破損時の修理対応として交換せざるを得ないケースも想定しておく必要があります。 特にLYNXXの場合はマウントとメンバーを調整してシート角をリクライムさせる機構が付いていますので、個人的には「ロックタイトを使うのは最後の手段」だと考えています。

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話をLYNXXに戻しましょう。

ライダーの体重を60kgと仮定してもLYNXXのシートの前側のマウントには、その半分かそれ以上は荷重がかかると思われます(キチンと測っていませんけど大きくは違わないでしょう)。
それほどの荷重がかかる箇所でしかもライダーの体は乗っかっているだけで固定されていませんから、走行中や乗り降りの時にはそれなりにマウントやメンバーが揺さぶられる事になります。 約30kgの荷重でしかも日々揺さぶられる箇所のボルトにリングワッシャーしか入っておらず、緩み防止の対策が施されていないのには少々驚きました。

とは言え入っていないものは仕方が無いので自分で前後のマウントボルトにスプリングワッシャーを追加しました。 これを組み込んでからは後側のマウントボルトは一度も緩んでいませんし、より負荷のかかる前側のマウントボルトもあまり緩まなくなりました(かなりの負荷がかかる箇所ですし、メンバーの表面はブラスト仕上げですし、止めにフレーム側のネジ山の材質がアルミと悪条件が重なっているので、皆無とまではいきませんでした…)。

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この記事を書いていてシートのマウントボルトにスプリングワッシャーを追加した事を思い出したので、今までアイドラー固定ボルトは緩んだ事がありませんけど保険の意味でこちらにも追加しておきました。

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それにしてもこうやってLYNXXのフレームを横から見ると、ボルトというボルトに上から被さる物が一切無いんですよね。 シートのマウント・キャリアのマウント・スイングアーム固定用の各ボルトが全て目視できるメンテナンス性の高さには感心します(サスペンションの固定ボルトが半分隠れているのは、盛豚が社外品のブラケットを付けているせいです)。

シートの前側のマウントがガタガタ言い出してもすぐに目視でチェックできるので、緩み始めたらその場ですぐに確認して締め付けてハイおしまいですから、たまに緩んでも大事に至った事はありませんでした。

(シートの前側のマウントボルトが二本のチェーンチューブに隠れずその隙間から覗いています!)
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いやぁ~今更ながらにOPTIMA社って隙がないと言うか設計が秀逸だなと再認識しました。

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コメント

盛豚さん

早速の大作ありがとうございます。拝見させていただきました。

私のToscana2626の場合、そもそもアイドラプーリ固定ナットが緩んで駆動チェーンからのラインがずれることで、チェーンがプーリ内ギアに突っかかるということが問題ではあるのですが、ギア内蔵プーリのフィーリングに関するダイレクトさは、取り替えて確かめてみたくなりました。(多分判らない気がしますが。笑)
ギア内蔵プーリは、確かに小さな「コトコト」という音は聞こえますが、自転車道がない、比較的交通量が多いところを走ることがほとんどですので、BGノイズの方が大きい環境で、それほどクリティカルではありません。ただ、ラインがずれた時の、急な突っかかりは危険なので、もしギア無しプーリで突っかからないのであれば試してみたくはあります。(サイレントプーリでも、ラインセンタがずれるとチェーンが捻じれて詰まりそうな気がしますが。)
バネワッシャ有無の確認は、早速やってみたいところです。(ついてなかったような)
それよりも現場で外れてしまった際に、何せチェーン周りの部品ということで、細かい砂利などがついてしまった状態で、ネジを締め込むことで、本体側のネジ溝をダメにしてしまうことが怖いです。そうならないようにゆるみ止め対策、それと、お試しサイレントプーリをHCWorksさんあたりで入手、ですね。

>じょしゅさん
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私の個人的な経験からすると、これまでにサイレントプーリーにチェーンが詰まったという症例はありませんでした。 それと冒頭の画像に移っているようなアイドラープーリー&チェーンチューブ用ブラケットが手に入れば、ここにチューブを固定してアイドラープーリーから後方にもチェーンチューブが取り付けられますので、これがガイドとなって走行中にチェーンが暴れる事を抑制できますし、無用なトラブルを招く振動の対策にもなりますので参考までに。
サイレントプーリーはメーカーによって谷底の口径が違いますので、それに適合するOリングが手に入るかどうかも事前に確認しておく事をお勧めします。
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リンク、貼らせて頂きますね。 宜しければまたお気軽にお立ち寄り下さい。

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