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LYNXXのチェーンチューブとアイドラープーリーの見直し

「その内やろう」と思いつつ先送りしていたLYNXXのチェーンチューブ交換とアイドラープーリーのO.H.をする事にしました。

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リカンベントメーカーがツアラーやスタンダードモデルの車種を中心にチェーンチューブを装着する背景には、泥や砂利の跳ねを噛んでしまう事によってチェーンが汚れたり傷んだりする事から保護する目的の他にも、チェーンとの干渉によってライダーの衣服(特にズボンの右脚)を巻き込んだり汚したりしないように保護する目的もあると言われています。

もちろんこれらが主要な目的である事については疑いを入れないのですが、盛豚は個人的にもう一つの大きな効果が得られている事を重視している関係もあって、ローレーサーも然る事ながら元々はチェーンチューブが付いていなかったハイレーサーにも後から装着しています。

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リカンベントのチェーンチューブについては「フリクションロスになる」として嫌う人も少なくないようです。 確かに「単純に巡航時のペダリングで脚にかかる抵抗の大きさ」のみを考えるのであれば、チェーンがチェーンチューブ内を走る時に生じるフリクションロスも気になると言えなくもありませんし、欧米のバンクや専用コースで開催されるアワーレコードやバトルマウンテンなどのスピードトライアルであれば、チェーンチューブなど迷わず外してしまうべきでしょう。

ところがレースに出る訳でもない盛豚のようなホビーライダーが一般道を走る為の愛車ともなると、走行環境や求める物が少々違ってきます。 「何回かレースに出て良い成績を収めれば用済み、後は展示かお払い箱」という純粋な競技目的の車輌とは違って、何年も乗り続けたいですしフレームに無駄なキズが付いて必要以上に傷むのも避けたいところです。

また、あまり認識されていないようですがチェーンがフレームに干渉して傷をつける原因でもあり、もう一つのフリクションロスとして一般道での走行中にペダリングのキックバック・負荷として脚にかかって来る、ローリングバイブレーションを始めとした「チェーンの脈動」を抑制する事も大切だと経験的に感じました。

前述の〝もう一つの大きな効果″というのがまさにコレで、盛豚は「チェーンチューブを単なるフリクションロスの根源と見なすよりは、チェーンのガイドレールとして積極的に活用しよう」という発想に基づいて、少々のフリクションロスを可能な限り軽減しつつそれと引き換えに、チェーンチューブを使う事でしか得られない効果を最大限に引き出そうという志向を持っています。

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レシプロエンジンやオートバイに詳しい人には説明の必要もない事と思いますが、チェーンは稼動時に空中に浮いて走っているリード部分(上の画像の場合はスプロケットやアイドラーとの間にあたる矢印の区間)で脈動を起こし易い性質を持っており、それはリード長が長ければ長いほど・消耗して伸びれば伸びるほど顕著になると言われています(上の図の場合は青色の部分と黄色の部分がそれに該当します)。
その為、自動車やオートバイ用エンジンの中でもカムをチェーンで駆動する機種の場合は、昔からカムチェーンに対するガイドレールが設置されていました(コグドプーリーベルトの場合はテンションプーリーを設置します)。

盛豚は以前乗っていたChinaMascotProducts LOW-RACERで駆動側・リターン側の両方でこの脈動に悩まされた経験があります。 その中でもリターン側のクランク⇔アイドラー間のリード部分は特に脈動が酷く、路面の僅かな起伏さえ拾ってはタコ踊りみたいな脈動を起こしてしまい、ちょっとした路面のギャップを受けたらローリングバイブレーションを起こして、チェーンが前輪のスポークに干渉する事も珍しくはありませんでした。

(チェーンチューブが無い状態で路面のギャップを受けると、特に黄色いトコのチェーンラインが赤い矢印の方向に回転しながら大きく脈動を起こします…)
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その後このチェーンとの干渉で傷だらけになった前輪のスポークが折れた事もあるのですが、この次期に色々な事を試した結果(チューブの口径の種類・材質の種類・長さ・テーパー加工の有無・芯出しを含む取り付け方・etc)、この脈動はチェーンチューブをガイドレールとして活用すれば抑制できる事や、フリクションロスについては一定の条件さえ満たしていればかなり軽減できるので、公道用の車輌ならばわざわざ外さなければならない程のデメリットはないと判断しました。

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前置きが長くなってしまいましたが、そろそろ話をLYNXXに戻しましょう。

実はノーマルのLYNXXはチェーンチューブに起因するフリクションロスが大きく、なかなかバカにならない物がありました。 原因はアイドラー付近にあるステーへの取り付け方に問題があったせいで、過去に一度調整した事があるのですが付け焼刃程度の処置に過ぎませんでした。

冒頭の画像でも分かるように、LYNXXはメーカー純正の仕様でもリターン側のアイドラープーリーが設置されておらず、チェーンチューブをガイドレールとして活用するのはメーカーの志向でもあります。
これはツアラー系のリカンベントを中心に一部のレーサーでも見られる仕様なのですが、LYNXXのシートと重心位置・フレーム幅・他のジオメトリーをよく観察して何度思案してみても、リターン側のアイドラープーリーを新たに設置しようと思ったら、リターン側のチェーンラインがどうしても前輪もしくはライダーの右脚に干渉してメリットを上回るデメリットが生じてしまうので、下手にラインそのものを弄り回すのではなく今回は部品交換も視野に入れつつ内容を熟成する方向で進める事にしました。

(前回はブラケットとチューブの間にラバーを挟んでラインを調整しただけでした…)
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最初の交換部品として選んだのは毎度お馴染みのパフォーマ社純正チェーンチューブです。 実はメーカーがリカンベント用チェーンチューブと称するチューブとは、そのほとんどが電気配線用のチューブを流用していると聞いた事があるのですが、その口径や材質などの違いによって大きく二通りに分類できるようです。

一つは口径が細くて硬いポリエチレン系と思われるチューブで、もう一つは口径がやや太めで柔軟性のあるビニール系と思われるチューブです。 ヨーロッパ系を含む大半のリカンベントメーカーは前者を使用している傾向がありますけど、パフォーマ社は後者を使用しています。

(左が主流の細いチューブ、右がパフォーマ社純正チューブ)
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盛豚が使っているシマノ社のチェーンの太さは実測値で8.5mmなのに対して、前者の内径は実測値で10.5mm(上の画像の左側)・後者の内径は実測値で13.0mm(上の画像の右側)でした。 「たった2.5mmの差か…」と思われるかもしれませんが、8.5mmのチェーンに対してクリアランスが2.0mmしか無いのと4.5mmあるのとでは大きな違いと言えます。
一方で「ガイドレールとしてならタイトな方が良い」と言えなくもありませんが、「タイト過ぎるとフリクションロスが増す」というのも事実です。

(この前者のチューブはテーパー加工で口が広がっていますけど、チェーンの奥のダルマの辺りを見ればかなりタイトである事が分かります)
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(この後者のチューブは切りっ放しですが、チェーンとのクリアランスに余裕がある事が分かります)
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後者のチューブを調達するにあたり予め実車に付いている従来のチューブを参考に必要な長さを採寸しておいて、例によってHC-WORKSさんで購入する際に長さを指定してカット&テーパー加工をして貰いました。
テーパー加工は熱処理になりますしテーパー角によって(角度が浅い『千枚通し』と、角度が広い『キャップ』の二通りを使い分けられています…)一箇所あたり数mm縮む事もあります。 これまで何本も加工して貰ってきましたが、その収縮の程度については細かい事を気にする盛豚でも全て誤差として無視できるレベルでした。

(上段の一番右と下段の一番下がテーパー加工をしていない状態の物です)
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HC-WORKSさんでは専用のヒーターを導入されているので、こうしてテーパー加工の依頼にも対応して下さいましたけど、盛豚はあくまでご厚意で対応して頂いているという事を認識した上で、「○○cmにカットしてから両端をテーパー加工して下さい。 角度は『千枚通し』でお願いします」といったカンジで購入時に施工をお願いしています(mm単位の指定や、仕上がりに文句を言うのはご法度だと自覚しております…sweat01)。

※…(「自分の愛車にもこのチューブと加工を取り入れたい」という方は、自己責任でHC-WORKSさんへ相談してみて下さい。 ムチャな事さえ言わなければ通販・来店を問わず相談に乗って頂けると思います…)

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今回はチェーンチューブ交換で駆動系をバラすついでにチェーンを掃除して、更に最近「キシキシ…」と異音を放っていたアイドラープーリーも修理しておきます。

初めてこの異音を確認した時はプーリーのボディとシールドベアリングとの間でガタが出ているのだと思ったのですが、新しいアイドラープーリーを調達していざ交換しようとしたら、幅方向の中央にあるOリングが傷んでビロビロに伸びてしまっているのが原因だった事が判明しました。
その時は結局Oリングの交換だけで解決したので今回もOリングを交換します。

(プーリーの溝の中央に見えるのがゴムのOリングです)
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実は前回の修理の時にOリングのサイズを読み違えてしまい、Oリングをはめる為の溝とほぼ同じ位の直径の物を選んでしまいました。
Oリングをはめ込む時に引っ張り伸ばしてプーリーのツバを越えなければならないので少し伸びてしまう事と、Oリングが溝に対してギッチリと食い込むように締め付けくれないとチェーンによる摩擦でプーリーとの間でスリップが起きてしまう事を事前に読みきれていなかったせいで選択ミスしてしまったのですが、案の定一年ちょいで「キシキシ…」という異音がまた出始めました。

そこで今回は同じ断面径の製品の中で最も直径=内径が小さい物を調達しています。

(断面径:3.5mm、直径=内径:39.7mmを選びました)
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(ちなみに溝の直径は44.4mm、前回選んだOリングの直径=内径は43.7mmでした)
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部品の下準備が一通り揃ったので早速組み付けました。

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まぁ見た目はほとんど変わっていないんですけど…sweat02

(作業前)
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(作業後)
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実はリターン側に使うチュエーンチューブの長さが従来よりも若干短かったので、後端を必要最低限度の長さに抑えて極力前寄りになるように取り付けました。

(〝チェーンのお掃除エリア″が従来よりも長くなってる…)
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と言うのもパフォーマ社純正チューブは1m単位で単品輸入されているのですが、このLYNXXは車体Assyで輸入されていた関係で、リターン側のチューブ長がもう少し長い1.1mあったのです。
そこで後端はリヤブレーキとチェーンの干渉を防ぐ為に必要なギリギリの位置に抑えて、ライダーの衣服(ズボンの右脚)とチェーンの干渉を防ぐ事を優先して前側に送り出した訳です。

(これ以上チューブを前に出すとチェーンの露出部がVブレーキの付け根に干渉する恐れがあるので、ここは譲れないのであります! ( `・ω・´ )/キリッ )
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クランクの方ではリターン側のチューブが従来よりも約4cm短くなりましたが、まぁ及第点の範囲だと思います。

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作業が完了したので三時間ほど試走してみたところ、フリクションロスの軽減という面では期待を大きく上回る成果が確認できました。

(作業前。 チェーンの汚れもありますが何よりチューブが窮屈そうです…)
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(作業後。 チェーンの掃除だけではとても説明が付かないほどペダリングが軽くなりました)
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どの程度の変化があったのかを具体的に述べてみますと、盛豚のLYNXXには納車時から中・長併せて3本のチェーンチューブが装着されているのですが、今回の作業後はその内の2本くらいを取っ払ったかと思うほどペダリングが軽くなっていました。

確かに作業前はチェーンが汚れていたのは事実ですが、これまでの経験を鑑みてもチェーンの掃除だけではとても説明が付かないほどの変化です。
もちろんチェーンとチェーンチューブの摩擦音も小さくなったというか走行中には全く聞こえなくなり、アイドラープーリーの異音も消えました。

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いやぁ~、もっと早くやれば良かった…。(笑)

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※…(取材協力:HC-WORKSさん)

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コメント

盛豚さん

そういえば、HC-Worksさんにてお世話になった私のPerformerも、しっかりガイドチューブ両端はテーパー加工頂いておりました。(o^-^o)
ところで、アイドラーについてご意見いただきたくコメントさせていただきます。

プーリータイプとギアタイプがあると思いますが、両者のメリット/デメリットはどのようなものでしょうか。(ギアタイプは単純に重量が増すようには思えますが。)

私のはギアタイプでLynxxと同様にPower側についておりますが、カタカタノイズと、アイドラー固定のナットが緩んだ時に、アイドラーが固まり、ペダルがロックしてしまい、若干怖い想いをした経験から、引っ掛かりのないプーリータイプを検討すべきか、と悩んでおります。

>じょしゅさん
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アイドラープーリーについては自分なりに思うところがあり、実は今回の記事でも採り上げようと途中まで書いていたのですが、スゴイ長文になりそうでしたので割愛しました。 何しろ過去にも何度か纏めきれずに先送りした経緯がありますので…。(笑)
お問い合わせ頂いた件の回答についてですが、私の表現力ではコメント欄に収まる範囲の一言や二言で簡潔に述べるのが難しい話題だと言わざるを得ません。 そこでキチンと整理して次回もしくは次々回の記事で纏め上げて掲載しようと思いますので、暫しお待ち下さい。
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これは私見に過ぎませんが…、
アイドラーに対する感じ方や考え方は人によって大きく異なり、その認識・評価・許容の可否と選択を他人と共有するのは意外と難しいようです(要するに他人には分からなかったり意見が合わなかったりするケースが多いという事です)。
しかしながら頂いたコメントの内容から察するに、恐らくじょしゅさんは私が感じている事に近いモノを感じられているようですので、せっかくですから参考までに関連する事も含めて私なりの認識を整理・UPさせて頂こうと思います。

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