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リカンベントは周囲から見えない? (その2) 『気付いてもらう為のテクニック〝スパイ・ホッピング″』

前回は「リカンベントは周囲から見え難くい」と言われる根本的な理由についての持論を述べました。 そして今回その辺を逆手に取って盛豚が普段から実践している、「周囲から見え難いと言われるリカンベントを見え易くして、見落とされる事を防いでこちらに気付いてもらう為の運転方法」について述べてみたいと思います。

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※…8月5日加筆:(レンガ塀沿いの道でのテスト画像は、軽乗用車『スズキ・ワゴンR』のドライバー目線の高さで撮影してあります。 セダンよりは高めですがワンボックス車よりは低く、今日普及している一般的な乗用車としては平均的な高さであり、成人の歩行者目線の高さからも著しく離れていないと考えています)

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前回も述べたように盛豚は「リカンベントは周囲から見え難い」と言われる理由について、最大の要因は「一般の人はリカンベントが走る姿を見慣れていなかったり見た事がなかったりするので、それが何なのかを頭で認識できない為」であると考えています。 なぜならリカンベントが走る姿は大抵の人の人生における経験と記憶の中に確立された〝人間の姿″も〝自転車の姿″もしていないからです(「見慣れている」とは通常の自転車と同様に形状や寸法・挙動などの特性をよく理解しているという意味を含んでおり、何度か見た事があるという程度ではこれに該当しません)。

この事に気付いたばかりの頃は「ならばマイナーなリカンベントは広く普及でもしない限り宿命的に見落とされっ放しなのではないか?」という絶望感すら感じたものです。 しかし他のベントライダー諸氏と交流を深めて一緒に走りに行く日々を送る内に、彼等が走る姿を見ながらこう考えるようになったのです。

「一般人がリカンベントを認識できないのならば、〝人間の姿″か〝自転車の姿″と認識させれば良いのではなかろうか?」と…。

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ヒトは何をもってヒトをヒトと認識するのか? 何をもってヒトが乗って走行中の自転車と認識するのか? その答えはかつて生物学の話で聞きかじった事があるのですが、ヒントはもう一つの趣味である写真撮影の中にもありました。

撮影技術に関する知識を少しは持っている人が観光地で記念撮影をすると、このように全身が入ったフレーミングになります。

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そして「もう一枚アップで撮っておこう」と言ってバストアップ(上半身という意味)でこのように撮影します。

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これに対して撮影技術に関する知識を持たない人が記念撮影をすると、よくこういう写真が上がってきます。

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撮影者は被写体の全身を意識して撮影しているつもりなのですが実際には黄色の○印で囲った顔と上半身にしか注意を払えておらず、結果として青色の○印半分で囲った斜線の部分では被写体の足と自転車の下の方が切れてしまっています。
その一方で足元は入っているのに首から上が切れてしまって写っていない写真という物は、これまでに見た事がありません。

この事が示しているように、生物学的にヒトは顔と上半身をもって略式的にヒトをヒトと認識する傾向があると聞いた事があります。 上半身はなるべく腰から上の広い範囲が入るのが好ましいのですが、最低限という事であれば証明写真のようにせめて肩幅が分かる程度の高さまでは入れておきたいところです。

(これだけ見えていればヒトだと分かる筈…)
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材料が揃ったので画像を使った確認をしてみましょう。

まず歩行者が歩いてきた場合はこんなカンジです。 一般人にも全く同じ認識で受け止められている筈です。

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次にアップライト自転車が走ってきた場合ですが、やはりこれも一般人には全く同じ認識で受け止められている筈です。

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そして問題のリカンベント(この場合はミッドツアラー)です。 一般人の目に映っているのはこの映像の筈ですが…

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一般人の脳が認識している映像はこんなカンジになっていると考えられます。

(実際、始めの内は盛豚にもこんなカンジに見えていました)
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微かに顔や上半身の一部はチラチラと見えているのですがその大半は手前にある腕やハンドルの陰に隠れてしまっており、止めにシート角が後ろに寝ているのでライダーの顔も肩も見え難くなった結果、ライダーの〝人間の姿″がかき消されてしまっていると考えられます。

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ここで強調しておきたいのですが、このように盛豚は経験的に「リカンベントは見え難い」と言われる二番目の要因は、「シート角が寝て上半身の乗車姿勢が後方へ寝てしまう事により、ライダーの上半身と顔の前方投影面積が減ってしまう為」だと考えています。

そして三番目の要因が巷でよく言われている「全高が低いせいで、通常ヒトが〝大人がいる″と認識する時に注意を向ける高さに顔や上半身が見当らない為」だと考えています。

ローレーサーに乗り始めた頃は「全高の低さこそが最大の理由」だと思っていたのですが、その後多くの経験を経た今では絶対的な高さがそれほど深刻で重大な問題だとは考えていません。 なぜならローレーサーに乗るライダーの全高とさほど変わらないほど全高の低い三輪車に乗った幼児や犬などの小動物を見落とした事はほとんどないからです。

ただし宿命的に乗車姿勢が後方に向かって特に大きく寝ているローレーサーを公道で走らせる時には、成人男性の肩くらいの高さの位置に視認性の高い色のフラッグを立てるのが必須だと考えています。
かつて一時的に「どうせ周囲はこちらを見落としているんだから、こちらがその分気をつけて頭を使って避けながら走ればいいんだろ」という自分勝手で投げやりな考え方をした時期もありましたが、(その1)でも述べたように「責任ある安全運転とか上手い運転とは交通の一員として参加しつつ周囲との調和を維持する事である」と気付いた事から、「自分が見え難い格好をして交通に紛れ込んでいるという事は、少なくとも交通の中においてはある意味で周囲に迷惑をかけているのと同じようなものだな」と思い直しました(自分自身を省みてそう思っているだけであって、他人をとやかく言っている訳ではありません。 念の為…)。
それからは改心して考えを改め、自分の都合だけではなく〝周囲への配慮″という意味にも重きを置こうと思うようになり、周囲からの視認性が全高の低さのせいで余計に損なわれた分を多少なりとも相殺するべく、蛍光オレンジ色の自作フラッグを欠かさず取り付けるようになりました(ホームセンターで売っている980円のウインドブレーカーを切った貼ったした物です…sweat02)。

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話を元に戻しましょう。

先程の脳が認識している映像のモヤモヤの部分に〝人間の姿″を生み出すべく、盛豚が考案したテクニックは『スパイ・ホッピング』でした。

『スパイ・ホッピング』とはイルカやアザラシなどの海中動物が垂直に体を持ち上げて、水面上に目を出して周囲の様子を窺い、再び水面下に沈む行為だと言われています。
生物学的にこれは主に「天敵もしくはエサとなる生物が周囲にいないかどうかのリサーチ行動」だと言われています。

(借りて来ました。 イルカの『スパイ・ホッピング』です)
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(借りて来ました。 アザラシの『スパイ・ホッピング』です)
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水面上に出ていてこちらに見える部分はたったこれだけなのに、こうして見ただけで「イルカだ!」とか「アザラシがいる!」というカンジで周囲からもその存在感を把握し易いのが分かります。

なぜこれを取り入れる事を思いついたのかというと、その始まりは本能的な行動でした。
盛豚がLM5で出かけると、そのパワー効率・呼吸効率重視のポジション故に頭の角度が寝過ぎているわ目線が低過ぎるわで周囲が見え難いので、プロショップへ向かう道中の市街地走行では特に交差点での視界に不安がつきまといました。
そこで交差点での安全確認の時は少しでも良好な視界を得るべく、交差点の少し手前から背中を浮かせて上体を起こしておき、振り向き動作をし易くする事によって横方向に広い視界を確保し、かつ少しでも目線を高くする事によって上下方向にも広い視界を確保しようと、半ば本能的に始めた行為でした。

視界的にも効果抜群だったので市街地走行では当たり前のようにこの『スパイ・ホッピング』をするようになったのですが、ほどなくある反応に気がつきました。
盛豚が『スパイ・ホッピング』をする度に、ほぼ同時に周囲にいた歩行者のおばちゃん達が「うわっ、人がおったんや!sweat01」と驚きの声を上げたのです…。

その反応が面白いので特に切実な必要性がない時でも、念の為に「ボク、ここにいますよ~」的な意味で『スパイ・ホッピング』をやってみると、周囲の歩行者はおろか自動車などもこちらに気づいて道を譲ってくれたりしました。

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具体的に画像で見てみるとこうなります。 まず先程の場面で『スパイ・ホッピング』をすると、目に映っている映像はこうなって…

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脳が認識する映像はこんなカンジになると考えられます。 少なくとも周囲の反応から推察すると最低でもこの程度は見えていると考えられます。

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最も風当たりのキツい(笑)ローレーサーの場合を見てみましょう。 目に映っているのはこの映像の筈ですが…

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脳が認識している映像はこんなカンジになっていると考えられます。

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そこで『スパイホッピング』をしてみると、目に映っている映像はこうなって…

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脳が認識する映像はこんなカンジになると考えられます。 少なくとも周囲の反応から推察すると最低でもこの程度は見えていると考えられます。

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たまに変則的で特殊な交差点を通過する場合など、どうしても緊急回避の一環として一時的に歩道を通過せざるを得ない状況が発生したりしますが、そういう時にもこの『スパイ・ホッピング』の効果は抜群で、周囲の歩行者は確実にこちらを認識している様子が窺えます。
また道幅が広くない対面交通の道路やセンターラインがない道路では、対向から走って来る自動車が道幅の中央よりもこちらに向かってはみ出して来た場合にも、この『スパイ・ホッピング』をやってみるとすぐに気付いて避けてくれます。

オープンハンドル仕様のハイレーサーの場合は『スパイ・ホッピング』の顔と上半身だけでなく、更に脚を加える事によって完全に〝人間の姿″を表現する事ができます。
その方法は簡単で、まず上体を起こして背筋を伸ばした姿勢でシートに着座し直します。 そして片足をビンディングから外して下に下げてその脚を前後にブラブラさせると、フツーに人間が近付いて来るかのように見えます。
この状態で近付いて行った時に歩行者や自動車がこちらに気付かなかった例は、Force5を手に入れてからこの一年間で一度もありませんでした(だからといって絶対だとは思っていませんが、非常に効果が高い事の表れだと思っています)。

(左から順に『通常走行』、『スパイ・ホッピング』、『スパイ・ホッピング+脚』の状態です)
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この『スパイホッピング』をやる時に注意しなければならないのは、「身体を一部シートから離してしまうので、その分だけ〝人車一体″のバランス・安定感が損なわれる」という事です。
走行速度が高い時ほどアクションは小さめにしておかないと、アクションの最中に運悪く道路の段差を食らって車体が飛び跳ねたりしようものなら、最悪の場合はバランスを崩して転倒にも繋がる恐れがあると肝に銘じておかなければなりません。

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ここまでの画像を見て「ほとんど見た目は変わらんやん」とか「たったこれだけでそんなに見える訳がない」と思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、百聞は一見にしかずです。
対向車や前方の交差点に横から進入して来る自動車に対して『スパイ・ホッピング』をやってみと、相手が脇見をしていなければ驚くほどの効果があります。

ただしこれは「こちらを見落としている相手に気付いてもらう為にある程度の効果があるテクニック」であって、「自分が優先側だからとムキになって何が何でも相手を止まらせて、自分は相手を蹴散らすかのようにノーブレーキで優先的に突っ切る為のモノ」ではありませんので、その辺は勘違いのないようにご注意下さい。
何度も述べているように「責任ある安全運転とか上手い運転とは交通の一員として参加しつつ周囲との調和を維持する事」であって、交通法規に違反さえしなければ他者を蹴散らす傲慢で我が侭で自分勝手な運転をしてもいいなどという道理は何処にもありません。
そんな事をするような人が『スパイ・ホッピング』の真似事をしても却って衝突事故が起き易くなり、事故が起きた時のダメージも大きくなるなどの危険が増すだけです。

まぁ毎度クソ長い長文の講釈ばかりupしている当サイトの記事を読了できて、今なお読んで下さっているほどの忍耐力と寛容さをお持ちの読者の皆様ならば、このような心配はあまり必要ないとは思いますけど…。(笑)

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さて、次回は「こうした教訓を参考に、これからリカンベントを手に入れようと思っている〝ベントライダー予備軍″の人々にとって、車種選びの参考になるような経験論」を述べてみたいと思います。

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※…(撮影協力:まえさん)

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コメント

つまりですよ。
一般的なローレーサだと胸前にハンドルがあって、しかも固定ステムだもんで上半身を起こすためのスペースにハンドルがあるから上体起こし動作がやりずらいと。
それに対してオープンコックピットハンドルはスペースがあるので上体起こしがやりやすいと。

暗にオープンコックピットハンドルをほめそやしているのですね。
素晴らしい。

なるほど、「その2」ありきの「その1」ですな。

>take3さん
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確かにスパイホッピングのやり易さをOSSシステムの中で順位付けするのであれば、 『オープンハンドル』 > 『トップロードハンドル』 という事になると思います。 ステムについては例えチルト式ステムであっても走行中にチルトアップする事は現実的ではありませんので、チルト式かリジット式かの違いが影響する事はないと感じます。
その一方で効果の大きさは 『トップロードハンドル』 > 『オープンハンドル』 だと感じます。 その理由については「元々が周囲から見え難いほどにアクションによって生じるギャップが大きくなるから」なのではないかと考えています。
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これら視認性の良し悪しに関する比較論については、単なる面積の問題ではないので数字に表して比較するのは困難ですが、周囲の反応を見ていると非常に分かり易いので自分なりに確信を持っています。

>しょうやんさん
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はい。 そして次回は(その3)へと続きます。(笑)

この記事へのコメントは終了しました。

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