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自家用車と福祉車両 7(福祉車両の販売体制と購入・税制について)

運良く自家用車の買い替えの時に車種選びの段階で福祉車両の存在を知る事ができたのですが、予め自家用車用の福祉車両という概念を知らない限り実車はおろかその情報にすら出会う機会はほとんどない状況だというのが、福祉車両と一般ユーザーを取り巻く環境の実情ではないでしょうか?

(トヨタ車のカタログモデルの例だけでさえ、ミニバンだけでなくこんなに色々な車種があるんだけどみんな知らないだろうな…)
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以前の記事で「福祉車両専門のショールームであるトヨタハートフルプラザ神戸さんを訪れて福祉車両の実車を確認した後で購入に踏み切りました」などとサラッと書きましたが、これは私の自宅が同じ近畿地方の中でもたまたま立地的に恵まれていたからに過ぎず、必ずしも誰もが容易に実車を確認に行けるという訳でもないようです。

自家用車用の福祉車両そのものは国産の各メーカーから市販されていますが、これまでに展示車や試乗車などの実車を確認すべく足を運んだ先は常備店を展開している三メーカー系の福祉車両専門の総合展示場1箇所とディーラー3店舗ほどでした。
実際に見てきた限りだとこの辺の取り組み方はメーカーによってスタンスが異なっていて、その良し悪しの感想を一言で言うならどれも一長一短といったところだと思います。

以前にも述べたように、この記事は実際に福祉車両購入・検討の必要に迫られてきて困ってらっしゃる方(できれば自動車メーカー各社にも…)の目にとまって少しでも参考になってくれたらという願いを込めて書いています。 もし私が既に気づいているウィークポイントなどを隠して都合のいい部分ばかり書いてしまったら、参考に読んで下さった方々が「自分の時はいざ検討を始めるとあんな事やこんな事が発覚した。 こんな筈じゃなかったのに…」などということになってしまうかもしれないので、そんなことにならないようにという意味を込めて自分の経験を踏まえて思った事を忌憚なく述べてみたいと思います…。

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トヨタ社の場合はメーカー直営のハートフルプラザという福祉車両専門の総合展示場が全国に10箇所あり、こちらでは場によって8〜20台の車両が展示されています。 またそれとは別に展示用の福祉車両を4台前後保有しているウェルキャブステーションという福祉車両や関連するオプション関係の取り扱いにも注力しているディーラーが全国に137店舗あります(2018年3月現在)。
自分の場合は前者の内のハートフルプラザ神戸さんに何度か通って福祉車両について勉強したのですが、こちらは展示車両数が15台前後あることに加えて定期的にサイドリフトアップ仕様とか車椅子仕様などの細かな仕様の異なる車種を入れ替えているので、H.P.で確認しながら通えば自分が見たい車種の見たい仕様をほぼ確実に見ることができました。

(ハートフルプラザ神戸さんはこの2・3階にあります)
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また同じ車種の中でサイドリフトアップシート仕様と車椅子仕様といった具合に複数の仕様をその場で同時に比較・検討することもできますし、まだ車格・車種を絞り込んではいない場合なら様々な車種を確認してその中から自分に合う車格・車種を選ぶこともできました(実際にそうして対象者と一緒にやって来て、全員で話し合いながらその場で車種と仕様を絞り込んでいる家族連れをよく見かけます)。
その他にも細かな福祉仕様のオプションパーツについても大抵展示されているので大変参考になり非常に重宝するのですが、惜しむらくは関東地方に3箇所とその他の各地方に1箇所ずつしかないので住んでいる地域によっては日帰りで見に行くのが困難なケースもあるという事ですね…。

この距離と拠点数をカバーしてくれるのがウェルキャブステーションで、こちらでは展示用福祉車両の常備保有台数こそ4台前後と限られている代わりに店舗数が多いので、「1箇所で全部見たい!」などと贅沢さえ言わなければ比較的近場で実車やオプションパーツなどをある程度は確認できるメリットがあります。


ホンダ社の場合は福祉車両専門の総合展示場はないものの、トヨタ社でいうウェルキャブステーションのように展示・試乗用の福祉車両を数台常備保有しているオレンジディーラーがあり、その中には展示用の福祉車両を4台前後保有しているマスター店が各都道府県に1〜2店舗と、展示用の福祉車両を1台保有しているベスト店が無数にあります(2018年3月現在で前者は全国に75店舗、後者は全国に270店舗あるそうです…)。

(実際に訪れたオレンジディーラーさんでは展示車だけでなく試乗車も用意されていました)
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日産社の場合も福祉車両専門の総合展示場はないものの、展示用の福祉車両を保有しているディーラーが全国に166店舗あります(2018年3月現在)。
保有店舗数こそ上記二社に譲る同社ですがその一方でリース体制が充実しているなどのメリットもあり、実際に病院などの医療機関に行ってみると広く普及していることが実感できます。


また最近ではメーカー各社の直系を含めてレンタカーに福祉車両をラインナップされているケースや、福祉車両を導入した介護タクシーなども増えているようですので、「時々入り用はあるけれど、流石に買うのはちょっと…」という方はそちらを検討してみるのも一つの方法かもしれませんね。

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私の場合はリースなどではなく福祉車両を購入する前提だったので、実際に足を運んだのは上記の三メーカー系の常備店でした(その他のメーカーは福祉車両の総合展示場が全国に1箇所だけだったり無かったりしてちょっと…💧)。

各社に共通して言えることは、その努力に一定の敬意を表すもののディーラーで営業担当者が応対する体制ではどうしても限界があると感じたということでした。 何故なら台数的にほとんど売れないと言っていいマイナーな福祉車両の詳細まで熟知して、それに関するプレゼンを販売台数のノルマに追われているディーラーの営業担当者(以下、ディーラーマンと記します)だけにやらせるのは無理があると思うからです。

どういうことかと言いますと、福祉車両の仕様選択に関する助言は通常仕様の場合とは違って「福祉・介護経験のない人がそうした事情に精通した的確な助言をすることはできない」という話です。
実際、総合展示場の係員さんとは違って、どのメーカーのディーラーマンも「こういう福祉車両という物があるんですよ」の続きの具体的なプレゼンをできた人はおらず(それでもこちらの話を聞いた直後にこの一言を言えただけ件の担当者さんは優秀だった方です)、福祉車両専門の総合展示場を訪れた時にそこの係員さんの中には福祉・介護を勉強していて話が通じる方がいたという程度だったのが実情です。


建前と理屈を言えばメーカーにしろ顧客にしろ「ディーラーマンはあらゆる取扱商品に精通しているべきだ」というのが言い分なのかもしれませんが、福祉・介護職に従事している訳でもなければ在宅で家族の介護をしている訳でもなく営業職に従事している介護未経験者であろうディーラーマンに、あらゆる例の福祉・介護にまで精通して的確な助言をせよと求めるのはいくら何でも酷な話でしょう。
かといって福祉・介護に直面しているユーザーにとっては今後の介護生活を左右する重要なツールとして期待する福祉車両の検討にあたり、的確な助言が欠かせないのはまぎれもない事実です(老老介護の為に福祉車両を検討する顧客の場合は特にこの辺は重要になってきますし、実際にハートフルプラザ神戸さんで何度かそうした顧客の方々に出会ってお話をさせて頂いたことがあります…)。


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詳細は後述しますが、車種と対象者の身体条件によってはサイドリフトアップシートの作動中にAピラーとヘッドレストで頭が挟まれてしまう、少々危険なケースも実際に経験しました。 また『自家用車と福祉車両 5』の記事でも述べたように、寝たきりの人だからと言って車椅子ごと自動車に乗せてしまうのは対象者の肉体的な負荷という意味で強引というか酷な仕打ちになってしまうので、安易に車椅子仕様に飛びついたりせず色々なことを考慮に入れて検討する必要があります。
個人的にはこれらを実体験として知っているだけにカタログだけで車種選びするのは避けるべきだと思っていますし、こうしたことを経験に基づいて的確に助言するのは福祉・介護関係と自動車業界の両方にある程度は精通した人物でなければ困難だと思います。
これはやはり販売担当者とは別のSE(セールスエンジニアの事ね…)的な役割りの仕事なのではないでしょうか…?

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それから総合展示場の応対とディーラーの商談応対とでは 顧客側が受ける「勝って欲しい!」的な期待と押しというかプレッシャーが全然違いますので、まずは一旦福祉車両専門の総合展示場で相談・検討した上で適切な車種と仕様をある程度は見い出せてから、購入の段になって初めてディーラーマンと商談という流れが好ましいように感じました(その点、件の担当者さんは応対が柔らかくて心地良く、終始こちらの呼吸とペースに合わせてくる方なのでとてもやり易かったです。 良いディーラーマンに出会えたなぁと思っています…😅)。

(ディーラーマンと違って総合展示場の係員さんは福祉車両の詳細な仕様についても詳しいだけでなく、販売ノルマとは無縁ですからほのぼのした雰囲気でそれでいて根気強く応対してくれますね〜😊)
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福祉車両専門の総合展示場を持たないディーラー頼みの体制の場合は、仮に顧客が「これだ!」という車種と仕様を予め絞り込めていたとしても、その車種(もしくは姉妹車種)のその仕様に該当する実車をたった一台見る為に保有しているディーラー店舗を探し当ててから、場合によっては大分遠方にあるかもしれないそのディーラー店舗まで出向かねばならず、しかもその実車を確認してみたところ思っていたよりもピンと来なかった場合は別の仕様の展示車wを求めてまた別のディーラー店舗までハシゴしなければならない訳ですから(例えば同じ車種のサイドリフトアップ仕様と車椅子仕様を一軒で同時に見比べることができない…)、顧客側の負担も馬鹿になりません。
ユーザーの立場から率直な要望を言わせて貰えば、是非とも各メーカーに多数の展示車両を保有する福祉車両専門の総合展示場が欲しいところです。 それもできれば各地方に2〜3軒ほど…。

(今にして思えば、サイドリフトアップシート仕様と車椅子仕様が並んで展示されていたからこそ、その場でじっくりと実車を比較検討した上で確信を持って最善の選択ができましたよ…)
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ローカルかつ我儘な意見で恐縮ですが、例えば私の自宅からは一時間で行ける近畿地方のトヨタハートフルプラザ神戸さんについても、同じ近畿の管轄内である和歌山県新宮市に住む私の親戚が対象者となる高齢者や障がい者を連れてきて一日で往復できる距離ではありません(健常者だけでカッ飛ばして見に来るにしてもかなりの強行軍なので、私ほどじっくり見て入念に検討する余裕はないでしょう…)。

私が購入したノアとその姉妹車種であるヴォクシーとエスクァイアすなわちノア系三車種を合計して考えた場合、業界の資料と照らし合わせて計算してみると、福祉車両がマイカーとしての需要と並行して介護タクシーや透析センターのような機関の送迎車にもよく採用されていて実際に街中でもよく見かける売れ筋のこの三車種でさえ、2016年一年間の福祉車両の販売台数は合わせて4,071台と全グレードの合計販売台数の内の僅か2.1%に過ぎませんでした。
その事を考えるとトヨタ社の場合は福祉車両専門の総合展示場が各地方に一軒ずつあるだけでもありがたい事なのでしょう。 いや、むしろ同社の現行の体制と取り組み姿勢を高く評価しなければならないと言っていいかもしれません。

ですが新宮と神戸では(仮に名古屋へ行くと仮定しても)やはり遠過ぎます。 新宮はほんの一例に過ぎませんけど都心部を離れた郊外や地方ほど生活する上で自動車は欠かせませんので、単純な需要と販売実績の数字だけで割りきれる問題ではないと思うんですよね…。

(ノア系三車種の福祉車両の合計販売台数は、業務用であるハイエース&レジアスエースのそれと比べても遜色のない立派な数字だと思いますが、それでも総販売台数における福祉車両の割合は全体の約2%しかありません…)
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私が選んだようなサイドリフトアップ仕様の場合は、それを搭載する車種が燃費の良さを売りにしていて空力を重視し過ぎているタイプのセダンなどの場合だと、ドア開口部の面積によっては「実際に乗って作動テストをしてみると私の身長(173cmなので特に長身という訳ではありません)でもAピラーに頭がぶつかったり、Aピラーとシートのヘッドレストに頭を軽く挟まれるように擦ったりするケースも少なくありませんでした。
これは総合展示場に行って実車に乗って作動テストをしてみて初めて発覚したことですから、対象車種の対象仕様の展示車両を保有していないディーラー店舗でも営業担当者の方がこちらの体格と車種を照らし合わせただけで判断できるとはとても思えません。
やはりこうした車両は顧客本人が実車で作動を体験して確認することが不可欠だと感じます。

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このように私が経験した限りでは、ディーラーマンの提案を受けてトヨタハートフルプラザ神戸さんへ足を運んだところ、圧倒的な物量の展示車両や展示物を目の当たりにして実際に作動を体験しながら、少なからず福祉・介護についても精通している係員さんも駐在していてじっくりと説明して貰えたのに対して、各メーカーのディーラー店舗で営業担当者の方々がカタログとたった1〜4台という限られた仕様の展示車だけで説明するのではどう考えても助言・情報量が不足しました。

おそらくメーカー各社でもその辺については私などに指摘されるまでもなく充分に認識があるからこそ、冒頭の画像を見ての通り福祉車両のカタログについてはやたらと費用をかけて充実させているのでしょう。
そしてトヨタ社ではずっと以前からこれらについて考えられていたのではないでしょうか? 既に各地方に1箇所の福祉車両専用ショールームが設けられていて15台前後の展示車両の実車を保有しているだけでなく、それら展示車両の車種や仕様を頻繁にローテーションさせているあたりは、福祉車両の助けを切実に必要としているユーザーがいるのだということを同社が理解していることの表れなのだろうと思います。

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こうして振り返ってみるほどに、福祉車両の展示車や試乗車を保有しているディーラーによる対応も大事ではありますが、やはり「そこに行けば大抵の車種の各仕様とオプションパーツを見ることができる」という福祉車両専門の総合展示場の必要性を改めて感じざるを得ませんでした。
確かに費用的な負担はかかるかもしれませんが、少なくとも現在の上記3メーカーの業績なら決して重い負担ではない筈です(どうしてもダメだというのなら余った経常利益をもう少し従業員の給与に還元してあげて欲しい…😥)。

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それともう一つ…(くどくてスミマセン…😓)、
私が病院や施設や飲食店など出先の出入り口や優先駐車場でサイドリフトアップシートを作動させて高齢者の送迎をしていると、関係者や通りすがりの人達が珍しそうに群がってきて根掘り葉掘り質問を受けることがあります。
彼らは一様に「車椅子ごと乗せられる車は見たことがあるけれど、こういうタイプは初めて見た! これは改造車ですか? 私も以前親の介護の為に車を買ったんですけど、こんな車があるんだったら買ったのになぁ…」と言っていましたが、確かに私も乗り換えを検討するまでは全然知らなかったというか知るチャンスさえありませんでした。

ノアの場合はよくTVコマーシャルを放送しているのですから、次回の更新の時にでもラスト3秒くらいは作動させている実車の横で新垣結衣さんが「福祉車両もあります♪」とニッコリする映像を付け加えるなんて良いアイデアだと思いません?
これなら通常の広告費用の範囲内で一般仕様と一緒に宣伝できつつ 今日のマイカーとして使える福祉車両の知名度は一気に上がり、福祉車両の普及に貢献するのではないでしょうか(メーカー純正の福祉車両で一般仕様と大差ない価格帯の物は今や完成車の二次加工によるワンオフ生産ではなく、通常の生産ライン上でインライン生産されていそうですから、コスト的にも生産効率的にもロットは増えるに越したことはない筈です)。

福祉車両の周知活動はやはりディーラーではなくメーカーの仕事だと思います。

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最後になりましたが税制についても少しだけ…

これら福祉車両の新車については一般仕様のグレードに比べて車体価格こそ少々高めの価格になりますが、政府の優遇措置によりオプションパーツも含む総価格に対して消費税が免税となりますので(私の場合はこれだけでも35万円くらい安くなりました)、購入時にかかる総額はベースとなる一般仕様のグレードと大差ない範囲で済みます(私のサイドリフトアップシート仕様の場合はエアサスを搭載している車椅子仕様ほど高額ではなかったので、一般仕様のグレードよりも総額は若干安く収まりました)。

また障害者手帳を持っている人などの場合は自動車税の減免措置の他にも、今持っている乗用車の福祉車両への改造費用や自宅駐車場の改造工事費用に補助金制度が出るなど、都道府県単位や市町村単位でも自治体によって独自の色々な支援制度があったりしますので、購入前に役所に行って調べておくことをお勧めします(市役所などに行って受付で訊けば親切に案内してくれますし、担当窓口の方も喜んで事細かに教えてくれますよ😀)。
何しろ福祉車両の購入時にかかる総額や毎年支払う自動車税などの金額が大分違ってきますので…。

(純正オプションの国際シンボルマークも一緒に消費税は免税でした…w)
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ところでこの国際シンボルマーク(車椅子マークのことね…)、意外と定義というか運用ルールが正確に周知されておらず誤解を招いているケースがあるみたいなんですよね。
そこで次回はこの国際シンボルマークについて少し考えてみたいと思います。
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