最近のトラックバック

« 葛井寺 | トップページ | 『RALLY CARS 20』(三栄書房) »

自家用車と福祉車両 8(福祉車両と国際シンボルマークについて)

街中を走っていると 営業車だけではなく明らかにマイカーと思しき車両に『国際シンボルマーク』と呼ばれる車椅子のマークを貼っている例を見かける機会が増えてきました。
元々これは自動車に貼る為に設けられたシンボルマークではないのですが、ちゃんと調べてみるとなぜ自動車に貼られているケースが増えているのかが見えてきます。

Img_1051

.
車椅子マークとか呼ばれる事もあるこのマークは 正式名称を『国際シンボルマーク(より厳密には “障がい者の為の国際シンボルマーク” というのがフルネームなのですが…)』といって、1969年に国際リハビリテーション協会によって採択された物だと聞いたことがあります。
日本国内における使用管理については公益財団法人 日本障害者リハビリテーション協会のH.P. によれば同協会に委ねられているとされており、同H.P. によれば『国際シンボルマーク』の定義は「障害のある人々が利用できる建築物や公共・輸送機関であることを示す、世界共通のマーク」であると明記されています。

コンビニやショッピングモールなどの入り口に近い所に設けられた駐車スペースを始め、ありとあらゆる場所でこのマークがペイントされた『優先駐車スペース』が設けられていることもあり、今や日本人なら誰もが知っているであろう『国際シンボルマーク』ですが、このマークの定義と福祉車両に関係してくる運用定義との関係については意外と誤解されているケースも少なくないようですね。

Img_2132

よくある誤解の例として真っ先に挙げられるのが、「車椅子の利用者専用の設備を意味しているのだと誤解されているケース」ではないでしょうか? 実際にそうした意見を聞いたことがありますしNET上でもそういう誤解をした人の主張や書き込みをよく見かけます。
これについて詳細は後述しますが、車椅子の利用者のみが対象なのではありません。

.

それと「障害者の中でも身体障害者のみが対象になると誤解されているケース」もありがちですね。 身体障害者のみを対象とするシンボルマークは『身体障害者マーク(クローバーマークとも呼ばれることもあります)』といって車椅子のマークとは別に存在しています(『国際シンボルマーク』は特に乗員の内の誰が対象として限定されるという物ではないのに対して、クローバーマークの場合は運転者当人を対象とするマークのようです)。
ちなみに腎臓機能障害で人工透析を受けている人なども国が定める第一級障害者に該当しますので(もちろん障害者手帳を持っています)、外見上は五体満足な健常者と区別はつきませんが実は優先対象者になります。
この他にも聴覚障がい者や 視覚障がい者や パニック障がいのある人なども、外見は健常者と区別がつきにくいとはいえ “障がい者等(詳細は後述します)” に該当する優先対象者になります。

{内閣府のH.P. から借りてきました。 下の方が身体障がい者を表す『身体障害者マーク(クローバーマーク)』です}
Img_2133

{『国際シンボルマーク』ではなくこの『身体障害者マーク(クローバーマーク)』を貼っている自動車も時々見かけますね}
Img_1081

.

また、「障がい者以外は使用してはならないと誤解されているケース」もよくあって、外見上は障害者に見えない人が利用しているからといって その人が違反をしていると勘違いしてしまった人が正義感のつもりで利用者に注意して口論・トラブルを起こしてしまうケースもあるようです(これもよくNET上で主張や書き込みを見かけます)

実は日本政府 国土交通省のH.P. で「障害者等用駐車スペースの適正利用の促進に関する調査研究について」という報告書(報道資料)が公開されており、その『本編』の “第1章 調査の概要1.1 調査目的”(←1頁目です) の冒頭に「高齢者、障害者等の移動時の円滑化の促進に関する法律」により、一定規模以上の施設の新設の際には、車椅子で利用できる幅の広い障害者等用駐車スペースの設置が義務づけられているが、当該駐車スペースに障害のない人が駐車し、障害のある人(障害者、高齢者、妊産婦、けが人等 以下、「障害者等」という。)の円滑な利用が阻害されている(以下略)と、ちゃんと書かれています。

つまり “『国際シンボルマーク』が書かれている優先駐車スペースの優先対象者には、障害者と同列扱いで 高齢者、妊産婦、けが人等が含まれる” と政府が定義づけている訳です(←ココ大事❗️)。

(自分の不勉強を棚に上げて苦情をつける人や、健常者の人で利用の必要に迫られている訳でもないのに無駄に利用しようとする人が後を絶たないので、市役所の駐車場でも…)
Img_1062

(自治体レベルでパーキングミット制度という重複した内容の制度を導入したり、ここまで表示対応せざるを得なくなりつつあるのが実状なのだそうです…)
Img_1063

(鉄道業界でも表示が忙しくなってますね…)
Img_2130
.

そうそう、NET上でたまに「車椅子マークを貼った自動車からどう見ても健常者にしか見えない人が降りてきた。 健常者のクセに車椅子マークを貼っているなんて非常識だし許せない」などという主張や書き込みも見かけることもありますけど(許せないと主張するわりには直接本人に言わず、陰口を叩く形でNETに書いている不思議…w)、前述のような人工透析をしている人も含めて内部障がいのある人の場合は外観だけでは健常者と見分けがつきにくいケースも珍しくありません。

それに日頃からよく障がい者等の優先対象者を乗せて送迎する人の自動車には、たとえ所有者・運転者が健常者であっても『国際シンボルマーク』が貼ってあるケースはよくあります。

Img_1049

『国際シンボルマーク』の定義に基づいてそれを貼っている自動車が意味するところは障がい者等の本人が自分自身で運転する車両などという限定された意味ではありませんから、運転者自身が障がい者等ではないケースなどあって当たり前なのだという事くらい、ちょっと考えればすぐにわかると思うんですけどねェ…。

仮に障がい者等の優先対象者であるご家族の世話をしている人の場合でも四六時中その対象者を乗せているとは限りませんから、『国際シンボルマーク』を貼っている自動車から健常者の人が降りてくることなど全然珍しくはありませんし、介護タクシーに至ってはほぼ全ての車両がこれに該当します。

.

それから「『国際シンボルマーク』を貼っていない自動車が優先駐車スペースに駐車していたのを見てルール違反だと誤解してしまうケース」と、逆のパターンで「『国際シンボルマーク』は設備に掲示される物であって自動車に貼る物ではないと思い込んでしまい、『国際シンボルマーク』を自動車に貼って運用しているのはルール違反だと誤解してしまうケース」もあるようです。

私も以前まだ国際シンボルマークを自家用車に貼っていなかった頃、行きがかり上たまたま知人の見送りに行くという障がい者等である友人を乗せて関西空港に行くことになった時に 優先駐車スペースに駐車しておいたところ、見送りを終えてその友人と一緒に駐車場へ戻ってきたら「違反行為」との警告書類を車のワイパーに挟まれていたことがあります(これは違反でも何でもないので、管理人さんはもう少し勉強しておいて欲しいものですね…)。

自分の自動車に『国際シンボルマーク』を貼っていない人でも、近しい友人などで優先対象者の方が困っていたら厚意でピンチヒッター的に急遽「車を出してあげるよ」とか「送って行ってあげるよ」という展開になる事はいくらでもあります。
要は 優先駐車スペースを使えるか否かの判断基準になるのは『国際シンボルマーク』が貼ってある自動車かどうかではなく、優先対象者が乗っている(ここまで片道だけ乗せて来たとか、迎えに来てこれから片道だけ乗せて帰るとかいう場合も含む)かどうかなのです。

『国際シンボルマーク』は元々は自動車に貼る為に作られた物ではないのですが、こうした誤解による無駄なトラブルを防ぐ意味で 障がい者等の優先対象者を乗せることがよくある車両には貼っておかざるを得ないのが実状です。

(例えばこの自動車だって、明らかに助手席若しくは後部座席に乗せている優先対象者の乗り降りに配慮した駐車の仕方をしているのであろう事が、一目見ただけで分かりますよね? 『国際シンボルマーク』を貼っていない車両にもかかわらず適切に運用できているところを見ると、ご家族ではないけれど車を出して差し上げて 近しい友人でも送って来られたのではないでしょうか?)
Img_1092

その事を理解しているからなのでしょうか、日本障害者リハビリテーション協会のH.P. には『国際シンボルマーク』使用についてという件で「個人の車に表示することは、国際シンボルマーク本来の主旨とは異なります。 障害のある方が、車に乗車していることを、周囲にお知らせする程度の表示になります。 したがって、個人の車に表示しても、道路交通法上の規制を免れるなどの法的効力は生じません。 駐車禁止を免れる、または障害者専用駐車場が優先的に利用できるなどの証明にはなりませんので、ご理解の上ご使用下さい」と明記されており、『国際シンボルマーク』を自家用車に貼って運用する事について一定の理解を示し(交通法規に違反した場合の免除などは一切無いという事を強調した上で)容認する意向を示しています。

また先ほど三つ目に添付した画像で紹介した内閣府のH.P.によれば、身体障害者マーク(クローバーマーク)については「肢体不自由であることを理由に免許に条件を付されている方が運転する車に表示するマークで、マークの表示については、努力義務となっています」とあります。
画像には入りきれませんでしたがその下には聴覚障害者マークがあり、こちらに至っては「聴覚障害であることを理由に免許に条件を付されている方が運転する車に表示するマークで、マークの表示については、義務となっています」と明記されています。
これに対して『国際シンボルマーク』の場合はその定義と適用範囲が広義に及ぶせいか、自家用車に貼って運用する際の表示義務などに関する指針が特に記されていません。

つまり『国際シンボルマーク』を貼っていない自動車だからといって優先駐車スペースを利用してはいけないという根拠はないという事を示していると言えるでしょう。

(私の自家用車にも「優先対象者を乗せている時がある」ということを示すべく貼ってあるに過ぎず、もしこの車両で路上駐車をしていればフツーに駐禁を切られます)
Img_1050

かく言う私も『国際シンボルマーク』に関する詳細な定義や運用ルールなどについてはこの一年ちょいで学んだのであって、それ以前は「車椅子の人用の駐車スペースなんだろうな〜」くらいにしか思っていなかったというのが本音です。

これだけ障がい者等用の駐車スペースという物が社会に普及してきたのですから、『国際シンボルマーク』を含む各種のシンボルマークの定義と運用ルールについて もう義務教育で小中学校の頃から継続的に教育するべきだと思うんですよね…(私が知らないだけで行政と教育機関はもう取り組んでるのかな?)。
.

« 葛井寺 | トップページ | 『RALLY CARS 20』(三栄書房) »

福祉関連」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1237208/73156838

この記事へのトラックバック一覧です: 自家用車と福祉車両 8(福祉車両と国際シンボルマークについて):

« 葛井寺 | トップページ | 『RALLY CARS 20』(三栄書房) »

2018年9月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30            
無料ブログはココログ