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再会

職場のある先輩と半年ぶりに会った。

12040200

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東日本大震災の被災地からは程遠い地域に住む自分だが、その仕事にも「物資不足」という形で多大な影響がやって来た。
物資不足ゆえに納期に穴が開く事(納期までに商品が間に合わず納入できない事)が続出し、取引先や社内の営業部の人達に迷惑をかけてしまう日々が続いた。 更に夏の台風による被害が物資不足に拍車を掛け、二つの災害を境に社内での人間関係が様変わりしてしまい、出勤するのが億劫な事もあった。
そんな日々が続いた昨年夏の終わりに、その日は突然やって来た…。

 

ある日の朝にいつも通りに出勤すると会社の前に救急車が止まっていた。 「営業部のSさんが倒れたらしいぞ!」「えっ、あのSさんが!?」動揺が走った。 やがて「富永病院に搬送されたそうだ。午後から緊急手術らしいぞ」という情報が入った。

『富永病院!? そんなに容態は悪いのか!?』

全身に寒気が走った。 自分も過去にお世話になっているので、富永病院がどんな病院かは知っている。 その日は仕事が全く手に付かなかった。

術後に何度か病院へと足を運んだが、面会謝絶はなかなか解除されなかった。 やがて「Sさんは脳卒中で、職場復帰には時間がかかると発表があったそうだ」「小さなお子さんが二人もいるのに大変だねぇ…」「仕事上の激しいストレスが原因らしいぞ…」という囁きが聞こえ始めた。

『仕事上の激しいストレス? 度重なる納期トラブルを回避できなかった俺のせいなのか…』

Sさんの事を思い浮かべる度に仕事中にも涙が溢れ出した。

『Sさんが倒れたのは俺のせいなんじゃないかと思って…』

溢す自分に職場の人達は「そんな事ない。 この状況下でもノルマ ノルマと圧力をかけ続けた上や会社が悪いんだ」と声をかけてくれたが、自責の念が軽くなる事は無かった。 
ご家族に何と言ってお詫びしたらよいのか分からず、面会謝絶が解除された後も怖くてお見舞いに行けなかった。 やがて自分自身も十二指腸潰瘍の寸前まで体調を崩して一月半に亘って満足に食事を取れない日々が続き、そうこうしている内にSさんは退院されて自宅療養生活に移られた。

月日は流れて春が来た。 色々な意味で自分自身に一区切りが付いて来たので、ようやくSさんと会う勇気が湧いてきた。 そして今日、やっとSさんとの再会を果たせた。

 

待ち合わせ場所に現れたSさんは自力で歩いてやって来られた。 見た目はまるで健常者の様だった。 しかし話を聞いていると見た目だけでは分からない色々な後遺症に悩まされていて、まだまだ大変なのだという事がよく分かった。
Sさんは学生時代に柔道の全国大会で優勝された経歴の持ち主で、精神力の強さはかなりのモノがある方だ。 リハビリへの取り組み姿勢も尋常ではなく、術後二ヶ月目で完全自力歩行をされるほどの回復を見せるなど、医師に「ありえない」と言わしめるほどの回復ぶりを見せているそうだ。 話をしていても職場復帰への強い意欲が窺えて、ちょっと安心した。

いつしかお互いに時を忘れて話し込んでしまい、気が付けば三時間も経っていた。 まだまだ積もる話はあったのだが、あまり体に負担をかけてはと思いSさんを見送ってから帰路に着いた。

自分の中につかえていた何かが少し軽くなった一日となった。

 
Sさんの一日も早い職場復帰と、幸せな生活を取り戻されることを願ってやまない。

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コメント

そうですかSさんと会われて胸のつかえていたものが少し軽くなりましたか?

私もSさんとお仕事でご一緒させていただくことがありましたので心配しておりました。

応援の仕方って人それぞれ。言葉でいうだけでなく、いつも陰ながら見守っていることも立派な応援だと思います!

>赤トラ乗りさん
 
ようやく再開を果たせました。
実はリハビリ中を訪ねるつもりがすれ違いになってしまい、またしても気おくれして出直そうとしたのですが、「帰っちゃうの?」という電話の向こうからの声が、私の気力を呼び覚ましてくれました。
そして労りながらも自力で歩いてられる姿を見ることが出来て、本当に良かったです。
行って良かったです。

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