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ソチ・オリンピックに見るフィギュアスケートの時代の変わり目

ソチ・オリンピックが終わった。 テロに関する報道で一次は開催を危惧する声もあったが、無事に終わって何よりだったと思う。
そして各種目で活躍された日本選手団及び各国の代表選手の健闘を称えたい。

TV中継を通して観戦した一ファンとしての感想を述べると、個人的にはフィギュアスケート種目が迎えた時代の変わり目とも呼べる世代交代が印象に残った。

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金メダリストになった羽生結弦選手は、予てより「尊敬する選手はロシア代表のエフゲニー・プルシェンコ選手です。 プルシェンコ選手みたいな強いスケーターになりたいです」と公言されていた。 またプルシェンコ選手も一昨年から「私のライバルはハニューだ。 彼は素晴らしい才能を持っている」と公言されていた。

国境を越えた絆に感動した人も多いと思うが、冷静に考えてみるとこの中には過去のフィギュア界では考えられなかった事がいくつか含まれていたと考えている。

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その中でも一・二を争うのが・プルシェンコ選手の31歳・羽生選手の19歳という年齢とその国籍だと思う。

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時代を遡るほどに旧ソ連時代からロシアと云えば、常にフィギュアスケート界におけるチャンピオン級の選手を有していたと記憶している。 男子のロシア代表選手にはこの二十年で、アレクセイ・ウルマノフ選手、イリヤ・クーリック選手、アレクセイ・ヤグディン選手を始め名だたる選手が君臨していたが、何れも23~28歳で引退されておりこんなに長く現役選手生活を続けられた例は記憶に無い。 もちろんプルシェンコ選手の情熱と能力のなせる業でもあるのだが、その他にも国内で次世代選手が育っていないという厳しい現実が挙げられると思う。

31歳のプルシェンコ選手が次の時代を託す相手・自分に取って代わる相手(本人がそう公言されている)が19歳の日本人選手であるという事が、国内で近しい世代に該当者が不在である事を如実に物語っていると感じる。

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一方で女子の代表選手を見ていると、男子の状況から数年後の姿が現れているように思う。

05-06年シーズンのグランプリファイナルで浅田真央選手がロシア代表の『女王』イリーナ・スルツカヤ選手を破り、トリノ・オリンピックでは荒川静香選手が金メダルに輝き、敗れたスルツカヤ選手は同年をもって現役を引退された。 スルツカヤ選手は誰よりも豊かな表現力とキュートな笑顔がトレードマークのロシアンビューティーで、史上唯一人だけ左右どちらの足でもビールマンスピンをできる選手だった。

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国際大会での実績は女王と呼ぶに相応しく(あどけなさが残るステキな笑顔は女王ではなく王女のそれだ…)一時代を築いた彼女の引退は、個人的に大ファンだった私を失意のどん底に落としたものだった…。

そしてその後はロシアからチャンピオン級の選手が現れる事は無く、浅田真央選手とキム・ヨナ選手のライバル時代が十年に亘って続き、日本国内では村主章枝選手・荒川静香選手の活躍が切り開いた時代の裾野が広がる形で選手層が厚くなり、近年では実績と共に出場枠が増やされた恩恵もあって、ソチ・オリンピックに至っては三人もの代表枠を獲得するに至った。

ソチ・オリンピック女子フィギュア個人戦ではロシア代表のアデリナ・ソトニコワ選手が金メダルに輝いたが、この十年間を振り返ると国際舞台では日本と韓国の一騎打ちの様相を呈しており、かつてのフィギュア王国ロシアは影の薄い存在と言わざるを得なかった。

(女王スルツカヤはプロに転向してしまった…)
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こうして振り返るとロシアのフィギュア界における選手層には、男子も女子もそれぞれ約十年の世代的空白がある事が分かる。 女子はここに来て十代の国際級新世代選手が四人も現れたのだが、おそらく男子も時間の問題だろう。
ではこの世代的空白とは一体何なのか? その答えはペレストロイカにあると言われているらしい。

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ご存知の通りペレストロイカは旧ソビエト連邦時代にゴルバチョフ大統領が提唱して進められた政治体制改革だが、反対する旧体制派によって水面下で盛大に足を引っ張られた事でソビエト連邦全体が大混乱に陥り、体制の再構築どころか連邦崩壊へと繋がってしまった(ゴルビーは悪くないんだい!)。
この時の大混乱により国民は何年間も食うにも困る生活を余儀なくされたと言われている。

食生活さえ混乱したのだからスポーツどころでは無かったであろう事も想像に難くない。 旧ソビエトシステム下ではスポーツ選手の英才教育支援機関が充実していたのだがそれも機能しなくなった結果、多くの有力なコーチや有望な選手が海外へと流出してしまい、旧ソビエトシステムによる英才教育を受けたのは、トリノオリンピック後に第一線を引退されたスルツカヤ選手やプルシェンコ選手の世代が最後なのだという。

時は流れて安定を取り戻したロシアを中心とした旧連邦諸国は、その復権を目指して再びスポーツ選手の英才教育支援に乗り出した。 事は一日にしてならずと云うが、その支援活動がやっと実を結んだのがソチ・オリンピックの女子フィギュア選手だったという訳だそうだ。 きっと男子も時間の問題だろう…。

(14歳~17歳という若き国際級代表選手が四人も並ぶこの顔ぶれは、来たるべきロシア時代を予感させる…)
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これは冷戦時代には考えられなかった事だが…

羽生結弦選手は憧れのプルシェンコ選手に四回転ジャンプの飛び方の秘訣などを何度か教えて貰った事がある(後でプルシェンコ選手は奥さんに怒られたので、以後は奥さんの目を盗んで教えてくれたそうな…w)というほど人的な繋がりがあるそうだが、一方でロシアの新世代女子選手からは一様に尊敬する選手として浅田真央選手や鈴木明子選手や羽生結弦選手の名前が挙がっているという。
グランプリシリーズ大会後のバンケット(晩餐会)では選手同士が記念撮影に興じる姿が随所で見られるそうで、特に浅田真央選手はうら若いロシアの女性選手にモテモテだとか…。

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(すっかり懐かれてますな…)
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17歳にしてソチ・オリンピックの個人戦で金メダリストになったアデリナ・ソトニコワ選手は、記者会見で「アサダはフィギュアスケート選手の模範です」と発言して敬意を表したという。 またコーチによれば、かつてジュニア時代に同じリンクへロシアのコーチや振付師の指導を受けに浅田真央選手が来ていて、浅田選手が現地のアイスショーに参加する際に、「あなたも出てみない?」と誘われて出場した事があるのだとも報じられていた。
ジュニア時代に同じリンクで世界のトップスケーターが練習していたとなれば、その存在感はさぞ大きかった事だろう。

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若干15歳にしてソチ・オリンピックの団体戦で金メダルに貢献したユリア・リプニツカヤ選手もまた、尊敬する選手として浅田真央選手や鈴木明子選手や羽生結弦選手の名前を挙げられているという。

類稀な柔軟性を生かして自ら名付けた『キャンドルスピン』という技が印象的なリプニツカヤ選手は、感情の起伏が少ない表情とストレートな発言のせいで「キツイ」というイメージが先行している感があるが、実は鈴木明子選手との間にはちょっと微笑ましいエピソードがあったそうだ。

(フィギュア界に衝撃を与えた驚異の美技『キャンドルスピン』)14022509  

それは10月のグランプリシリーズ・スケートカナダでの記者会見での事。 「年齢が倍も違う選手(鈴木明子選手の事)と競う事についてどう思いますか?」というプレスの質問に対して、「特に何も…」と素っ気無いコメントを返した事で知られているが、実は会見が終わった時にわざわざ通訳を連れて来て鈴木選手を呼び止めて、「アキコのことは選手としてとても尊敬しています。 たださっきの質問は全く予想していない内容だったから、何と答えていいか分からなかったの…」と恥ずかしそうに言ったという。

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また、ソチ・オリンピックのエキシビション(フィギュア公式戦国際大会の最終日にはエキシビションが行われるのが慣例)の時に、羽生選手にエスコートされたらたちまちパッと嬉しそうな表情を浮かべていたのを見ていると、「普段は気の強そうな表情をしているけれど、何だかんだ言ってもまだ女の子なんだなぁ…」と微笑ましく思う一方で、演技のレベルの高さとは裏腹にこの才能がまだうら若く、これから更に成長して強く輝く世代なのだと思い知らされる。

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男子では羽生結弦選手の金メダルに沸く一方で女子では鈴木明子選手が既に引退の意向を表明されていて、十年間に亘りチャンピオンを争った浅田真央選手も時には日常生活に影響が出るほどの腰痛を抱えている事もあり、その去就について取り沙汰されている。

今フィギュアスケート界は、静かに時代の変わり目を迎えようとしているのかもしれない…。

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コメント

こちらのジャンルまでマニアですなぁ(^▽^)

>えむきゅうさん
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選手経験が無くても観るのが好きというプロ野球ファンやサッカーファン(サポーターっていうんでしたっけ?)と似たようなモンですかね。 小学生の頃からNHK総合のTV放送は見ていましたし、カタリナ・ビットとデビ・トーマスの対照的な演技が好印象だった時代も憶えています。
そう思うとマニアというか何というか、長いこと見ている事になりますね…。

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