ブロンプトンのタイヤ交換
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タイヤにしろ自転車本体にしろ道具は使ってナンボですので、大事にし過ぎるあまり物に対して遠慮してしまい思い切って使えないようでは本末転倒ですが、さりとてキチンと管理しておくに越した事はありません。
特にゴムのようなナマ物の類はちょっと気を配ってやるだけで、自動車用タイヤワックスなどのケミカル用品に頼らなくても意外と劣化を抑える事が出来たりします。 また、寿命の長さもさることながら新品当時に近い状態の瑞々しさをなるべく長い間維持する事で、グリップ力や乗り心地に影響する柔軟性などの性能面についても長持ちできるのであれば、それが良いに越した事はないでしょう。
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盛豚は自転車を室内保管している関係から、帰宅後にタイヤのトレッド面をウェス(使い古したTシャツや靴下などを15cm平方くらいの大きさに切って下駄箱にストックしてます)で軽く拭いてから屋内に持ち込んでいます。
そしてその内の何回かに一回の割合でホイールのリムと一緒にサイドウォールも拭いています。 また、雨に打たれて帰宅した時は車体を丸ごと拭き掃除しますし、同時にホイールのリムとタイヤについては水洗いと拭き取りをしています。
「乗る度に毎回そんな事をするなんて面倒だ」とか、「乗り物なんかにそこまでチヤホヤと手間をかけるなんて…」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、自動車をいつもピカピカに磨き上げて小マメにワックスをかけ、わざわざホイールはホイールのタイヤはタイヤの専用ケミカルを購入してまで磨いている熱心な方に比べたら、手間の内には入らないので特に苦にはなりません。
何よりこうする事で室内を汚さないだけでなく、タイヤの酸化による劣化をある程度抑制する効果が期待できると考えています(まぁ、ブロンプトン純正タイヤは他のタイヤと比べて特に劣化には強いようですけどね…)。
(青空保管の自動車だと紫外線と雨でタイヤの劣化は早いですけど…)
(ブロンプトン純正タイヤを室内保管して乗る度にトレッド面を乾拭きするだけで、七年半乗ってもひび割れは見当らず劣化も抑えられてます)
そんな盛豚のブロンプトンのタイヤも走行7,000kmを超えた今となっては、かなり溝が浅くなって「さすがにもうキツイよな…」というカンジになってきました。
(七年半で7,000km、長い間お世話になりましたね。 ありがとうさんでした)
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一般的にブロンプトンの純正タイヤの寿命については、使用条件などにもよりますが概ね6,000km位が一つの目安だと聞いた事があります。 もちろんこれは目安に過ぎないので、もっと早く使い切るという人もいれば逆にもっと長く持たせるという人もいらっしゃるでしょう。
ちなみにタイヤの寿命を左右する変動条件の中には、ライダーの体重や脚力・空気圧の設定と管理の内容・運行する路面の良し悪しとその温度・走るコースにおけるアップダウンの多さ・保管状態の良し悪し・etcと、様々な要素があると言われていますが、個人的には前述の方法で「タイヤの瑞々しさを維持して酸化による劣化を防ぐ事」も大事なのではないかと考えています。
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盛豚のブロンプトンの場合は純正イエローラベルタイヤが標準装備だった頃のモデルなのですが、走行距離が3,000kmを越えた頃に前後のタイヤを一度ローテーションしています。 それから荷物を積んで走る事はあまりないものの、早い段階でハンドルポストを純正Pハンドル用の物に交換して、荷重バランスをノーマルのM3Rよりもやや前寄りになるよう変更してあります。
空気圧の管理については乗る時に5bar(保管時は約3bar)を目安としており、この使用条件で走行7,000kmに達した段階で後輪の方がより消耗していましたから、結果論で言えば3,500kmを超えたあたりでローテーションしていればより効率良く使い切れたのかもしれませんね。
そんな訳でタイヤの溝が無くなって坊主タイヤになってしまう前に新しいタイヤを調達しました。 選んだ銘柄はシュワルベ・マラソンです。
ブロンプトン用の定番タイヤとしては純正タイヤ(昔のグリーンラベルに相当する物?)の他にもプリモ・コメット、シュワルベ・コジャック、シュワルベ・マラソン、シュワルベ・マラソン・レーサーなどが挙げられます。
純正タイヤが耐久性も含めてとても優れている事は百も承知でしたが、如何せんお値段が突出している事から(ロード用700CのコンチネンタルGP4000Sの特価品よりもお高い!)、タイヤの交換を意識し始めた夏頃にブロンプトン用のタイヤを知り尽くしている人物のご意見を伺っておき、ゆっくりと出物を探す事にしたのでした。
ブロンプトン用のタイヤを知り尽くしている人物とは… そう、一部の地域でパンクの達人として名を馳せるあの方です!
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個人情報に触れますので敢えてお名前は伏せておきますが、その方はこれまでに使い切ったブロンプトンのタイヤは数知れず、高野山を自走で超える事数え切れず、大阪からお伊勢詣でさえも自走でこなす事数え切れず、全愛車での通算パンク回数は三桁に上るのではないかと噂される比類なき超ベテランであり、自他供に認める〝パンクの神様に最も愛された男″として知られています。
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これは余談になりますが…
日本には八百万の神々がおわすとされています。 これは「百年を超えた物には魂が宿る」という神道の概念に由来するものですが、一部の自転車乗りの間ではちょっと特殊な神様が信仰されていると言われており(盛豚もその一人です…)、彼等が信仰するその神様は畏敬の念を込めてこう呼ばれています。
パンクの神様と…
パンクの神様は熱心な信者を決してお見捨てにならないので、大阪にいようが長崎にいようが分け隔てなくいつ何時なりともご利益を賜る事ができると言われています。
それは近場のお出かけ中はおろか通勤の道中であろうとツーリング中であろうと例外はなく、信仰心さえ失わなければいつ何時なりともご利益を賜る事ができるとされていて、実際に盛豚もポタ会の最中にご利益を賜った事が何度かあります(ちなみに盛豚自身はパンクの神様の他にビールの神様とお寿司の神様も信仰しています…)。
また、他の神様とは違って短期間に繰り返しご利益を下さる場合がある事でも知られています。
そしてパンクの神様を信仰する人の中で最も信仰心が厚く、星の数ほどのご利益を賜りパンクを極めた第一人者として不動の地位を築き上げたその人物こそが、今回盛豚がご相談したお方なのです。 何と心強い助言なのでしょう!
※…(世の中には勘違いして自転車でパンクする事の有り難味を理解できず、「パンクをしないお守りが欲しい」などと罰当たりな事をぬかす輩もいるそうですが、そもそもパンクするという事自体がご利益な訳ですから、〝ご利益を賜らない為のお守り″などという物が存在する筈はないのであります! ( `・ω・´ )/ )
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その方のご指導によれば「銘柄の違いによってご利益の回数に差はない」との事でしたので、今回は安くてトレッド面が消耗に強いと定評のあるこの銘柄を選びました。
細かい事を言うと16インチのマラソンはマラソンレーサーと違って変則的ながらセンタースリックパターンですので、転がりの良さを期待できる一方で雨天時やウェット路面での信頼性に不安が残るところですが、通勤に使う自転車ではないのでそこは目を瞑っています。
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交換作業を始めて間もなく何気に前輪のハブをチェックしたところ、回りは相変わらず良いもののちょっとゴリゴリした感触が気になりました。
ブロンプトンの前輪を外してハブ軸を手で持って車輪を回してみると良く分かるのですが、純正ハブは新車でもハブダイナモみたいなゴリゴリ・ゴロゴロする感触があります。 盛豚の愛車は購入して間もない頃に購入したプロショップのご厚意で、前ハブの玉当たり調整をしてくれてありましたので、ハブ軸を手で持って車輪を回してみても「スーーー……」っと極めて滑らかに回っていました。
ところが今回は新車ほど酷くはないもののちょっとゴリゴリした手応えが伝わってきます…。
いくら室内保管しているとは言え七年以上も乗りっ放しでしたから無理もありません。 ついでとばかりにバラしてみると案の定、グリスがゼリーのようになっていて潤滑機能を失っていました。
(ボールベアリングの玉にもぷるるんゼリーがこびり付いている…)
ボールベアリングの玉とハブボディー側の玉受けのそれぞれを清掃してみたところ、幸いにも特にキズなどのダメージはありませんでしたので、部品交換はせずにグリスアップして玉当たりを再度調整して組み直す事にしました。
(ボールベアリングの玉は交換が利くけどハブの玉受けに傷があったらシャレにならんので、ここが無傷で良かったですわ…)
好事家の中にはこのボールベアリングの玉をシマノ・デュラエースに交換してチューンナップする人もいると聞いた事はあるのですが、玉の径などに関する情報までは手に入らなかったので(調べてみたところデュラエースも品番によって径が違うようです)部品交換については見送りにします。
どのみち盛豚にとってブロンプトンは走行性能を追求しなければならないようなスポーツ車ではありませんし、ボールベアリングで玉と玉受けのどちらか一方だけを硬くし過ぎるのは、目先の性能はいざ知らず耐久性の面で逆効果になりますからね…(硬さのバランスこそが重要であり、特に玉が強過ぎるのは良くないと言われていますので…)。
(用途に応じてグリスは使い分けていて、回転系はデュラエースのグリスを使っています)
玉当たりの調整具合いはスラストが出ない範囲で極力玉のゴリゴリした感触がない位置に調整しました。 昔と違って最近ではブロンプトンで走る距離も負荷も大した事はないので、次回は春頃に一度車体から取り外して点検してみるつもりです。
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気を取り直してタイヤ交換の続きに取り掛かったのですが…、純正タイヤを外して新しいタイヤを組み付ける段階でおニューのタイヤが硬くてリムにはまりません!
すっかり忘れていました…。
実は盛豚のブロンプトンにはSUN-CR18というリムを組み込んであるのですが、これは08年当時の純正リムとは違ってダブルウォール構造になっています。 しかも二段目のウォールがとても浅い位置にあるので、かつて自分でタイヤのローテーションを行った時も脱着に大変苦戦したものでした。
もう一つ、ブロンプトン用349サイズのシュワルベ・マラソンは軟らかいケブラービードではなく硬いワイヤービードであり、しかもビードの口径がやや小さいので脱着が難しいという評判を聞いた事がありました。
これまで愛車のタイヤ交換は大抵自分で行ってきましたが、今回ばかりは車体から前後の車輪を外して清掃した上で、タイヤの脱着の工程のみ専門のプロショップにお願いする事にしました。(カッコ悪…)
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お店に駆け込んでスタッフの方に事情を説明して作業をお願いしたところ、その方は開口一番「あぁ、マラソンですか。 クス…」と受け取ってから作業にかかり、苦笑いしながら仕上がった車輪を差し出して曰く、「相性の問題なんですけど最悪の組み合わせパターンですね。 これは入らないのも無理はありませんよ」との事でした。(笑)
指摘された内容は…
前述の通りSUN-CR18はダブルウォールリムの中でも特にウォール位置が浅くてタイヤ交換が困難なリムである事。 前述の通り349サイズのシュワルベ・マラソンはビードが硬い上にその口径が小さくてタイヤ交換が困難な銘柄である事。 止めに盛豚の車輪には分厚いコットンのリムテープが貼ってあったので余計にリムのウォールを底上げしてしまい、タイヤ交換が困難になっていた事の三点でした。
そして、「特にコットンのリムテープを使う人は減っていますので、これほど悪条件が重なった例は見た事がありませんよ。 ご自分で出来なかったのも無理はありません。 気にしないで下さい」と慰められてしまいましたデスヨ… (´;ω;`)
ちなみにそのスタッフの方によればブロンプトン用の定番タイヤの内で、シュワルベマラソンは耐久性に優れている代わりにグリップ力では譲り脱着が困難で乗り心地が硬く、シュワルベ・コジャック(ケブラービード)は耐久性で譲る代わりにグリップ力に優れ脱着作業性と乗り心地が良く、純正タイヤは何れも中間の評価との事でした。
なので出先でのパンク修理をその場でこなす事を想定したいのであれば、盛豚のようにタイヤの脱着作業性に難のあるリムを組み込んでしまった場合は、上記の評価を参考にその分脱着作業性の良いタイヤを選ぶといいでしょうとの助言も併せて頂きました(あと二ヶ月早く知りたかった…)。
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